『がんに罹患』を想像してみよう
日本人の平均寿命が世界的にみても長くなってから、ずいぶん時間が経ちます。
保険に加入する際、「死亡リスク」をメインに考えたのは昔。今は、「長生きリスク」にも備えなければならない時代です。
ましてや、少子高齢化で働き手の人口は減少し、今の現役世代が高齢者になっても昔のように若手が支えてくれるとは限らないわけです。
自分のことは自分でなんとかしなければならないのが、これからの日本の社会なのかもしれません。
日本人の死因は、「がん」が堂々の第1位です。
厚生労働省の調査によると、今や2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡しています。
これが2015年には、日本人の3人に2人ががんに罹患し、2人に1人ががんで死亡するといわれています(厚生労働省「がん生存者の社会的対応に関する研究」2002年報告書より)。
また、がんの種類の多さには驚きます。髪の毛と爪を除き、頭のてっぺんからつま先まで、要するに身体じゅうにがん発生の可能性があります。「がんになるとしたら、自分はいったいいつ、どこにがんが発生するのか?」ということは、「神のみぞ知る」ということかもしれません。
また、がん治療は早期発見・早期治療が鉄則ですが、がん細胞が体内にあるからといって何らかの症状が出るわけでもなく、また、必ずしも血液検査の腫瘍マーカーの数値が上がるとは限らないのです。
したがって、人間ドックや健康診断の血液検査だけではなく各部位をしっかりと検査して初めて、がん細胞があるかないかがわかるともいわれています。
そして、発見が少しでも遅れればそれだけ治療が難しくなり、治療費が高くなる可能性があります。
「保険はなるべく手頃に抑えたい」これは、ファイナンシャルプランナーのところにご相談に来られる方から、しばしば耳にする言葉です。
確かに、「今はとても健康なので、将来なるかどうかわからないがんの治療のためにお金(保険料)を払うのはもったいない。だから少しでも手頃に・・・」と考えるのは至極当然の考え方だと思います。
がん保険は「充実した保障を用意して保険料が高くなっても構わない」のか、「お手頃ながん保険で最低限の保障だけあればいい」のかという、どちらかのパターンになると思います。
一般的に比較的お手頃ながん保険は、その内容がとてもシンプルです。
「入院したら1日○○円、手術したら○○円」といった具合です。
そうすると、契約内容はわかりやすくなるでしょう。
「もし、がんになったら・・・」
いざ、がんの確定診断を受けてしまったら、受ける治療が公的医療保険の適用内なのか適用外なのかも含めて自由診療、先進医療、民間療法等、様々な選択肢のなかから治療法を選ばなければなりません。
標準治療を受けても検査代等を含めれば、最終的に相当な金額が必要になるでしょう。また、未承認の治療を受けたいと思うことがあるかもれしれません。
治療のために入院するのか、通院で済むのか、また、今まで普通に毎日当たり前に思っていた日常生活はどうなるのか、仕事はどうなるのか、住宅ローンは・・・等、 いろいろなことを考えなくてはなりません。
自分はどんながんに罹患し、どのような治療を受け、それに伴いいくらの医療費が発生し自己負担額はいくらになるのか・・・。
これらが最初からわかれば一番いいのですが、実際には自分である程度想定して、もしものときに備えるしかありません。
想定と現実が異なったとき、特に「経済的にその差をどう補てんするのか?」というその手段ががん保険であり、あるいは公的医療保険や自己資金なのです。
「結局・・・」
結局、保険に加入してよかったかどうかは、その保険が適用されるようなことが自分に起きて初めて実感するものだと思います。お手頃ながん保険であっても、それなりに保障が充実しているものもあります。
高いから良い保険とも限らない。でも、お手頃だから良くない保険とも限らない。そもそも人によって「お手頃な保険料」とはいくらなのか、人それぞれ経済観念は異なります。
自分にとって必要な保障内容と支払える保険料のバランスを、「もしものとき」を想定しながら吟味することが、がん保険においても重要かもしれません。
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コラム執筆者プロフィール
安藤 朋子 (アンドウ トモコ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー。
独立系ファイナンシャルプランナー。
「相談者の立場・気持ちに本気でナル」がモットー。偽善的・表面的なアドバイスは絶対NO。
ファイナンシャルプランナー 安藤 朋子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年3月30日
「もし、がんになったら」。罹患を知ったらするべきこと
がんに罹患していることを知ったらするべきこと、心がけておくべきことは、どのようなことなのでしょうか。
まず大切なことの一つとして、心のケアが挙げられます。何を悠長な、というご意見もあると思いますが、適応障害やうつ状態になり、不眠や食欲不振になる可能性もあるからです。
心の変化を抑え込まず、不安や落ち込みをシェアする
がんの告知を受けて不安になったり落ち込んだり、また怒りを感じたりすることは自然な反応です。大きな失望感から1日中悲しみに暮れる日もあると思いますが、全てが駄目になるわけではありません。
不安や落ち込み、怒りをためらわずに話し、大切な人や家族、友人などの近しい人に聞いてもらうことで、不安などを軽減できるかもしれません。
がん相談支援センターの利用を検討する
全国にある「がん診療連携拠点病院」などには、がんに罹患した方や家族が無料で相談できるがんの相談窓口である「がん相談支援センター」があります。
その病院で診療中以外の方でも利用可能なので、まずは不安を話してみるところから、利用を検討しましょう。
1人だと心配な方は、家族や友人と一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
自分の心を丁寧にケアし、落ち着いた気持ちで今後について考えるようにしましょう。