あなたのがん保険は安心ですか?
「がん保険に加入しているから、がんになっても安心」
果たして、本当に安心なのでしょうか。
がん保険の保障内容は、がん治療の目覚ましい進歩に合わせて、次々とリニューアルされているのです。
がん患者さんおよびその家族に、「がんになった時に加入していた保険で満足だったか」を尋ねたあるアンケートがあります。
その結果によると、約42%の方が「不満だった」と回答しており、不満と回答したうちの約78%の方が、「保障適用外だった」「古いタイプで保障が不十分だった」「保障が小さかった」と、加入していた保険の保障内容ではカバーできなかったと不満を感じていました。
では、一体どのようながん保険であれば満足できたのでしょうか?
現在のがん治療は、治療方法が多種多様化し、手術、抗がん剤、放射線の3大治療を組み合わせるだけでなく、ホルモン療法や保険適用外の治療の選択肢も増えてきています。
どの治療にも共通していえることは、副作用や痛み等の、患者さんへの負担を軽くしようと進歩しているということです。
その結果、入院日数が短縮され、通院による治療へとシフトしています。
そして何より、がんは簡単に命を落とす病ではなく、「治す」もしくは「付き合う」病となってきていることも、治療の進歩の結果といえるでしょう。
つまり、どんな治療を選択しても困ることがなく、がんと長期的に付き合うことになったとしても対応していける費用をカバーできるものが、満足できるがん保険といえるのではないでしょうか。
最近のがん保険では、がんと診断された診断書があれば支払われる、「がん診断給付金」がある商品が基本となっています。
これから、がんをどう治療していこうかと選択する時に、保険会社や加入設定によって異なりますが、十万円~百万円単位というまとまった金額が一括で支払われるということは、お金の面での安心に繋がり、治療の選択の幅も広くもてます。
そして、がん診断給付金は治療費だけではなく、今後かさばってくるかもしれない通院費用や、がんによって減ってしまった収入の補てんにも使える等、自身の裁量で使い方を決められることが魅力でもあります。
このがん診断給付金の金額を高めに設定しておけば、入院や手術等の治療の費用までもカバーできると考えると、あえて入院給付金や手術給付金等の特約を設定する必要性は少なくなります。
がん診断給付金は、給付金額だけでなく、再発や転移をした場合に、2年に1度であれば回数無制限で支払われるものなのか、初回の1度きりのものなのかという支払方法をチェックすることも、重要なポイントです。
最近では、治療が長期にわたった場合に備え、がん治療給付金という形で、入院の有無にかかわらず、一括でまとまった保険金が複数回支払われるがん保険や、自由診療の治療費まで実額補償してくれるがん保険にも注目が集まっています。
また、がんになって、治療費等を支払わなければいけないにも関わらず、働けなくなり収入が途絶えてしまうという場合に備える保険も登場しており、がんになった時の心配は、治療費の負担だけではないということも窺い知れます。
一昔前であれば、入院給付金が基本で、それを基に手術給付金、入院後の通院に対して通院給付金、がんで亡くなった場合に死亡給付金というタイプが主流でした。しかし、このように、最近のがん保険は、どのような治療を選択しても対応でき、がんを慢性疾患と捉えてがんと共に生きていく時に役立つようにと、各社オリジナルの商品を販売しています。
どのような保障が合うのか、どのくらいの保障が必要なのかは、各個人によって違ってきます。
例えば、会社員の方によっては、1ヶ月の医療費が一定額以上であれば、払い戻される健康保険組合の付加給付制度があったり、会社を休職した際には、基本給の60%にプラスして傷病手当金が支給されたりすることもあります。
一方で、自営業の方であれば、付加給付制度も傷病手当金もないため、貯蓄も含めて自身で準備しておかなければならない部分が大きいといえます。
今のがん治療に合ったもの、かつ、自分に合ったものを選びましょう。
新しい保険に入り直すということは、年齢が上がっているため、保険料が上がってしまうと懸念されるかもしれませんが、保険会社の競争等によって保険料は下がってきています。
そのため、保険料が変わらずに、今の治療にあった新しいがん保険に入り直せる場合もあるでしょう。
「今のがん治療に合ったがん保険に加入しているから、がんになっても安心」といえるように、まずは、加入しているがん保険の保障内容を見直してみてはいかがでしょうか?
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コラム執筆者プロフィール
川崎 由華 (カワサキ ユカ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、平成24年度日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員。
前職ではがん領域の薬を扱う製薬会社に勤務。
現在は2児の母をしながら、主婦向けのマネー講座や個人相談、執筆等ファイナンシャルプランナーとして活動中。
お金の数字だけの問題でなく、気持ちも汲み取れる身近で気さくな存在のファイナンシャルプランナーをモットーにしている。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 川崎 由華
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年4月30日
がん保険の見直しをする際に気を付けること
「がん保険の見直し」をした経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
新しい保障内容や特約の登場をきっかけにした見直しや、5年・10年などの定期型がん保険の更新をきっかけにした見直しもあるでしょう。
がん保険の見直しをする際に気を付けることとは何でしょうか。
基本的に、保険料は契約時の年齢で決まります。
頻繁にがん保険の見直しや乗り換えをしていると、保険料が下げられるケースは良いとしても、保障内容がほとんど同じなのに年齢が上がるにつれて保険料が上がり、負担が増していくケースも考えられます。
そこで見直しは、がんになった時にどんな保障が必要なのかを具体的にリストアップし、今のがん保険でカバーできているか、逆に今のがん保険の保障内容は過剰ではないか、保険料の支払いは無理なく継続できるかなどを考えて検討しましょう。
なお、新しいがん保険に乗り換える際、契約後約3カ月はがんと診断されても保障の対象外となってしまう待ち期間(免責期間)になる場合が多いため、新契約の保障が開始されるまで、旧契約を維持しておくことがおすすめです。