ぜんそく(喘息)でも加入できる医療保険・入院保険は?
世の中に多くの保険商品があるにもかかわらず、持病があるため加入できる医療保険を探すのに苦労したという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、持病があるからといって医療保険に加入できないとは限らず、通常の医療保険に加入できることもありますし、持病がある方のための医療保険もあります。
今回は、「ぜんそく」と診断された方が医療保険を選ぶときの手順や注意点についてご紹介します。
ぜんそくとはどんな症状?
ぜんそくとは、一般的には気管支ぜんそくのことをいいます。
アレルギー反応などによって気管支の炎症が慢性化すると、気道が狭くなり刺激に対して過敏な状態になるため、息を吐くときにゼイゼイ、ヒューヒューと音がしたり、突然息苦しくなったりします。
また、夜間や早朝に比較的多い症状として、咳が繰り返し起こることもあります。
ぜんそく発作の間隔には個人差があり、毎年春や秋になった頃から1カ月程度発作が続く方や、発作が1年中続く方などさまざまです。
なお、症状が軽い場合は特別な治療をしなくても治まることもありますし、まれにですが重症化すると死に至ることもある病気です。
まず、通常の医療保険に申し込みしてみませんか
持病がある方は医療保険に加入するのが難しいと思われがちですが、症状や程度は個人差があるため、通常の医療保険にも加入できる可能性があります。
申し込みだけなら誰でもできますので、諦めずにまず一度、書類を書いて提出してみましょう。
通常の医療保険に申し込む場合、告知項目に対して「はい」「いいえ」で答えていきますが、その答えによっては詳細記入欄に文章で説明を書くことを求められます。
詳細記入欄の主な内容としては、以下のようなことが一般的です。
- 過去の傷病名
- 治療期間、投薬期間
- 現在の健康状態
- 検査での指摘内容
記入する際には、質問事項に従って内容を詳しく正確に書きましょう。
保険会社としては判断材料がこちらからの提出書類のみですので、食い違いが生じることのないよう「ちょっと詳し過ぎるかな?」と感じるくらい詳しく書いておくことをおすすめします。
通常の医療保険で契約できたが、条件がついた
(1)告知の内容により特別な条件がつくことがある
告知書にぜんそくの病歴を記入して、通常の医療保険で契約が引き受けられた場合であっても、特別な条件がついていることがあります。
保険契約者間の公平性を保つために、給付金の支払事由が発生するリスクが高い方については、保険会社から契約に条件を提示されるのです。
例えば、「割増保険料」になる場合や、「特定部位・特定疾病不担保の条件つき」になる場合があります。
(2)特定部位・特定疾病不担保の条件とは
特定部位・特定疾病不担保の条件とは、保険会社が告知された内容から判断して、ある特定の部位または特定の疾病については、給付金の支払事由に該当しても一定期間は支払われないという条件のことです。
一般的に、ぜんそくの場合であれば「気管・気管支・肺臓・胸膜および胸郭」の病気で入院しても、契約から〇年間は給付金を受け取れないという条件がつくことを了承すれば契約できるといった内容の書類が送られてきます。
通常の医療保険に加入できる機会ですので、保険会社から届いた書類をよく読んで、理解した上で返信しましょう。
通常の医療保険では契約不可との通知が来た
特別な条件もつかず、今回の申し込みはご契約不可との通知が来た場合でも、がっかりすることはありません。
次に、「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型医療保険」を検討してみましょう。
(1)引受基準緩和型(限定告知型)医療保険
引受基準緩和型医療保険とは、申し込みのときの告知項目を通常の医療保険より少なくすることによって、保険加入の条件が緩和されているため、持病のある方でも比較的加入しやすい保険です。
保険会社によっては、限定告知型医療保険とも呼ばれます。
告知項目は、一般的に通常の医療保険より少ない3つ~4つ程度で、例を挙げると以下のような内容です。
- 今後3カ月以内に入院または手術の予定がありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院または手術をしましたか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)・上皮内がん・肝硬変で入院または手術をしましたか?
また、保険会社によっては「がん・上皮内がん・肝硬変で現在医師の治療を受けていますか?」などの項目が追加になることもあります。
これらの項目に対して「はい」「いいえ」で答えていき、必要に応じて詳細記入欄に説明を書きます。
告知項目が少ないため引き受けの可能性が高そうな印象ですが、間口が広い分、注意すべき点があるといえます。
それは、保険料が通常の医療保険より一般的に高くなってしまうことです。
また、契約から1年以内は、給付金の50%しか支払われないなどの条件が設けられることもあります。
(2)無選択型医療保険
医師の診断書や告知書を記入することなく申し込みのできる保険を「無選択型医療保険」といいます。
保障内容が同じであれば、通常の医療保険や、引受基準緩和型医療保険と比べると告知が不要な分、一般的に保険料がさらに高くなります。
図 喘息と診断された方の医療保険を選ぶ手順
資料:執筆者作成
まず通常の医療保険を申し込み、加入できなかったら引受基準緩和型医療保険・無選択型医療保険の順に申し込むという方法をご紹介しましたが、始めから引受基準緩和型医療保険を申し込むという選択もあります。
しかし、割増保険料になるなどの条件もありますので、よく注意して検討しましょう。
いずれにしても、ご自身が納得できる医療保険や入院保険を選択することが大切だといえます。
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コラム執筆者プロフィール
大川 真理子 (オオカワ マリコ) - AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 病院受付として医療費の相談を受けていた頃、お金についてのトータルな相談窓口の必要性を感じ、お金の勉強を始める。イギリスへの留学経験と日本語教師の資格も持ち、専門用語も分かりやすい言葉で伝えることを心掛ける。ブログにて税金や医療費制度などについて発信中。
ファイナンシャルプランナー 大川 真理子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2020年1月17日
ぜんそく(喘息)で保険の告知義務違反をするとどうなるの?
ぜんそくの方が保険に加入する際に、過去の傷病歴(傷病名・治療期間等)、現在の健康状態、現在の職業などについて正しく告知しなかった場合、どうなるのでしょうか。
事実を告知しないことやうその告知をすることは、「告知義務違反」に当たります。
告知義務違反が判明した場合、保険会社はその保険契約を解除することができると保険法によって定められています。
故意の場合だけでなく、重大な過失があった場合も告知義務違反となるため、注意が必要です。
生命保険会社は、告知義務違反があった場合、責任開始日から2年以内であれば保険契約を解除することができます。
なお、責任開始日から2年を経過していても、2年以内に支払事由が発生していた場合には、契約が解除されることがあります。
告知は生命保険会社に告知書を提出するか、もしくは生命保険会社が指定した医師に告げる必要があり、営業職員や保険代理店の担当者などに健康状態や傷病歴などを口頭で告げても告知したことにはなりません。
このように、正しく告知をしておかないと、「保険金を受け取れない」ということにもなりかねませんので、告知書の内容はありのままに、できるだけ詳しく記入するようにしましょう。
なお、ぜんそくが原因で通常の保険への加入が難しい場合には、告知内容を限定し加入時の条件を通常の保険よりも緩和した引受基準緩和型や限定告知型、健康状態の告知を必要としない無選択型などの医療保険という選択肢もあるので、覚えておくと良いでしょう。
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