入院費用ってどのくらいかかる?
病気やケガで入院したときのために、多くの人が医療保険・がん保険に加入したり貯蓄をしていますが、いくらかかるのか見当がつかないと、なかなか備えづらいものです。そこで、統計データをもとにおおよその入院費用をイメージしてみました。
入院費用は22万円程度
入院したときにいくらぐらいかかるかを表したデータはいろいろありますが、ここでは自治体が公表している国民健康保険の給付状況をもとに、イメージしてみました。下記は全国から任意で取り上げた2市1区の入院の給付状況です。
入院件数 | 療養給付金等の額 | 1件当たりの額 | |
---|---|---|---|
大阪市(平成23年度) | 154,972件 | 80,078,631,040円 | 516,730円 |
札幌市(平成22年度) | 128,764件 | 64,596,755,000円 | 501,668円 |
世田谷区(平成22年度) | 36,785件 | 18,880,490,000円 | 513,266円 |
※資料:大阪市「福祉事業統計集平成23年」、東京都世田谷区「平成23年の統計書総合編」、
札幌市「札幌市統計書平成23年版(退職者医療分を含む)」より
1件当たりの額は、筆者が療養給付金等の額を入院件数で割って計算しました。この1件当たりの額は健康保険からの給付額なので、健康保険の自己負担割合が全て3割(国民健康保険からの給付が7割)と仮定して自己負担の額を計算してみると、22万円程度(大阪市:221,456円、札幌市:215,000円、世田谷区:219,971円)になります。全てが自己負担割合3割ではないですが、入院費用をイメージするには十分なデータといえそうです。
入院費用は上昇傾向にある
先程のデータは直近のものだけなので、費用の推移を確かめるべく、札幌市を例に過去6年間の額も確認してみました。
年度 | 入院件数 | 療養給付金等の額 | 1件当たりの額 |
---|---|---|---|
平成17年度 | 123,283件 | 54,634,145,000円 | 443,160円 |
平成18年度 | 124,013件 | 56,455,607,000円 | 455,239円 |
平成19年度 | 130,739件 | 60,313,746,000円 | 461,329円 |
平成20年度 | 130,024件 | 60,967,915,000円 | 468,897円 |
平成21年度 | 128,205件 | 62,477,387,000円 | 487,324円 |
平成22年度 | 128,764件 | 64,596,755,000円 | 501,668円 |
※資料:札幌市「札幌市統計書平成23年版(退職者医療分を含む)」より
(1件当たりの額は筆者が計算)
1件当たりの給付額は、過去6年で13.2%も増えています。入院の平均日数が32.8日(厚生労働省の「平成23年(2011)患者調査の概況」より)で、平成20年に比べて2.8日(約8%)短縮、平成17年比では4.7日(約13%)も短縮しているにもかかわらず、入院費用は増えているのが実態のようです。
実際の入院費用は、傷病の種類や治療方法、医療機関、保険給付対象以外の費用(例えば差額ベッド代や交通費、入院時の身の回り品等)等によって大きく異なります。また、健康保険の高額療養費制度や上乗せ給付等により、負担額が22万円より少なくて済む可能性もあります。入院時の費用を細かく想定したい人は、必要となりそうな費用(差額ベッド代等)を一つひとつ足してみると良いかもしれません。
統計により入院時のおおよその経済的負担額がイメージできたのではないでしょうか。病気やケガによる入院・手術への備えは、貯蓄でも医療保険等への加入でも可能です。個々の状況や考えにあった備え方で安心を手に入れてみてください。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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