がん保険と医療保険、保障が重複していませんか?
がん保険と医療保険、重複する保障を避けて加入はシンプルに!
「がん保険」の保障も大事、「医療保険」の保障も大事。そのため、両方に加入し安心を得ておきたい、というのが心情です。しかし、よく考えてみると保障が重複していませんか?
例を挙げれば、「入院・通院給付金」等です。もっとも不安を解消すべく、どちらも欲張って加入しておきたいものですが、給付時に給付金をそれぞれ受け取れるのは良いとしても、その分、支払保険料は多く払うことになります。
その保険料は、ライフプラン上の資産形成において無駄ではないでしょうか。過大な備えは見直しましょう。
例えば、30代夫婦が「終身保障タイプ」の「がん保険」と「医療保険」に、夫と妻それぞれが加入を検討するとします。
ご夫婦合わせて、合計4本の加入となります。また、現役時代の60歳までに保険料を払い終えたいので、「60歳払い済みタイプ」を選びます。
この4本を60歳払い済みタイプのものとした場合、月額4,000円の支払保険料(約30年間分)だとしたら、総額は576万円となります。
これは大金です。576万円(1人あたり約288万円)かかる入院手術が、これから先あるかどうかが判断の材料となります。
この資金の一部を、老後資金に回すことができれば…、と考えることもできますね。保障が重複している分は、無駄な保障ではないのか?を考えてみましょう。
必要最低限をモットーにシンプルに備え、過剰な保険料の分を貯蓄しながら「資産形成」をしておけば、万一のときに、ここから取り崩していくこともできます。このような合理性を持ち合わせたいものです。
次に「医療保険」か「がん保険」か?…、どういったポイントから合理的な優先順位をつけるべきかを考えてみましょう。
一般的に病気での入院に対しては、「公的保障」である健康保険(国民健康保険含む)があります。
さらに「高額療養費」という制度もありますから、現役時代には、ひとまず公的保障に頼ってもいいでしょう。
そういう意味からも、「医療保険」よりも「がん保険」の加入を優先して検討すればいいことになります。
具体的には、入院の際の保障がどの程度必要なのかを考えればいいでしょう。
もっとも、がんやその他の病気になる精神的な不安が大きく、保障が重複していてもきっちり備えたい=安心感を得たい、という方は多いと思います。
そのような場合は、保険料負担が将来の資産形成上において大きくプランニングを狂わすことがなければ、がん保険と医療保険の両方に加入されても良いでしょう。
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コラム執筆者プロフィール
市田 雅良 (イチダ マサヨシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1999年、ファイナンシャルプランナーとして独立。
資産運用、相続対策、生命保険の見直しなどの分野でセミナーや相談業務を行う。
FP相談としては年200件超のライフプラン提案を行っている。
また、日銀が支援する金融広報アドバイザーとして金融教育の普及に携わり、「KIDSマネー教育」、「生活経済セミナー」などで活動中。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 市田 雅良
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2020年3月11日
がん保険と医療保険、重複しやすい保障や特約は?
「がん保険」と「医療保険」の違いと、重複しやすい保障や特約についてみてみましょう。
表1 がん保険と医療保険の主な違い
保険商品 | 【がん保険】 | 【医療保険】(※) |
---|---|---|
保障対象 | がん | がんを含む病気やケガ |
入院給付金 | ほとんどの場合、無制限 | 1入院支払限度日数・ 通算支払限度日数などあり |
がん診断(治療)給付金 | あり | なし |
免責期間 | 契約日から90日または3カ月など | ほとんどの場合、なし |
(※)特約を付加しない一般的な医療保険とします。
がん保険に加入していてがんと診断された場合、一般的に「がん診断(治療)給付金」を受け取れます。保険商品のなかには保険期間を通じて、1回または複数回受け取れる場合があります。
表2 がん保険と医療保険の重複しやすい主な基本保障と主な特約
保険商品 | 【がん保険】 | 【医療保険】 |
---|---|---|
主な基本保障 |
|
入院給付金 手術給付金 |
主な特約 | がん先進医療特約 |
|
生命保険の特約は多種多様に存在します。同じ名前の特約でも、保険会社によって保障内容や給付条件、詳細などに違いがありますので、契約の際にはよく確認しましょう。
がん保険と医療保険の両方に加入している場合、両方の契約から重複して保障を受けられる可能性があります。
しかし複数の保険に加入するということは、それぞれの保険料を支払うことになるため、将来的に支払い続けることが負担になるかもしれません。
「自身にとってどこまでの保障が必要なのか」、「保障を付加することで、毎月支払う保険料の総額に無理はないだろうか」と、考えてみることが大切でしょう。
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