学資保険の選び方が分かりません。商品を選ぶポイントを教えてください。
掲載日:2016年3月3日
更新日:2020年8月26日
教育資金の用途として大学進学費用を重視するか、中学校・高校などの進学時にも資金を利用するかがポイントです。
学資保険を選ぶ際には、まず次の2つの点が大切です。
・お子さまの進路選択のイメージを持つこと
・必要となるであろう教育費の目安を把握しておくこと
お子さまの進路選択のイメージを持つこと。男子・女子の差はほとんどなくなってきている
- 大学進学率は30年間で倍増
- お子さまの進路選択に大学進学を想定するかどうかで、教育費の総額は大きく変わります。文部科学省「令和元年度 学校基本調査」によると、1989年に24.7%だった大学への進学率が、2009年には50%を超え、2019年では53.7%となっています。
- 図1 大学進学率の推移
- 資料:文部科学省「令和元年度 学校基本調査」をもとに作成
- 男女間の大学進学率の差も僅差に
- 男女別に大学進学率を見た場合、1989年には男子34.1%、女子14.7%と男女差がありましたが、2019年には男子56.6%、女子50.7%と男女間の差は小さくなってきています。
- 図2 男女別大学進学率の推移
- 「自分は大学に行かなかったから、わが子も……」といった先入観は禁物です。お子さまが成長され進学を希望されるなら、それに応えてあげられるように準備をしておくのが理想ではないでしょうか。
資料:文部科学省「令和元年度 学校基本調査」をもとに作成
必要となるであろう教育費の目安を把握しておくこと
国公立と私立の違いも教育費を左右する要素です。私立高校の授業料が国立大学並みになるケースも見受けられます。
- 大学初年度費用は国立大学が817,800円、私立大学平均が1,336,033円
- 国立大学の入学に際し必要な初年度費用は、学部や立地、キャンパスの広い狭いに関係なく、授業料は一律で535,800円、入学金が282,000円(注)の合計817,800円となっています。
(注)公立大学の入学金は、入学者やその家族の住所(地域内、地域外)によって金額が変わる場合があります。 - 表 大学の費用
- (単位:円)
- 資料:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」ならびに「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」をもとに作成
- 私立高校の初年度費用は全国平均736,677円、私立中学校の初年度費用はなんと平均796,193円
- 一方、私立高校の初年度費用は全国平均で授業料404,713円、入学金163,362円、施設整備費等168,602円の合計736,677円となり、国立大学の初年度費用と遜色がない状況です。
- また、私立中学校の初年度費用の全国平均は、私立高校を上回る796,193円です(文部科学省「令和元年度 私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」を参照)。
- 2014年4月以降、世帯年収によっては「高等学校等就学支援金制度」に基づき私立高校への進学者にも就学支援が行われるようになりました。
- 2020年3月までは就学支援金は最大で年間297,000円にとどまりました(ただし、国の就学支援金に加え、各都道府県で授業料等の支援を設けている場合がありました)が、2020年4月以降は、就学支援金は最大で年間396,000円まで引き上げられました。
- 高校の費用はこのような支援により負担の軽減が図られていますが、中学から大学まで全て私立に通った場合は、平均額で計算すると、学校に対する支払いだけで10年間の合計が約787万円になります。
- 図3 中学校から私立に進学した場合の費用(例)
- (単位:万円)
- ※中学・高校・大学いずれも毎年施設整備費等を支払うと想定した場合
※大学は私立文系に進学の場合 - 資料:文部科学省「令和元年度 私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」ならびに「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」をもとに作成
- 中学・高校・大学ともに初年度に費用が高くなることに加えて、受験のための塾代などの費用が別にかかってくる可能性があることに注意しましょう。中学から大学まで全て私立に通う場合、10年間の教育費は800万円以上かかるとみておく方が良いかもしれません。
学資保険の「祝い金」や「満期保険金」、受け取りのタイミングの違いに注意
学資保険は、同じ保険会社の学資保険でも、プランによって祝い金や満期保険金の受け取りのタイミングはさまざまです。学資保険で積み立てた資金をどのタイミングで活用するか、あらかじめイメージしておくことが大切です。
- 大学4年間の費用重視型:大学進学後の学費準備を重視する方向けのプラン
- 近年の学資保険のプランで増加してきたタイプです。お子さまが18歳になった後の指定日以降、毎年祝い金を受け取れます。
- 図4 大学4年間の費用重視型(例)
- 大学初年度費用に重点を置いた一括受取型:教育費のなかで、最も出費が多くなると考えられる大学入学時の費用を重視したプラン
- 満期保険金を一括で受け取るため、使い道の自由度が高くなります。
- 図5 大学初年度費用に重点を置いた一括受取型(例)
- 進学のタイミングに応じて受け取れるステップ型:幼稚園から大学まで進学時期にあわせた受け取りプラン
- 「幼稚園入園」「小学校入学」など進学のタイミングごとに受け取れるプランです。進学時期にあわせて祝い金を受け取るため、入園・入学手続き時の対応はしやすくなりますが、その分、大学在学中の教育費に回せる資金は少なくなります。
- 図6 進学のタイミングに応じて受け取れるステップ型(例)
いくら条件が良くても、必要な時期に必要な金額が使えなければ「絵に描いた餅」
お子さまの誕生時に、将来の進路選択をイメージしていても、実際にはそのとおりにいかない場合もあり得ます。
学資保険だけでなく他の方法も含め、お子さまが選択される進路に応じた対応ができるように貯蓄計画を検討するようにしてください。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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