日本人の2人に1人はかかる「がん」。がん保険は必要か?
かつて、がんに罹患する人は3人に1人でしたが、近年では2人に1人と罹患者数が増え続けている「がん」。死亡率も病気の中でトップです。
しかし、現在では医療技術や薬が発達して、がんも早期発見であれば治る病気ともいわれています。とはいえ、がんと診断されれば、やはり余命を意識し、治療はうまくいくのか、治療費はどれぐらいかかるのか、と不安は募ります。
がん保険はがんに特化した保険
そのような、がんに罹患したときの経済的なリスクをカバーするために、「がん保険」があります。
医療保険の中で1つの病気に特化した保険は、今のところがん保険だけです。
がん以外で一般的に患者数が多いとされる糖尿病・脳疾患・心臓疾患などは、がんと共に三大成人病や七大生活習慣病などにくくられ、医療保険の特約として、その病気限定で入院給付金などの保障をつける場合がほとんどです。
がん保険の特長は、がんと診断されただけで、まとまった一時金が給付される点です(医療保険にも、特約により「がん診断給付金」を受け取れるものもあります)。前述のように、がん診断直後は多くの不安を抱えます。その一つの経済的不安を解消してくれる役割にあるのが、がん診断給付金ではないかと思います。
ご相談を受ける中で、「がん保険に入っていて良かった」という声を聞くことがあります。これは、がんをしっかり治療され、良くなられた多くの方が実感されているように思います。そして、この実感は、やはり、がん診断給付金の存在が大きいのではないかと感じています。
がんの今とこれからの保障
「最新がん統計」(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)によると、生涯がんで亡くなる確率は、男性で4人に1人、女性で6人に1人となっています。部位別にみると、最も死亡率が高いのは、男性では「肺がん」で16人に1人、女性では「大腸がん」で44人に1人となっています。
この死亡率と比較すると、がんの罹患者数が2人に1人と多くても、良くなる方がたくさんいらっしゃることがわかります。このようなことから、がん保険の保障内容も変化してきています。保障のメインは、がん診断給付金・入院給付金・手術給付金ですが、通院給付金や先進医療保障、再発した場合の診断給付金等、保障のメニューが増えてきています。
がん保険は必要か?
では、そもそもがん保険は必要なのでしょうか。
生涯がんに罹患しなければ、支払った保険料は原則戻ってきません。ほかの病気に罹患しても、がん保険からは入院給付金や手術給付金は受け取れません。
それならば、どんな病気でも入院給付金や手術給付金が受け取れる、医療保険でいいのではないだろうか、なども考えるでしょう。
まず、がん保険は病気を限定している分、病気全般を保障する医療保険よりも保険料がお手頃です。
また、がんは、治療方針や経過によって、退院後の継続治療が長期化したり、先進医療による治療が必要であったりすると、高額な医療費がかかることがあります。さらに、より良い医療を受けるために、遠くの病院を選択することによる交通費等の費用、抗がん剤や放射線治療の副作用により就業困難・家事困難となると、医療費以外のお金がかかることも想定されます。医療保険にはないがん診断給付金は、入院や手術にとらわれず自由に使うことができるので、経済的に安心であると考えます。
厚生労働省「国民医療費の概況」(平成23年度)をみると、65歳未満では、がんにかかる医療費が1位となっています。
蓄えが少ない若い頃は、預貯金でがんの医療費を賄えないケースも多いと考えられるため、保険料がお手頃な若いうちであれば家計への負担も少ないことから、早めにがん保険へ加入することが効果的でしょう。
医療の進歩により、保険商品も保障内容が変わっていきます。そのため、何の特約をつけるか迷うこともあるでしょう。将来の変化にも対応できるように、どんなものにでも使えるがん診断給付金を重視し、シンプルな保障の保険選びをしておくことをおすすめします。そうすれば、年齢が上がったときに加入し直す必要がなく、お手頃な保険料で保障を維持できます。がんの罹患率が高くなる中高齢期までに時間があれば、がん保険に加えて預貯金も増やすことができ、他の病気にも備えることができますね。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年3月30日
がん保険への加入検討時に注意すること
がん保険への加入を検討する際に注意する点として、次のようなことが挙げられます。
免責期間
がん保険には、免責期間(保障されない期間)が設けられている商品が多いです。
この免責期間は、一般的に契約日や申込日から3カ月間となっており、待ち期間や不てん補期間とも呼ばれます。
万一この期間にがんを患ってしまった場合、保障が受けられず、契約も無効になってしまいます。
診断給付金の内容
例えば上皮内新生物の場合、診断給付金の金額が悪性新生物の場合と比べて低く設定されている、または支払われないなど、商品やプランによって内容が違う場合も多いため、あらかじめきちんと確認することが大切です。
上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内にとどまっているものをいい、進行すると悪性新生物になる可能性もありますが、上皮内にあるうちは、転移はほとんどないのが特徴です。
診断給付金の支払回数
がんは、場合によっては、治療しても再発したり転移したりすることが考えられます。
診断給付金が1回しか受け取れない場合や、2回目以降の受け取りに条件がある場合などもあります。
診断給付金の金額にもよりますが、1回しか受け取れない場合、自己負担が大きくなってしまう可能性もあるため、しっかり検討しましょう。
以上のような点に注意しながら、自分に最適な保険を考えてみてください。