がん保険と医療保険の違い
がん保険と医療保険には、どのような違いがあるのかを確認しましょう。
1.がんに特化
医療保険は病気やケガなどの入院や手術に備える保険で、広く浅く保障されます。
一方、がん保険はがんに特化した保険で、狭く深く保障されます。
がん保険はがんになると保障は手厚いですが、がん以外での病気やケガの保障はありませんので、一般的には医療保険の上乗せで加入する位置づけになります。
2.支払限度日数無制限
医療保険には、入院した場合に支給される入院給付金に1入院あたりの支払限度日数が設けられています。
例えば、60日型と呼ばれる医療保険で入院1日目から給付金が支給される場合、70日間入院しても60日分しか支給されません。
一方、がん保険は原則として、1入院当たりの支払限度日数が無制限ですので、何日入院しても入院した日数分の給付金が支給されます。
3.通算の支払限度日数無制限
医療保険には、入院給付金の1入院あたりの支払限度日数だけではなく、通算の支払限度日数も設けられています。
例えば、通算支払限度日数1,000日型の医療保険の場合、この日数を超えると、たとえ終身保障であったとしても入院給付金の支払いはその時点で終了します。
一方、がん保険は通算の支払限度日数は無制限ですので、制限なく入院給付金が支給されます。
4.待機期間が90日間ある
医療保険の保障が開始されるのは、保険会社が承諾し、①契約の申し込み、②告知または審査、③第1回保険料払込、の3つがそろった日からになります。
なお、クレジットカードを利用する場合、そのカードの有効性が確認された日を第1回保険料払込と読み替えます。
一方、がん保険は、原則として上記3つがそろった日からさらに90日経過してから保障が開始されることになります。
この90日間にがんと診断されると契約は無効になり、がんで入院したとしても保障対象にはならず、給付金は受け取れない場合もありますので注意が必要です(待機期間のないがん保険もあります)。
5.がん診断給付金がある
医療保険では「がん診断給付金特約」などの特約をつけない限り、がんと診断されても給付金を受け取ることはできませんが、一般的ながん保険はがん診断給付金を受け取ることができます。
一生のうちにがんと診断されることが複数回あった場合は、回数制限なくその都度診断給付金が受け取れる商品もあります(前回給付金を受け取った時から2年以上経過していること等、条件が設けられていることがあります)。
最近はがんになったとしても入院日数は短期化していますので、がん診断給付金の重要性が増しています。
6.まとめ
主に上記のような違いがありますので、保険加入を検討する際はしっかり特長と違いを把握するようにしましょう。
また、医療保険の中には、がん保障と他の医療保障を兼ね備えた商品もあります。例えば、がんで入院した場合は、その他の病気やケガで入院した場合に比べ入院給付金が2倍になるものがあります。
加入の仕方には、「がん保険と医療保険の両方加入」、「医療保険のみ加入」、「がん保険のみ加入」、「がんに手厚い医療保険のみ加入」等、さまざまな選択肢があり悩ましいところです。
私が相談対応している事例の中でお伝えすると、医療保険とがん保険の両方に加入すると保険料が高くなりますので、医療保険のみ、または医療保険に特約でがん保障を付ける方が多いです。
ただ、家族にがんにかかる方が多く、不安に感じておられる方は、「保障が特に手厚いがん保険のみ加入」という方もおられますので、一概には言えません。
ご自身が心配なリスクに沿った商品を選択するようにしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
長谷 剛史 (ハセ タケシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 学校法人・会計事務所勤務を経て2007年1月、大阪府堺市に独立系FP事務所を開業。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではありますが、幸せな家庭を作る専門家でありたいと常々思っています。
住宅・資産運用・保険の3つの分野に強いファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを基本とした個別相談・講演・執筆等の活動を行っています。
ファイナンシャルプランナー 長谷 剛史
- ※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※本記事は、2016年8月10日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。
掲載日:2020年4月15日
がんになる確率はどれくらい?がんは医療保険で賄える?
ご自身ががんになるかどうかは、誰にも分からないものです。
もしもがんになったら、治療費は医療保険で賄えるでしょうか。それとも、がん保険での備えが必要でしょうか。
現在の日本のがんに罹患する確率・生存率から考えてみましょう。
国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん登録・統計」2015年データによると、一生涯の間にがんになる確率は、男性は63%、女性は48%で、「男女ともに約2分の1の確率でがんになる」といわれています。
次に、がんと診断された方の生存率ですが、2006年から2008年にがんと診断された方の5年相対生存率は、男女計で62.1%(男性59.1%、女性66.0%)となっています。
5年相対生存率とは、5年後に生存している人の割合が、日本人全体(性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団)で5年後に生存している人の割合に比べて、どのくらい低いかを表すものです。
5年相対生存率が6割を超えていることから、がん治療を多くの方が受けられていると考えられます。
医療保険でがんの治療費を賄えるかどうかは、ご自身のがんリスクなどによって変わるでしょう。上記の数字を参考に、どの程度の保障でがんに備えるかを考えてみてはいかがでしょうか。
がん保険・医療保険はさまざまな商品があるため、選択に悩まれたときは、保険の相談窓口を利用されるのも一つの手です。