先進医療ってどんなもの?先進医療特約はつけるべき?
掲載日:2015年10月27日
更新日:2023年4月13日
先進医療とは
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養等で、国民の選択肢を広げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとされた医療行為です。
先進医療は、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されています。
また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直されます。
先進医療の医療技術にはどのくらいの種類があるの?
先進医療の医療技術にはどれくらいの種類があるのか、詳しく見ていきましょう。
先進医療は、第2項先進医療(先進医療A)と第3項先進医療(先進医療B)に分類されています。
資料:厚生労働省ホームページをもとに作成
令和5年3月1日現在、先進医療Aは29種類、先進医療Bは58種類あります。
このうち、多く行われている先進医療には「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」「子宮内膜刺激術」「強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術」などがあります。
厚生労働省「【先進医療A】令和4年6月30日時点における先進医療に係る費用」によると、「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」は年間15,832件、「子宮内膜刺激術」は1,814件、「強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術」は1,516件実施されています。
なお、先進医療の各技術の概要については厚生労働省のホームページで確認することができますので、参考にしてみてください。
がん治療で使われる先進医療
陽子線治療や重粒子線治療は、がん治療として知られています。
従来までの放射線治療よりも副作用が少ないというメリットがありますが、課題のひとつとして、施設に広大なスペースを確保する必要が挙げられます。
特に、重粒子線治療の施設には、サッカー場ほどの広さが必要ともいわれており、重粒子線治療が受けられる医療機関は、全国で7カ所しかありません。
図2 重粒子線治療の照射イメージ
※令和5年3月1日現在
資料:厚生労働省ホームページをもとに作成
このような事情から、陽子線治療・重粒子線治療は先進医療のなかでも高額治療の例でよく挙げられています。
なお現在、陽子線治療・重粒子線治療は、一部の適応症について公的医療保険が適用されます。
先進医療の費用負担
先進医療にかかる費用は、医療の種類や病院によって異なりますが、患者が全額自己負担することになります。
先進医療にかかる費用以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。
つまり、一般の保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
技術料とは
先進医療の技術料とは「先進医療にかかる費用」のことです。
先進医療の技術には、がん治療の代表的なものとして、陽子線治療や重粒子線治療があります。
一般の治療と比べると、技術料は高くなります。
資料:厚生労働省 第117回先進医療会議「【先進医療A】令和4年6月30日時点における先進医療に係る費用 令和4年度実績報告(令和3年7月1日~令和4年6月30日)」をもとに作成
先進医療から公的医療保険の対象となったインプラント治療や白内障治療など
・インプラント治療
2012年3月31日まで一部が先進医療として認められていましたが、同年4月1日より特定の症例でのみ、公的医療保険が適用されるようになりました。
ただし、一般的な歯科医院で広く行われているようなインプラント治療は自由診療(保険外診療)扱いのため、公的医療保険が適用されません。
・多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術
白内障の治療で用いられており、先進医療のなかでも実施件数の多い治療でしたが、2020年3月末で先進医療から外れました。
2020年4月から保険診療+選定療養として、手術における技術料は健康保険で行い、保険のきかない眼内レンズ代については自由診療で行います。
・MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法
前立腺がんの疑いがある場合に、前立腺がんの確定診断のために行う検査です。2022年3月末で先進医療から外れ、2022年4月から公的医療保険が適用されるようになりました。
先進医療は公的医療保険等の適用が検討されており、今後、公的医療保険適用の対象として拡大される可能性があります。また、新しい医療技術も次々と開発されることから、先進医療の数は常に変化し、その内容も変わっていきます。
医療保険での保障
お金のかかる先進医療への備えとしては、民間の医療保険やがん保険に特約をつける形で備えることが考えられます。
がん保険のがん先進医療特約は、がん治療に関する先進医療のみを保障するのに対し、医療保険の先進医療特約は全ての先進医療が対象になりますので、先進医療特約は医療保険に付与したほうが保障範囲は広がります。
保障は、ほとんどの商品が実際にかかった先進医療の技術料と同額となっており、限度額は各保険会社によって異なりますが、通算2,000万円までとするものが多くなっています。
先進医療特約の保険料は、月額100円程度となっており、付加しやすくなっています。
先進医療特約は、満足のいく治療を受けるための備えとして有効です。
図3 特約のイメージ
先進医療特約の必要性と先進医療を受ける可能性
では、先進医療特約は必要なのでしょうか。
厚生労働省 第117回先進医療会議「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、2021年7月1日~2022年6月30日に先進医療を受けた患者数は26,556人です。日本人の人口のわずか0.02%程度ですので、先進医療を受ける可能性は高くはないでしょう。
また、一部の陽子線治療と重粒子線治療は、公的医療保険が適用されます。現在、先進医療の対象となっている治療が、将来的に公的医療保険適用の対象となる可能性もあることなどを考慮すると、自分には先進医療特約は必要ではないと考える方もいることでしょう。
しかし、月額100円程度の少額な保険料で大きな保障を得られるのが、先進医療特約の魅力です。
もしも、先進医療で高額な医療費がかかった際の自己負担が不安だという方は、先進医療特約を付加すると良いでしょう。
先進医療特約の注意点についてもきちんと理解した上で、先進医療特約が自分にとって必要かどうかよく検討しましょう。
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先進医療特約の注意点
がん治療に関する先進医療特約は、契約後90日間の責任開始期間(待ち期間とも呼ばれ、保障の対象とならない期間)が設定されているケースがあります。
責任開始期間として90日間が設定されている場合、保険会社の先進医療特約に関する支払い責任は、91日目からの発生となります。
したがって、契約を締結してすぐに先進医療を受ける場合は、保険会社からの給付金を受け取ることができません。
また、先進医療特約の給付金の対象となる条件として、先進医療の要件を満たす(療養を受けた日現在において先進医療として承認されている)ことが必要です。
さらに、契約時に先進医療だった治療でも、医療技術などが見直され、治療時に先進医療に該当しなかったときは給付金が受け取れない場合があることに注意してください。
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