最近は短期入院が増えていると聞きましたが、医療保険への加入は本当に必要ですか?
厚生労働省の調査によると、退院患者の平均入院日数は約1カ月ですので、医療保険への加入をおすすめします。
「短期入院が多いから、医療保険には加入しなくても……」と考える場合、「短期入院=経済的負担も少ない」とお考えの方が多いのではないでしょうか。
入院時の経済的負担は、必ずしも入院日数と比例するわけではありません。また多くの場合、入院は突発的に決まりますので、「緊急性」「突発性」も考慮して医療保険の必要性を検討する必要があります。
減少する平均入院日数。ただし、年齢ごと、傷病ごとの違いに注意が必要
厚生労働省の「平成26年(2014)患者調査」によると、退院患者の平均入院日数は31.9日ですが、年齢別にみると0歳~14歳は8.4日、15歳~34歳は12.0日、35歳~64歳は24.4日と若い年齢ほど平均以下になっています。一方で、65歳以上は41.7日、75歳以上で47.6日と平均以上の入院日数となっており、年齢とともに入院が長引く傾向があります。
過去の患者調査から平均入院日数をみると、平成20年は35.6日、平成23年は32.8日と短期化していることは間違いないようですが、あくまでも平均となりますので、傷病によっては1カ月以上の入院の可能性も想定しておく必要があるといえます。
高額療養費制度の注意点
公的医療保障制度の中の「高額療養費制度」の適用を受ければ、1カ月の自己負担額が軽減されるため、医療保険に加入しなくてもよいという意見もあります。
一般的な所得(年収770万円以下)の場合、1カ月程度の入院であれば、80,100円+αの自己負担で済むので、貯蓄で賄おうという考え方です。
この考え方で注意が必要なのは以下の2点です。
- 自己負担額は所得によって大きく変わる
- 平成27年1月以降、「高額療養費制度」の限度額の計算式が変更になり、例えば、年収770万円以上の方の場合、最低でも167,400円までは自己負担になります。入院といえば、予定外のものが多いと思いますが、月に約17万円の臨時出費は家計に及ぼす影響は大きいと思われます。
また、年収770万円以下の方の場合でも、長期入院になった場合、月に約8万円の臨時出費は大きな負担といえます。 - 高額療養費制度の対象外となる費用がある
- 「食費」や「居住費」、患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」、「先進医療にかかる費用」などは、高額療養費の支給の対象外となりますので、例えば、入院時に個室に入りたい場合や、先進医療を受けることになった場合は、自己負担額が高額になる可能性があります。
今はゆとりがあっても、緊急のときにも同じゆとりがあるとは限りません。治療が長引くことや、その間の家族の生活のことを考えながら、医療保険について検討されてはいかがでしょうか。
例えば、一般的な所得の方であれば、入院1日あたり10,000円の給付が受けられる医療保険のプランの場合、1週間程度の短期入院でも、7日間分の入院給付金で自己負担の医療費のほとんどを賄うことができます。しかし、1日5,000円の給付金のプランの場合、5,000円×7日=35,000円となるため、自己負担額の半分くらいの計算になるので注意が必要です。
もし、日額5,000円の給付金のプランに加入されている場合は、短期入院の可能性も視野に入れてプランを再設計するか検討してみてはいかがでしょうか。
なお、実際には、手術が伴う入院の場合には、上記の入院給付金以外に「手術給付金」も支給の対象になる場合があり、受け取れる給付金の総額も変わりますので、その点も考慮して検討されることをおすすめします。
- ※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※掲載日は2016年3月28日です。
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