いまさら聞けない「がん保険の基礎知識」
ここをチェック!!
- 診断給付金の給付は、1回限り?複数回?
- 給付対象は何か?(上皮内新生物や先進医療の扱い)
- 定期タイプと終身タイプのどちらにするか?
がん保険は言葉のとおり、がんの治療に対する保障に特化した医療保険のひとつです。
がんの罹患数(がんにかかる人の数)は増加を続けており、2009年のがん罹患数は1975年の約3倍となっています。
また、がんによる死亡率は約2.5倍となっています。この増加要因のひとつには人口の高齢化があります。
一方で、その年齢の影響を排除した年齢調整がん死亡率の推移(75歳未満)をみてみますと、がんによる死亡率は低下しています。
つまり、医療技術の向上等により、がんは必ずしも不治の病気ではなく、治る病気になってきたといえるでしょう。
その治療に先立つものは、やはりお金。がん保険でその治療費を備える場合、まず確認したいのは、診断給付金の給付回数です。
診断給付金とは、がんと診断された場合に給付される一時金のことをいいます。
入院給付金や通院給付金は、一定期間ごとに請求を行うことも可能ですが、そのたびに医師の診断書の提出が必要になるケースが多いため、退院後等にまとめて給付金請求をするのが一般的です。
一方、がんと診断された段階で請求を行うことができる診断給付金は、当面の治療費等に充てることができます。
がんは再発も少なくない病気ですから、万一再発した場合に再び診断給付金の給付を受けることができる方が、当面の治療費を確保することができるのでより安心といえます。
そのため、診断給付金の給付回数と給付条件、また金額について再度確認をされるとよいでしょう。
次に確認したいのは、給付となる対象です。
がん保険ですので対象はもちろん「がん」ですが、契約内容によってはいわゆる「上皮内新生物」については給付の対象外であったり、給付金額が少ない場合があります。
上皮内新生物は治療費も比較的少なくて済むことが多いですが、給付対象となっているかどうかはあらかじめ確認をしておいた方がよいでしょう。
また、最近のがん保険には、先進医療を受けた場合にその治療費が保障される「先進医療特約」を付加できる商品も多いかと思います。
がんに関連する先進医療は数百万円かかるケースもありますので、その金額に対応できる内容かどうかを確認しておきたいところです。
もっとも、実際のところ先進医療を受けることができる確率は、まだそれほど多くはないことは頭に入れておきたいところです。
とはいえ、保険料負担がそれほど大きくないものが一般的ですので、付加しておいた方がよいでしょう。
この先進医療とも関連しますが、医療技術の進歩は日進月歩であり、がん治療は特にその傾向が顕著です。
保険は、医療技術の進歩によって変化します。
保険料に重点をおくのであれば、終身タイプのがん保険を選択するほうが、定期タイプを自動更新させていく契約形態よりも払込保険料総額を低く抑えることができます。
一方、医療技術の進歩にあわせて保険も変えていきたいと考えるのであれば、定期タイプの商品を組み合わせることを検討してもよいかもしれません。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年3月10日
がんの発症歴があっても加入できるがん保険はある?
がんの発症歴があっても加入できるがん保険はあるのでしょうか。
結論からいうと、がんを経験された方であっても加入できるがん保険は販売されています。
ただし、がんを発症する前にがん保険に加入している場合とは違い、保障内容に制限があったり、保険料が高くなったりします。
がんを発症したことがない方向けのがん保険
各保険会社から販売されているがん保険には、下記の保障を組み合わせている商品が多数あります。
組み合わせられることの多いがん保障
- がん診断給付金
- がん入院給付金
- がん手術給付金
- がん通院給付金
がん診断給付金は、がんと診断された最初の1回だけでなく、複数回受け取れる商品もあります。
がん入院給付金は、がんの治療を直接の目的として入院したときに給付金を受け取ることができ、入院給付金の支払日数は無制限です。
がん手術給付金は、がんの治療を直接の目的として所定の手術を受けたときに給付金を受け取ることができます。
がん通院給付金は、がんで所定の期間入院し、退院後通院したときに受け取ることができます。
また、がんを発症したらその後の保険料の払い込みが免除されるがん保険もあります。
がんを経験された方向けのがん保険
がんを経験された方向けのがん保険の特徴は、基本の保障内容にがん診断給付金がなく、がん入院給付金とがん通院給付金が主となっています。
診断時にまとまったお金が入らないということは、いざというときに別の方法でお金を工面する必要があるため、貯蓄をしておくことも考える必要があるといえるでしょう。
がん保険以外では、加入時に健康状態を申告するための告知事項が少ない、引受基準緩和型や限定告知型の医療保険等に加入するという選択肢もあります。
なお、告知事項は保険会社により異なるため注意が必要です。
このように、がんを経験された方でも加入できるがん保険やその他の保険商品はいくつかありますが、誰もが申し込めるとは限らないことからも、健康なうちにがん保険への加入を検討しておくことをおすすめします。