差額ベッド代とは? 部屋別相場と支払わなくて良いケース
掲載日:2019年10月9日
病気やケガをして手術や入院等の治療費がかかったとしても、公的医療保険(健康保険、国民健康保険等)により3割負担(年齢や所得によって自己負担割合が変わってきます)になりますし、さらに負担が一定額を超えた場合は「高額療養費制度」を利用すれば、超えた額が還付されます。
しかし、差額ベッド代は公的医療保険や高額療養費制度の適用外になり、全額自己負担する必要がありますので、差額ベッド代が必要となる部屋を選択した場合には、治療費に対して負担を感じることが多くなります。
差額ベッド代とは
差額ベッド代とは、通常の大部屋と違い条件の良い個室等を使用した場合に、患者に請求される大部屋との差額費用になります。
差額費用が必要な病室を正式には「特別療養環境室」といいます。
また、条件の良い個室というと1人で利用することを想定しがちですが、4人部屋(少人数)の場合にも差額ベッド代が必要になることがあります。
厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」によると、差額ベッド代の金額は1日あたり1,000円~10万円、なかには10万円以上になるなどかなりのバラつきがあります。平均的な差額ベッド代は1人部屋が一番高く、4人部屋が一番安くなります。
個室を選択し長期入院になれば差額ベッド代の負担が増え、思った以上に治療費が膨れ上がってしまうことがあります。
差額ベッド代の相場表
平均的な差額ベッド代(2017年)
部屋の種類 | 金額 |
---|---|
1人部屋 | 7,837円 |
2人部屋 | 3,119円 |
3人部屋 | 2,798円 |
4人部屋 | 2,440円 |
資料:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」をもとに作成
上表によると、平均的な差額ベッド代は、2人部屋から4人部屋までは金額に1,000円以上の開きはありませんが、1人部屋となると、2人部屋の2倍以上の費用が発生するケースが多いことがわかります。
特別療養環境室(差額ベッド)の条件
- ① 特別の療養環境に係る病室の病床数は4床以下であること。
- ② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
- ③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
- ④ 少なくとも下記の設備を有すること。
- ア 個人用の私物の収納設備
- イ 個人用の照明
- ウ 小机等及び椅子
出典:厚生労働省保険局 『「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について』の一部改正について
この記事も参考に
差額ベッド代を支払わなくても良いケース
条件の良い個室に入院した場合でも、差額ベッド代を支払う必要がないケースがあります。それは以下のような場合です。
- (1)患者の意思に関わらず病院側管理の都合等により個室へ入院した場合
- (2)患者本人の「治療上の必要」により個室へ入院させる場合
- (3)差額ベッド代が必要な個室へ入院することに、患者の同意が得られていない場合
以上3つのケースでは差額ベッド代を支払う必要がありません。
治療後にトラブルが発生しないように、疑問点は事前に確認するようにしましょう。
差額ベッド代が給付される民間医療保険とは
差額ベッド代が給付される保険として、「実費補償型」の医療保険が挙げられます。
実費補償型の医療保険は、高額化する入院費用に対して、自己負担額(公的医療保険適用対象外の費用)を補償してくれます。
ただし、主契約で補償される費用と、オプションを付帯することで補償される費用があるので、注意が必要です。
公的医療保険適用対象外の費用として、差額ベッド代の他に、日用品の購入、入院時の諸費用、先進医療の技術料等が挙げられます。
がん治療を受けたことによる脱毛のための医療用ウィッグ(かつら)や、乳がんにより喪失・変形した乳房を、人工的に戻す乳房再建等の費用に備えることができる保険商品もあります。
このように、民間医療保険では公的医療保険適用対象外となる治療費の補償に加えて、差額ベッド代や入院時の諸費用等の給付金も受け取れる商品があるため、公的医療保険でカバーできない自己負担部分を補うことができます。
差額ベッド代を含めたリスク対策
重病になるとより良い環境で治療に専念したいと考える方は多いでしょうし、経営者や自営業の方などは、入院している間も病室で仕事の話をすることも十分考えられますので、差額ベッド代が必要な個室に入院するケースが想定されます。
差額ベッド代が必要になると治療費の自己負担が大きくなりますが、この治療費を預貯金ではなく大部分を保険で賄いたいと考えるのであれば、民間医療保険の保障を手厚くする方が良いでしょう。
また、入院すると、食事代やタオル、歯ブラシ等の消耗品や、家族の交通費等も必要になりますので、これらの自己負担も考慮した上で入院給付日額を多めに設定するなど、民間医療保険への加入によるリスク対策をしっかり検討するようにしましょう。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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