がん保険の待ち期間
がん保険は医療保険と内容が異なる点が多く、きっちり内容を理解しておかないと加入後に後悔することになりかねません。
今回は、がん保険特有の考え方である「待ち期間」に関して確認してみましょう。
1.一般的な保険の保障開始
一般的な生命保険や医療保険では、(1)契約の申し込み、(2)告知または診査、(3)第1回保険料払込の3点の完了日(一番遅い日)から保障が開始されます。
この保障が開始される日を「責任開始日」といいます。
例えば、契約の申し込みと告知または診査を同日に行い、仕事の都合等で第1回保険料の支払いが遅れ、支払いをする前に亡くなってしまった場合は、保障が開始されておらず、保険金を受け取ることができないという事態になります。
このような事態を避けるため、第1回保険料の支払いは早めに済ませておくと安心できるでしょう。
2.がん保険の保障開始
がん保険は他の保険と違い、保障が開始されるまでに時間がかかるという特徴があります。
具体的には、がん保険には加入後3カ月または90日の待ち期間と呼ばれる、保障の対象とならない期間が設けられています。
仮に、この待ち期間内にがんと診断されても給付金は支払われず、契約は無効になります。
がん保険は、保険料の支払いを済ませ、がん保険に加入したからといって、すぐに保障が開始されるわけではありませんので、この点はしっかり理解しておく必要があります。
3.待ち期間が設けられている理由
そもそも、なぜがん保険にだけ待ち期間が設けられているのでしょうか?
それは、がんは自覚症状がなかったとしても発病していることがあるからです。
また、乳がんの場合は、自分自身でしこりをみつけることが可能で、「がんを発病しているかもしれない」と不安に思い、がん保険へ加入するという人がいるためです。
がんという疾病の特性から、特定の人(がんの疑いがある人等)への給付金支払いを避け、公平を期するために待ち期間が設けられています。待ち期間を設けていないと、給付金支払いリスクが増加します。
そうなると、その他の加入者に保険料アップ等のしわ寄せがいくことになってしまいますので、公平性の観点からがん保険に待ち期間が設けられていることは、理に適っているのかもしれません。
4.最近の傾向
がん保険に加入して給付金を受け取れる主な保障は、(1)がんと診断された場合のがん診断給付金、(2)がんで入院した場合のがん入院給付金、(3)がんで手術した場合のがん手術給付金、(4)がんで通院した場合のがん通院給付金の4つがあります。
最近ではこの4つの内、がん入院給付金・がん手術給付金・がん通院給付金は、待ち期間が設けられていない商品もあります。
がん保険を検討する際には、保障内容を比較するのもいいですが、待ち期間の扱いも必ず確認するようにしましょう。
5.まとめ
既に加入していたがん保険を見直し、新しくがん保険に加入する場合は、待ち期間を考慮して以前のがん保険をすぐに解約しないことが重要です。
待ち期間に発病すると新しいがん保険では給付金が受け取れませんし、以前のがん保険を解約しているともちろん給付金が受け取れません。
保険料を支払って保障を得ているのですから、給付金を受け取れないという事態になることを防ぐようにしましょう。
また、他の保険にもいえることですが、がん保険も健康な状態のときに加入しておくことが大切です。
実際の相談現場においては、健康状態により加入したいときに加入できないというケースが多くみられます。
がん保険には、他の保険と違う独自の「待ち期間」という特徴があります。保障内容や待ち期間の商品比較は難しいかもしれませんので、信頼できる保険のプロに相談するのも一つの選択肢に入るのではないでしょうか?
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コラム執筆者プロフィール
長谷 剛史 (ハセ タケシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 学校法人・会計事務所勤務を経て2007年1月、大阪府堺市に独立系FP事務所を開業。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではありますが、幸せな家庭を作る専門家でありたいと常々思っています。
住宅・資産運用・保険の3つの分野に強いファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを基本とした個別相談・講演・執筆等の活動を行っています。
ファイナンシャルプランナー 長谷 剛史
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年4月27日
待ち期間のないがん保険はある?
がん保険には一般的に、「待ち期間」という、がんになっても給付金が支払われない期間があります。
「待ち期間がなく、加入後すぐに保障されるがん保険が良い」と思われるかもしれませんが、この待ち期間がないがん保険はあるのでしょうか。
結論からいうと、待ち期間がないがん保険はあります。
待ち期間がないがん保険では、申し込みと告知を行い、それに対する保険会社の承諾があれば、原則として第1回保険料相当額の支払いが完了した後、期間を置かずに保障が開始されるようになります。
そのため、待ち期間があるがん保険とは異なり、上記の全てが完了した後すぐがんと診断され、がんの手術や治療、入院をしたとしても、保険の保障対象であれば給付金が支払われる仕組みになっています。
ただし、商品によっては、がん診断給付金が支払われないなど、一般的ながん保険には含まれていることが多い保障が含まれていない場合もあります。
待ち期間がないことは、がん保険を検討する方にとってはうれしいポイントだと思います。
しかし加入を検討する際は、待ち期間の有無だけで安易に選ぶのではなく、保障内容についても考慮したほうが良いでしょう。
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