教育資金の準備に「学資保険」が選ばれる理由は何ですか?
掲載日:2016年10月6日
学資保険が、「貯蓄」と「保障」がセットになった総合的な保険商品であることが評価されている理由として挙げられます。
- 学資保険の加入率は57.2% 20歳代では6割以上が加入
- 進学資金の準備には、学資保険以外にも普通預(貯)金や定期預(貯)金などの貯蓄、株や国債などを活用した投資などが考えられます。
しかし、平成25年6月26日から7月1日にかけてNTTコムリサーチが実施したインターネットアンケート「学資保険に関する調査」によると、10歳未満の子ども(生まれていない子も含む)がいる20歳代~50歳代の全国男女の学資保険への加入率は、20歳代が63.4%、全年齢平均で57.2%となっています。
一方で、学資保険に加入していない方の未加入の理由についてみると、「預貯金で対応するから」が35.6%、「投資を行っているから」が7.6%、「十分な資金を持っているから」が4.8%でした。
アンケート対象者の20歳代から50歳代まで、全ての年代で50%以上の方が加入している学資保険。なぜこのように学資保険が人気なのでしょうか。その特徴を見ていきたいと思います。
学資保険の長所とは
資産運用に要するような専門知識がなくても確保できる貯蓄性
前述の調査で、「学資保険を選ぶときに気になったポイント」の質問に対し、89.4%の方が「返戻率(払込保険料総額に対する受取総額の割合)」と回答しています。
加入時のお子さまやご両親の年齢、払込期間にもよりますが、学資保険には返戻率の高いプランだと110%に届くプランもあります。この数値は、1年複利の金利に換算すると年利1%を超える水準になります。
現在の学資保険で、返戻率が100%を超えるプランを探すことはそれほど難しくありません。ただし、お子さまの年齢が高かったり、医療保障などがあるプランを選択した場合には、学資保険でも元本割れすることがありますので、ご注意ください。
投資などの資産運用の場合、学資保険の返戻率を超えるプランもたくさん探せると思いますが、投資についての専門知識が必要になることも多く、元本割れのリスクも学資保険より高いため、一般的には「ハイリスク、ハイリターン」の方法といえるでしょう。
他の貯蓄方法にはない「万一の保障」
学資保険の多くに「保険料払込免除特則」が付加されています。これは、契約者が保険期間中に「死亡または所定の高度障害状態」に該当した場合には、それ以降の保険料の支払いが免除された上、予定通りの「祝い金」「満期金(満期保険金)」が受け取れる特則です。
はじめに紹介した学資保険に関する調査でも、68.0%の方が学資保険を検討する際に「保護者に何かあったときの保障」を気にされています。
保護者に何かあったときの保障をさらに手厚くするには、返戻率は低くなりますが、「育英年金特約」を付加しておくと、保護者(契約者)に万一のことがあった場合には、祝い金や満期金(満期保険金)以外に毎年決まった保険金を受け取ることができます(育英年金特約のない学資保険もあります)。
預貯金には「元本割れ」のリスクはありませんが、保護者に万一のことがあった場合、それ以降の貯蓄ができなくなり、予定していた進学資金が確保できない場合があります。しかし、学資保険なら、「貯蓄」と「万一の保障」を用意することができます。
税金面について
学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)は一般的な契約形態の場合(例:契約者・父、被保険者・子ども、受取人・父)、「所得税(一時所得)」の対象になりますが、保険会社のパンフレットに掲載されているような標準的なプランであれば、特別控除額50万円の適用などにより、非課税となることが多くなっています。
ただし、学資保険の祝い金を毎年年金形式で受け取るプランの場合は、「所得税(雑所得)」が適用されるため、自営業の方などは注意が必要です。
また、毎年の保険料が「一般生命保険料控除」の対象になる点も、他の貯蓄方法とは異なる点です。
学資保険ならではの注意点も
学資保険は貯蓄プランとして優れている面も多いですが、同時に注意すべき点も存在します。
途中解約時のリスク
何らかの事情で、学資保険の保険料の支払いを継続できなくなり、途中で解約する場合には、解約返戻金を受け取ることができます。
預貯金などであれば、途中で積み立てを中止しても、引き出しさえしなければそれまでに貯めたお金が減ることはありません。しかし学資保険では、解約のタイミングによっては、支払った保険料総額より少ない解約返戻金しか受け取れない場合がありますので、注意が必要です。
それでも、契約から一定年数経過すれば途中解約しても元本割れにならないことがありますので、保険会社や保険代理店で見積書などを作成してもらい、確認するようにしてください。
急な出費への対応が難しい
預貯金による貯蓄の場合、何かの理由で急な出費が必要になったとき、すぐに対応することが可能だと思います。
一方で、学資保険の場合は、急な出費への対応が難しい場合があります。
解約による元本割れのリスクだけでなく、申請してから実際に解約返戻金を受け取るまで、保険会社によって異なりますが、1週間程度は見ておく必要があります。書類の不備などがあった場合にはさらに時間がかかることがあります。
事務処理の時間さえ気をつければ、学資保険には「契約者貸付」の制度もあり、学資保険を解約することなく、当座の資金を保険会社から借り受けることが可能です(解約返戻金の金額など、条件によっては契約者貸付制度が利用できないこともあります)。
ただし、契約者貸付は借り入れの一つですので、返済が遅れると利息が増えていくことになり、返済総額も増えていきますのでご注意ください。
受取時期や金額があらかじめ決まっている
学資保険の祝い金や満期金(満期保険金)の受取時期は、加入する時点で決まっています。
保険会社によっては、祝い金を受け取らずに据え置いたり、祝い金や満期金(満期保険金)を繰り上げて受け取ることもできる場合があります(繰り上げて受け取った場合、当初設定された祝い金や満期金(満期保険金)より受取額は少なくなります)。
しかし、据え置き、繰り上げとも、保険会社ごとに制限がありますので、お子さまの進路選択や進学タイミングに必ずマッチするとは限りません。
そのため、学資保険の受け取りタイミングとお子さまの進路がうまく合わない場合に備え、手持ち資金で対応する準備も必要です。
このように、学資保険についての長所と注意点を考慮しながら、お子さまの実際の進路選択に対応できるように、複数の貯蓄方法と併用して教育資金を準備していくことが大切です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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