祖父母が契約者になって、孫のために学資保険を契約することはできますか?
掲載日:2017年1月20日
学資保険については、被保険者となるお子さまの祖父母の方が契約者となって学資保険に加入できる場合があります。
子育て中の世帯では、なかなかお子さまの進学資金のための貯蓄をゆとりをもって行うことは難しいのではないでしょうか。そんなときに「祖父母の方からの援助があれば助かる」という方は多いでしょう。
保険会社でも、ホームページなどで祖父母の方向けに学資保険を説明するページを設けているケースも見受けられます。
しかし、実際に祖父母の方が契約者となって申し込みをする場合には、以下の点に注意が必要です。
保険会社によって加入できる年齢の上限が違う
学資保険の多くに、「保険料払込免除特則」が付加されています。契約者の方が保険期間中に「死亡または所定の高度障害状態」のいずれかに該当した場合には、それ以降の保険料の支払いが免除される特則です。
死亡または所定の高度障害状態に該当する可能性は、一般的に年齢とともに高くなりますので、契約者の年齢に制限が設けられています。
年齢の上限は保険会社によってさまざまですが、45歳や69歳、75歳までとしているところがあります(お孫さまの年齢により異なることがあります)。
祖父母が申し込みできる学資保険であっても、契約者の年齢に上限があるため、必ず確認しておきましょう。
親(父母)の同意や「お孫さまとの同居」や「お孫さまを扶養していることの証明」が必要な場合がある
祖父母の方が契約者となって学資保険に申し込む場合には、お孫さまの「親権者」である親(父母)の同意が必要になります。
多くの場合、申込書類の「親権者同意欄」に、親(父母)に自署していただくことになります。
さらに保険会社によっては、祖父母の方が契約者になる場合、お孫さまとの「同居」を条件にしている場合があります。
少し前のデータになりますが、内閣府の「国民生活白書平成19年版」の「親世代と既婚の子ども世代の同居率の推移」によると、1980年には52.5%だった同居率が、2005年には23.3%にまで減少しています。
せっかく祖父母の方が学資保険の契約者として名乗りを上げてくださっても、同居が条件になると考え直さないといけないケースも出てくると思われます。
また、「お孫さまを扶養していること」の証明を条件にしている場合もあります。しかし、お孫さまを扶養されている祖父母の方は、それほど多くないと想像されますので、かなり高いハードルといえるのではないでしょうか。
祖父母の場合は高齢になるので告知(健康状態の質問)の面で厳しいことが予想される
保険料払込免除特則が付加されている学資保険の加入時には、契約者となる祖父母の方の健康状態の告知が必要となるため、健康状態が良好でないと学資保険に加入できないことがあります。
「保険料払込免除特則なし」のプランがない場合がある
それなら保険料の払込免除はなくてもいいよ、という方もおられるかもしれません。
確かに保険会社によっては、「保険料払込免除特則なし」の学資保険のプランを用意しているところもありますが、一般的に、保険料払込免除特則の有無を選べない学資保険が多いようです。
加入条件については、保険会社ごとに違いがありますので、必ず保険会社に確認をするようにしてください。
祖父母が契約者になる場合に気をつけること
いろいろな条件をクリアーして、祖父母の方が契約者になれたとしても、契約の際に注意すべきことがあります。
「祝い金」や「満期金(満期保険金)」は課税対象となる
学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)は非課税だと思っておられる方が、少なからずおられるのではないでしょうか。
学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)はもともと非課税なのではなく、非課税枠の範囲で済むプランに加入しているために、課税されないだけなのです。
学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)は、契約者と受取人が同一の場合、基本的に所得税(一時所得)の対象となります。計算式は以下のとおりです。
(祝い金や満期金(満期保険金)の総額-それまでに支払った保険料総額-特別控除額50万円)=一時所得
一時所得×1/2=課税対象となる金額
この式でわかるように、加入した学資保険で受け取った祝い金や満期金(満期保険金)の総額と、支払った保険料総額の差が、特別控除額50万円以内の場合は課税対象になりません。
一方、最近見られる学資保険で、祝い金を18歳などから4年間(5年間の場合もあり)、毎年年金形式で受け取るプランがあります。これは大学生活での出費に備えるプランです。
この場合は同じ所得税でも一時所得ではなく「雑所得」となり、計算式も以下のようになります。
雑所得=(祝い金や満期金(満期保険金)の総額)-(それまでに支払った保険料総額)
雑所得には、一時所得のように特別控除が適用されませんので、注意が必要です。
祖父母が契約者になる場合、契約形態によっては贈与税が課せられることも
学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」の名義の組み合わせによっては、祝い金や満期金(満期保険金)の受取時に、「所得税」ではなく、「贈与税」が適用される場合があります。
前述の所得税が適用されるのは、「契約者=受取人」の場合です。しかし、祖父母の方を契約者として、学資保険を検討される方の多くが、受取人としてお孫さま、またはお孫さまのご両親を希望されます。
この場合は、受け取る祝い金や満期金(満期保険金)は、受け取るタイミングにかかわらず、贈与税の対象になります。贈与税にも110万円までの非課税枠はありますが、学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)の受取総額が110万円を超えることはよくあるため注意が必要です。
整理してみると下の表のようになります。
学資保険に加入する際は、保険会社や保険代理店の方とよく相談し、検討するようにしてください。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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