医療費が高額となる病気はどのようなものですか?また、国の高額療養費制度を利用したとして、入院給付金が日額どれくらいの医療保険に入れば安心ですか?
更新日:2018年5月2日
健康保険適用外の治療リスクがある「がん」、入院の長期化やリハビリなどの治療期間の長期化が心配される「脳血管疾患」が要注意です。
厚生労働省の「医療給付実態調査(平成27年度)」によると、入院・入院外の1日当たりの診療費が一番かかる病気は「新生物」となっています。一方で入院・入院外の1件当たりの診療費が一番かかる病気は「先天奇形、変形及び染色体異常」となっており、次に「循環器系の疾患」「新生物」と続きます。そのなかでも、「がん」と「脳血管疾患」の診療費が高くなっています。
がんの医療費自己負担額の目安
同調査によると、入院件数の多い大腸がんでの入院時の1件当たりの医療費は約64万円となっています。このうち自己負担分が単純に3割だとすると、約19万円となります。他の入院件数が多いがんも同じように計算すると、肺がんは約19万円、胃がんは約18万円となっています。また、発症直後の入院・手術の医療費だけでなく、再発防止のための抗がん剤や放射線治療の費用が通院治療を中心にしながら発生します。他にも、治療効果の確認や治療終了後に再発していないか確認するための定期的な検査の費用がかかります。例えば、血液検査や細胞診、CTやエコーなどによる検査があり、これらの検査は定期的に数年にわたり継続することが一般的です。これらは、保険適用内の治療であれば、高額療養費制度を利用して自己負担額を大きく抑えることが可能ですが、保険適用外の治療の場合は全額自己負担となるため高額になりがちです。
同調査によると、大腸がん、肺がん、胃がんの1件あたりの入院日数の平均は12日程度ですが、入院中には保険が適用されない食事代(1食460円)や差額ベッド代(個室1日5,000円や8,500円など病院によって異なる)、生活用品などの雑費がかかるだけでなく、通院での治療となると交通費なども必要になってきます。
自己負担が高額になりやすい脳血管疾患、術後のリハビリ費用等が高額になることも
厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査」によると、脳卒中をはじめとした脳血管疾患の平均入院日数は、他の疾病より長く89.5日となっています。
さらに特徴的なのが、術後のリハビリ期間が長期化することです。厚生労働省の資料によると、骨折などの患者のリハビリ入院期間が90日程度なのに対し、脳血管疾患の場合は、対象疾患や程度によって150日や180日程度となる場合があります。
これに伴い、医療費負担も高額になります。年齢と所得にもよりますが、リハビリ入院が長引けば医療費も高額となる可能性があるため、高額療養費適用後の医療費と食事代だけで、健康保険の自己負担3割の一般的な所得の方で月約10万円、1割負担者でも月約7.5万円程度は必要になる可能性もあります。
他にも、個室を選択したり、ねまきやタオルをレンタルしたり、オムツが必要だったりすると、その分費用もかかります。
退院後も、介護ベッドや車いすなどのレンタル費用や、住宅のリフォーム費用などが発生する可能性もあります。
介護ベッドや車いすのレンタルは公的介護保険が適用されれば1割負担にて利用できますが、適用されない場合、機能によっても金額はさまざまですが、ベッドの場合だと月5,000円~13,000円程度が費用としてかかってきます。
また、住宅をバリアフリーにリフォームしようとすると、玄関、階段、トイレなどに手すり設置と拡幅工事などの費用がかかってきます。
これらのリフォーム費用は、要介護状態区分(要介護度)にかかわらず、介護保険の給付対象ですが、その支給限度基準額は20万円となります。実際の支給額は住宅改修に要した費用の9割のため、リフォームに20万円かかった場合、18万円が介護保険から支給されます。しかし、リフォームが20万円以内で済むとは限らないでしょう。
医療保険の入院給付金の理想は1日1万円、がんや脳血管疾患発症時の一時金も検討を
こうした事例を踏まえると、入院給付金の日額は、1日1万円の設定が理想的となります。
ただし、1日1万円のプランでも1回の入院期間が1カ月程度の場合、受け取れる給付金は30万円程度になりますので、退院後に発生する費用を考えると、入院給付金以外に一時金タイプの給付金を受け取れる特約を付加することも検討しておいたほうがよいでしょう。
もちろん、すべての費用を医療保険だけで賄うわけではありません。保険の検討だけではなく、家族構成やライフステージを踏まえ、トータル的な保障の組み立てを検討してください。
- ※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※掲載日は2016年7月6日です。
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