学資保険と生命保険の違いは何ですか?また、学資保険に入っていれば生命保険は不要ですか?
掲載日:2016年10月6日
学資保険はお子さまの将来の教育費の積み立てを目的として加入するもので、あくまでも「教育費」の確保がメインであり、万一のことが起こった後の「生活費」まではカバーできません。
他方、「生命保険」は、ご家族のなかの収入の柱となる方に万一のことがあった場合に、残されたお子さまやご家族の「生活に必要な資金」を確保するためのものです。学資保険と生命保険は目的が違うことを知っておきましょう。
ご存じですか?ご主人に万一のことがあった場合の必要保障額。生命保険は必要保障額をカバーするための保険です。
ここでは、ご主人さまが収入の柱となっている家庭を例にしたいと思います。ご主人さまに「死亡または所定の高度障害状態」という万一のことがあり、収入が途絶えた場合に、残されたご家族が生きていくために必要な資金のことを「必要保障額」といいます。
○必要保障額は、図1のような費用の総額を計算によって算出します。
図1
(A)遺族の生活費
ここでは、末子独立までの生活費は、「現在の年間生活費の70%×末子が22歳で独立すると仮定した時の残年数」、末子独立後の妻の生活費は、「現在の年間生活費の50%×(末子独立時の妻の平均余命)」で算出します。
計算式に表すと以下のようになります。
- 遺族の生活費=(末子の独立までの生活費)+(妻の老後の生活費)
- 末子の独立までの生活費=(現在の年間支出)×0.7×(22歳-末子の年齢)
- 妻の老後の生活費=(現在の年間生活費)×0.5×(末子独立時の妻の平均余命)
(B)教育費
資料:文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成27年度)」をもとに作成
(C)住居費
団体信用生命保険の付保されていない住宅ローンや妻名義の住宅ローン、固定資産税、リフォーム費用など
なお、持ち家の場合は住宅ローンに団体信用生命保険が付保されているケースが高いので、住宅ローン残高は考慮しなくて良いでしょう
(D)死後の整理費用
葬儀代、相続税、借入金の返済など
○生命保険は万一のことが起こった時に必要保障額の不足分を補うためのもの。万一のことが起こらなかった場合は保険金を受け取ることはできません。
生命保険は、必要保障額から「公的年金」や「妻、家族の収入」など、将来見込める収入を差し引いた後の「不足額」を確保するための保険です。
図2 生命保険の必要保障額のイメージ
(E)遺族年金(公的年金)
遺族厚生年金や遺族基礎年金など、公的年金から支給される「遺族年金」
(F)妻の収入、預貯金など
(A+B+C+D)-(E+F)=生命保険の必要保障額
お子さまの進学に必要な教育費も必要保障額に含まれていますので、ご主人さまに死亡または所定の高度障害状態という万一のことが起こった場合には、生命保険は大変有効ですが、健康で過ごされている場合には、生命保険から教育費を受け取ることは通常できません。
何も起こらなかった場合でも学資保険は有効。でも必要な教育費のすべてをカバーできるわけではありません。
一方で学資保険は、ご主人さまに万一のことが起こらなかった場合にも「祝い金」「満期金(満期保険金)」の形で、教育費を受け取れます。
また、多くの学資保険には「保険料の払込免除特則」が付加されているため、契約者であるご主人さまに、死亡または所定の高度障害状態という万一のことが起こった場合には、それ以降の保険料の支払いが免除された上、予定通りの祝い金や満期金(満期保険金)が受け取れます。
このように学資保険は「貯蓄」と「保障」を兼ねたプランといえます。
しかし、幼稚園から大学までの教育費総額はお子さま一人につき約1,000万円~2,500万円程度が必要(表1参照)であり、学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)だけでは万一の時のすべてを賄うことはできません。
そのため、学資保険だけでなく生命保険への加入が必要になるといえます。
図3 教育費と学資保険の関係(イメージ)
学資保険の目的はお子さまの将来の教育費の備え。場合によっては学資保険加入の前に生命保険の見直しが必要なことも。
学資保険の本来の目的は、「ご主人さまに万一のことがあっても、お子さまが教育を受け続けるのに困らないようにする」ことであり、一方の生命保険は収入の柱となる方に万一のことがあった場合の保障を得るためのもので、そもそもの目的が全く異なります。お子さまの将来のために教育費を備えることは「効率よく貯蓄する」ことよりも重要だと考えられます。
しかし一般的には、すでに何らかの生命保険に加入され、一定額の保障をお持ちの方が多いため、教育費を効率的に貯蓄するプランの一つとして、学資保険を検討される方が多いと思います。
もし、生命保険の必要保障額に不足がある場合には、学資保険に予算を回す前に、まずは生命保険の見直しを検討されてはいかがでしょうか。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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