持病があるとき、保険はどうする?
持病のある方が医療保険(入院保険)に加入した場合、健康な方と比べると保険金を受け取る確率が上がってしまうため、他の方と公平性を保つために、医療保険への加入が難しくなっています。
しかし、持病がある時こそ医療保険などでリスクに備えたいものです。
そこで、持病がある場合の医療保険の備え方をみていきましょう。
引受基準緩和型や無選択型を選ぶ
持病があっても入りやすい医療保険の種類として「引受基準緩和型」や「無選択型」があります。
保険に加入する場合には、基本的に事前に健康状態を告知して一定の基準を満たす必要があります。
引受基準緩和型は加入前の告知事項が少なく、健康状態の条件となる基準が低いため、持病があっても加入しやすくなっています。
また無選択型は年齢などの条件を満たせば健康状態にかかわらず、どなたでも加入できるものになっています。
ただし、いずれも一般の医療保険に加入する場合と比較して保障内容に一定の制限があります。
例えば引受基準緩和型の場合、契約日から1年以内に保険金を支払う場合に給付される金額は保険金額の半分に抑えられているのが一般的です。
それは入院1日あたり5,000円の給付がもらえる医療保険でも、契約してから1年間は入院1日あたり2,500円しかもらえないというものです。
無選択型の場合は、契約後一定期間(90日間など)は保険金を全く支払われない規定を設けていることがあります。
また、引受基準緩和型や無選択型は、引受基準が緩和されていたり健康状態の告知が不要であったりするため、保険料は一般の医療保険と比較して高くなっています。
そのため持病があっても、まずは一般の医療保険で加入ができないか審査を行い、どうしても難しい場合に引受基準緩和型や無選択型を選ぶようにしましょう。
少額短期保険を活用する
少額短期保険とは、一定の事業規模の範囲内で商品が設計されている保険です。
例えば1人の被保険者が設定できる保険金額や商品に設定できる保険期間に上限があります。
またユニークな商品があるのも少額短期保険の特徴で、少額短期保険のなかには持病がある方でも加入しやすい医療保険があります。
例えば、一般的に医療保険への加入が難しい糖尿病の方でも加入できる少額短期保険があります。
このほか、がんや精神疾患と診断された方でも加入できる商品や、持病がある方でも加入できる医療保険が見つかる可能性があります。
少額短期保険事業者はかなりの数がありますので、まずはインターネットで「持病の名称+少額短期保険」で検索すると情報を見つけやすいでしょう。
なお、少額短期保険は、保険業法で規定されている保険契約者保護機構の補償契約には該当しないため、もし保険会社の経営が破綻した場合、保険契約者保護機構が行う資金援助の措置がないということを理解しておきましょう。
保険を見直す場合
すでに何らかの保険に加入しており、契約期間中に大きな病気にかかってしまったという場合もあるでしょう。
その場合は、健康な時に加入した既契約の保険と同様の保障を新たに得るのは難しいので、保障内容やサービス等に大きな不満がなければ、既契約の保険は継続することをおすすめします。
しかし医療保険は、少額短期保険を含め日々新たな商品が開発されています。
そのため時代の経過とともに、以前の保険商品より自分に適した医療保険が見つかった場合は、見直しを検討してみましょう。
持病があるとはいえ、まずは一般の医療保険で加入ができないか検討し、そのあと引受基準緩和型や無選択型などで探すと良いでしょう。
保険の見直し時に注意しなければならないのは、見直し後の保険の保障が開始するまで、以前の保険を解約しないことです。
万一見直しをしようと思った保険で加入できなかった場合や、引受基準緩和型や無選択型の医療保険などを申し込んだことで、保障が手薄になる期間がある場合は、その期間、見直し前の保障を活かすことができます。
保険以外にも方法を考えてみる
これまで述べてきたように、持病がある場合に医療保険で備えようとすると、加入できる保険は一部の医療保険に限定されたり、加入できても保障に制限があったり、保険料が高かったりして、容易ではありません。
そこで持病のリスクへの備え方として、保険以外の方法を考えてみるのも一案です。
例えば保険料を払ったつもりで毎月医療費に備える貯蓄をしてみます。
持病があっても加入できる医療保険で支払う高めな保険料と同じくらい貯蓄すれば、それなりの金額が貯蓄できるかもしれません。
教育費の負担などと重なりどうしても大きな出費を抑えたいなどの場合は、一定期間に限定した保障を備えるなどして保険料を抑え、並行して医療費用の貯蓄をしても良いでしょう。
保険は滅多に起こらないけれども起きてしまったら大きなリスクとなるものに対して備えるのが基本的な考え方です。
今後のライフプラン(どのように暮らしていきたいか)のなかで、同じお金を、保険料として支払って保障を得たいのか、それとも貯蓄として残していきたいのかを考えると判断しやすいでしょう。
まとめ
「引受基準緩和型」や「無選択型」、「少額短期保険の商品」などは、持病があっても一定のリスクに備えることができるので安心ですが、一般的な保険よりも保障に制限があったり、保険料が高くなったりすることがあります。
医療保険で備える場合、まずは一般の医療保険で加入を検討し、それから持病があっても入れる医療保険への加入を検討しましょう。
また、必ずしも保険に加入する必要はなく、今後のライフプランを考えながら、保険で備えたいか貯蓄で備えたいかを検討していきましょう。
-
コラム執筆者プロフィール
松原 季恵 (マツバラ キエ) - CFP®
銀行、損害保険会社での勤務経験から、多くのお客さまの相談に乗ってきました。
ファイナンシャルプランナーとして独立した際は、ライフプランを軸に「お金で楽しい毎日を」を心がけて情報発信しています。
ファイナンシャルプランナー 松原 季恵
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2019年9月30日
持病があっても入れる医療保険の種類別でみたメリットと注意点
持病があっても入れる医療保険のメリットを種類別でみてみましょう。
表1 持病があっても入れる医療保険のメリット
※スクロールで表がスライドします。持病がある方にとっては、保険に入れるだけで大きなメリットだと思うかもしれませんが、検討する際には以下のことに注意しましょう。