母子家庭のお母さんが病気にかかったら
離婚件数は、平成21年度厚生労働省の「離婚に関する統計」によると、平成14年の289,836件がピークでそれ以降は、減少傾向にあるものの、平成20年は251,136件です。
依然として、年間25万件以上と高い水準で推移しています。母子家庭も、当然増える傾向にあることがうかがえます。
データを追ってみましょう。厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によると、母子家庭の推計世帯数は、約124万世帯となっています。
平成22年の約115万世帯と比べると増えているのがわかります。多くの母子家庭では、お母さんが働いて生活を維持しています。
お母さんが働けなくなると、収入が途絶えます。子どもの世話をする人がいなくなりますので、誰かに頼らなければなりません。
蓄えがあれば急場をしのぐことができますが、母子家庭の場合は、生活に余裕がないケースが少なくありません。
厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によると、母子家庭の半数近くの47.7%が、50万円未満の預貯金額となっています。
平均年収も約291万円となっています。
医療費については、まず公的制度を最大限活用しましょう。
父子家庭を含むひとり親家庭に対しては、自治体から医療費の助成があるところがほとんどです。健康保険の範囲内の医療費に対して、必要な費用の一部を助成してくれるものです。
対象は、ひとり親家庭の父母と扶養している子どもです。
それでも何かと現金は必要です。貯蓄が少ない場合は、まずはいざというときの予備費として、少しずつでも貯蓄を増やしましょう。
予備費は、お母さんが病気になったときだけでなく、子どもが病気になったときの諸費用、仕事ができなくなったときの生活費、災害にあったときの備え等、何かあったときに使うための貯蓄です。普段の生活費の半年分を目標としましょう。
保険で備えるのも最低限必要でしょう。
予備費の貯蓄を増やすと同時に、保険に加入しておくことが安心につながります。医療保険は、入院や手術の備えができます。
手術を伴う入院の場合は、まとまった医療費が必要となりますので、保険で備えておけば安心です。
入院を伴う病気の場合は、子どもを預かってくれる人や施設をあらかじめ確保しておくことも備えとして必要です。
親族等に頼れる人がいない場合は、自治体に相談しましょう。また、それらに対する費用が必要になります。医療保険を検討する際には、これらの費用を見込んだ、入院日額の設定をしてもよいでしょう。
保険加入の際に注意したい点は、給付金は契約者本人の請求により、支払われます。
病気にかかると、本人は請求もままならない場合もありますので、保険請求を親や兄弟等の本人以外の人が給付金を請求できるように、給付金指定代理特約を付けておきましょう。
病院での治療が終わっても、体調が本格的に回復するまでに時間がかかるケースがあります。すぐには働けないこともありますので、その間の備えも必要です。
公的保険の制度で、会社員の加入している健康保険では、4日以上連続で休んだ場合に標準報酬日額の3分の2が支払われる「傷病手当金」があります(最長1年6ヶ月支給されます)。
収入が途絶えると生活が苦しくなるので、この制度はとてもありがたいものです。国民健康保険では、市町村の任意のため、傷病手当金がないところがほとんどです。
正社員の場合は、病気やケガの公的保障が厚いため、母子家庭ではお母さんの働き方の選択も重要であるといえます。
いざというときの備えをきちんとしていると、不安がなくなり元気に働き、家庭を守ることができるでしょう。
母子家庭のお母さんこそしっかりとした備えが必要ですね。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年9月12日
母子家庭の母親が気になる入院費を補う保険や公的支援制度
母子家庭の母親を支援する公的制度は多く存在します(ひとり親家庭等医療費助成制度など)。
このような公的支援制度によって、通院や入院により発生した費用を全て補えることもあるでしょう。
しかし、公的支援制度だけではいざというときに子どもが心配なため、安いものでも保険に加入しておきたいという気持ちがあるのではないでしょうか。
母子家庭の母親が加入した方が良いとされる保険はいくつかあり、代表的なものとして死亡保険や医療保険などがあります。
もちろん余裕があればそれら全てに加入することが最善かもしれませんが、金銭的な面からみてもそう簡単なことではなさそうです。
そのため母子家庭の母親は、特に下記の視点から、自分に本当に必要な保険を見極める必要がありそうです。
保険を検討するときの注意点
- 自分がいざ働けなくなったときや、亡くなったときに最大限に子どもを支援してくれるか
- 安定して保険料を払い続けることが可能か
公的支援制度を上手に活用しつつ、賄いきれない部分や心配な部分を保険で補うような利用の仕方が大切でしょう。