1入院の限度日数はどのくらい必要か?
医療保険を選択するときに、1入院あたりの保障限度日数を何日にすれば良いのでしょうか?
判断する材料として、多くの保険会社がパンフレットで使用している厚生労働省の統計から、実際の入院事情を確認してみましょう。
平均の入院日数は32.8日
下記は厚生労働省が調査している「患者調査の概況」から、傷病ごとの平均在院(入院)日数の推移を表したものです。
資料:厚生労働省「平成23年患者調査の概況」
※平成23年は施設所在地が宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県を除いた数値
総数では、平成23年の平均在院(入院)日数は32.8日となっています。
前回調査の平成20年からは2.8日(約8%)短縮しています。入院日数の短期化傾向は平成2年から続いており、21年間で実に12日も短縮しています。
傷病別にみるとかなりバラツキがあり、悪性新生物(がん)は20日前後と比較的短いですが、脳血管疾患は93.0日、気分(感情)障害は106.2日とかなり長くなっています。
年齢によってかなり異なる入院日数
次に性別・年齢階級別の平均入院日数を確認してみましょう。
退院患者の平均在院(入院)日数(性・年齢階級別)
資料:厚生労働省「平成23年患者調査の概況」
※施設所在地が宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県を除いた数値
平均入院日数は、ほぼ年齢に比例して長くなっています。
最も短いのが1~4歳の6.5日で、40~44歳は21日、70~74歳は35.6日、90歳以上では81.1日となっています。
男女別では、19歳まではほぼ同数ですが、20歳からは男性の方が女性よりも長くなっていて、35~39歳では女性11.6日に対し男性は15日も長い26.6日となっています。
70~74歳からは今度は女性の方が長くなり、90歳以上では男性57.9日に対し女性89.7日とかなりの差があります。
必要な1入院の限度日数は?
統計では平均入院日数は短期化傾向にあり、世代によって日数が大きく異なることがわかりました。
統計をもとに考えれば、平均入院日数(32.8日)を上回る60日程度あれば、多くの傷病に十分対応できそうです。
平均入院日数の長い傷病にも安心した備えを望む場合や、比較的高齢な世代が医療保険に加入するのであれば、もう少し長い(120日や360日等)医療保険を選んだり、特定の疾病(脳血管疾患を含む)による入院の場合は限度日数が長くなるような医療保険を選んだりすると、より安心できそうです。
ただ、1入院の限度日数に比例して保険料も高くなっていくことから、備えの一部を貯蓄で対応することも考え、保障と保険料のバランスが取れた選択を心掛けるようにしましょう。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年10月24日
医療保険の入院日数の数え方を理解しよう
医療保険には、1入院の限度日数が設定されています。
1入院の限度日数とは、「1回の入院で何日分まで給付金が受け取れるか」というもので、保険商品によって異なります。
30日型、60日型、120日型、180日型、360日型、730日型、1095日型のように、短期の入院に対応する保険や、長期の入院にも対応する保険など、さまざまな型があります。
例えば45日間入院した場合は、30日型の保険に加入していれば30日分の給付金、60日型の保険に加入していれば45日全ての分の給付金を受け取ることになります。
しかし、入院日数の数え方には注意が必要な場合があります。一般的に、前回入院の退院日の翌日から180日以内に、同じ病気を原因として再入院した場合は、継続した1入院とみなされます。
例えば30日間入院し、退院の一カ月後に同じ病気を原因として30日間再入院した場合は、前回入院の退院日の翌日から180日以内に再入院していますので、継続した1入院とみなされます。
そのため、30日型の保険に加入していれば、最初の30日間で1入院の限度日数分の給付を全て受け取っていますので、残り30日分の給付金はありません。
ただし、再入院が前回入院の退院日の翌日から180日を経過していれば、同じ病気を原因とする再入院であっても、別の入院として扱われます。
また、前回の退院日の翌日から180日以内に、前回とは異なる病気を原因として入院した場合は、保険商品によって「継続した1入院として扱われる」ケースと「別の入院として扱われる」ケースに分かれます。
前回とは異なる病気を原因とする入院の扱いの違い
- 前回入院の退院日の翌日から180日以内に入院した場合は、継続した1入院として扱われる
- 前回入院の退院日の翌日から180日以内に入院した場合であっても、前回とは別の入院として扱われる
※保険商品によってどちらの扱いになるかが異なる
注意点の1つとして、医学上関連があれば、病名が別でも同じ病気とみなされる場合がある点が挙げられます。
医療保険は、このように商品によって入院の扱いが異なることがあるので、しっかりと違いを確認することが大切です。
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掲載日:2020年3月4日
免責期間に注意しよう
保険商品の保険金や給付金が受け取れない理由の1つに「免責期間(免責事由)に該当する場合」があります。
例えば病気やケガでの入院時に受け取れる医療保険の入院給付金は、入院の何日目から支払事由に該当するのか注意が必要です。
入院何日目から受け取れるかによって次のような種類に分けられます。
「日帰り入院型」は、当日の入院から1日目として数えられ、1日目から給付金を受け取れます。
また「1泊2日型」は、2日以上の継続入院時に1日目の入院から数えられ、1日目から給付金を受け取れます。
しかし「5日型(4日間は免責期間)」など免責期間がある場合には、5日以上の継続入院時に5日目から1日目として数えられます。そのため5日間(4泊5日)入院した場合は、5日目から1日目として数えられるので、5日から4日を差し引いた1日分の給付金を受け取れます。
その他にも保険金や給付金を受け取れない理由に「1入院の支払限度日数を超えた場合」や「通算支払限度日数を超えた場合」、「支払事由に該当しない場合」などがありますので、保険の契約時には必ず確認しておきましょう。
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