医療保険の入院給付金日額は 5,000円、1万円 いくらあればいいの?
医療保険の入院給付金とは?
民間の医療保険は一般的に、入院した時に1日当たり5,000円、1万円等契約内容に応じて定額の給付金が受け取れる仕組みになっています。
公的医療保険が実際かかった医療費に連動して負担額が増減するものであるのに対し、民間の医療保険は傷病に関わらず、“一定額=入院日額”を入院日数に応じて受け取ることができます。
(※医療保険によっては、一定の傷病に対し給付額を上乗せするタイプもあります)
では、その“入院給付金日額”はいくらあればよいのでしょうか?
下記のグラフは“入院時の1日当たりの自己負担費用”についての調査結果です。
出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成22年度
※治療費・食事代・差額ベッド代等を含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
※集計ベース:過去5年間に入院し、自己負担を支払った人
入院1日当たりの自己負担費用の平均は16,000円、最も多い分布は10,000円~15,000円未満の23.3%、10,000円以上が全体の約6割を占めています。
このデータだけを見ると、日額10,000円~15,000円程度は入院給付があるのが望ましいと感じられるかもしれません。
ただ、注意しなければならないのは、上記の自己負担費用には、かかった医療費の他に付加的な費用も含まれている点です。中でも“差額ベッド代”の平均額は6,000円弱(1日当たり)と入院費用の大部分を占めています。
厚生労働省が定めたルールによると、差額ベッド代を支払う必要があるのは“患者側が同意した場合のみ”で、“個室の必要があると病院側が判断した場合”“病院の都合で個室に入院させた場合”は患者に対し差額ベッド代を請求できないこととなっています。
“希望する病院の大部屋が空いていない”“転院を勧められる”等ケースバイケースではありますが、“必ず差額ベッド代を支払わなくてはならない”というわけではないことは知っておきましょう。
医療保険で入院費全てを賄う必要はない
入院時には差額ベッド代の他に、食費、衣類、快気祝い、家族の交通費等様々な雑費もかかってきます。ただ、医療保険で入院費の全てを賄う必要はありません。
入院日額5,000円の保険(日帰り入院から保障・手術給付金は1回につき一律10万円)に加入している人が、胃がんで手術をして30日間入院、病院への支払いが40万円(高額療養費適用後)だった場合、
入院給付額:25万円(5,000円×30日=15万円、手術給付金が10万円)
自己負担:15万円(40万円-25万円)
(実際は、先に医療機関に医療費全額を支払い、その後、加入保険会社に給付金を請求するのが一般的です)
入院給付金が1万円、手術給付金が20万円の保険ならば、
保険給付金はトータル50万円(1万円×30日+20万円)で10万円のプラス
となり助かりますが、入院給付金額が2倍になる分、月々支払う保険料も2倍程度になるため、日々の家計にとっては厳しい選択だということが分かります。
最近は医療技術が進み、入院日数は減少傾向、入院無しで通院や在宅で治療するケースも増えつつあります。
突然の病気で、入院、手術等の医療費が発生した場合、手厚い医療保険に加入していれば心強いかもしれませんが、加入期間中、1度も入院することなく健康で過ごせる可能性もあります。
医療保険はいざという時には助かる反面、使わなければ掛け捨てでなくなってしまうものが大半です。
保険は必要最低限で準備し、“何にでも使える貯蓄をしっかり準備しておくこと”を基本に考えるようにしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
この記事も参考に
掲載日:2019年8月27日
民間医療保険の入院給付金はいつ支給される?税金はかかるの?
保険会社から支払われる給付金等は、まとまったお金を受け取ることになるため、税金のことを心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一般的に、個人が入院給付金・手術給付金・通院給付金等を保険会社から給付された場合は非課税となり、税金が発生しません。
ただし、医療費控除の確定申告をする場合は、実際に負担した医療費を申告する必要があるため、給付金等を差し引いた上で申告する必要があります。
保険会社にもよりますが、給付金等の支払いは、全ての必要書類が不備や不足などもなく保険会社に到着した日の翌日から5営業日以内とされています。
しかし何か理由があって、保険会社が定める支払期限を超えて給付金等が支払われる場合、ほとんどの保険会社が「遅延利息」を付けた上で支払いを行うとしています。