がん治療にかかる費用はどれくらい?
更新日:2021/8/23
「がんになったときのお金が心配。実際、がんの治療には、どれくらいのお金がかかるの?」と思っている方は多いのではないでしょうか。
漠然と感じている不安を解消できるよう、今回はがん治療にかかる費用について確認してみましょう。
がんの治療方法と公的医療保険
まずは、がんの主な治療方法を見てみましょう。
がんの主な治療方法は、手術(外科療法)、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線療法の3種類があり、「三大療法」といわれています。これらの治療は単独で行われる場合と、集学的治療として複合的に行われる場合があります。
これらの手術・治療代、検査代、薬代といった直接的な治療費は、一般的に公的医療保険の適用を受けられるため、一部のみが自己負担となります。
がんの治療費としてかかるお金
自己負担額がどのくらいになるか、具体的に見てみましょう。がんの1日当たりの治療費は、平均で次のようになります。
表1 がん(悪性新生物)の平均治療費・1日当たり
自己負担額 | |
---|---|
入院 | 21,410円 |
入院外 | 12,477円 |
※協会(一般)・組合健保・共済組合・国民健康保険計の平均額から、自己負担割合を3割として算出(自己負担割合は年齢などによって異なる)
資料:厚生労働省「令和元年度 医療給付実態調査」[1]をもとに算出
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査」[2]によると、がんによる平均入院日数は17.1日となっています。このことから、例えばがんで1回入院すると、約36万円の自己負担が発生することが予想されます。
また、退院後も、治療や検診などで定期的な通院が必要となる可能性もあります。
高額療養費制度を利用すれば自己負担額は抑えられる
がんの治療費を考えるには「高額療養費制度」の知識も欠かせません。
これは「公的医療保険が適用される治療であれば、1カ月に支払った治療費が上限額を超えると、その超えた分の支給を受けられる」という制度です。
年齢や所得によって計算式は違いますが、例えば69歳以下・年収約370万~約770万円の方の場合、「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」が自己負担の上限額になります。
仮に1カ月で35万円の自己負担が発生するような場合でも、高額療養費制度を利用すれば、実際に負担する金額は90,000円ほどに抑えられます。
この制度が利用できるなら、出費が大きくなりすぎる心配はないでしょう。ただし、この制度には「公的医療保険が適用される治療であれば」という条件があることに注意してください。
先進医療を選んだ場合は?
がんの治療方法として、先進医療を選択する場合もあるかもしれません。
先進医療とは、公的医療保険の対象とできるか、評価の段階にある治療や手術です。まだ公的医療保険の対象となっていないため、技術料の全額が自己負担になり、高額療養費制度の対象からも外れます。
例えば重粒子治療は約310万円、陽子線治療は約270万円と、かなり高額な治療費ですが、これを全額自己負担することになります。
「幅広い選択肢から治療を選択したい」と考える方は、この治療費にどう備えるかを考える必要があるでしょう。
表2 重粒子線治療と陽子線治療にかかる技術料その他
重粒子線治療 | 陽子線治療 | |
---|---|---|
平均技術料 | 3,123,757円 | 2,714,943円 |
平均入院期間 | 8.2日 | 19.1日 |
年間実施件数 | 703件 | 1,196件 |
※2019年7月1日~2020年6月30日の実績
資料:厚生労働省「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」[3]をもとに作成
希望などに合わせて最適な備えをすることが重要
がんにかかる治療費は、公的医療保険適用の治療であれば高額療養費制度が利用できますので、経済的な負担をある程度抑えることができます。
しかし先進医療などを選択する場合は、治療費が大きくなるでしょう。
大切なことは、まず早期発見・早期治療ができるように、健康的な生活習慣を身につけること・定期的な健診を受けることです。
そしてもうひとつは、もしがんと診断されたときでも金銭的な心配なく治療が受けられるよう、貯蓄や保険で備えておくことです。
ご自身の希望や資産状況などに合わせて、最適ながんへの備え方を考えていきましょう。
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出典 |
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- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2016年8月30日です。
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