女性の場合、一般的な医療保険ではなく「女性のための医療保険」に加入したほうがよいのでしょうか?
「女性のための医療保険」にこだわる必要はありません。想定するリスクや「希望する保障内容」に応じて選択しましょう。
インターネットで医療保険を検索していると、「女性保険」や「女性医療保険」などの名称で宣伝している医療保険をみかけます。
女性ならではの保障を備えたプランではありますが、例えば、婦人科系の疾病にかかった場合に、「女性のための医療保険」でないと保障されないというわけではありません。
「女性のための医療保険」は「一般の医療保険+女性特定疾病の特約」のこと
よく紹介されている「女性のための医療保険」のほとんどは、一般的な医療保険に本来は任意である女性特有の疾病を対象とした特約をあらかじめ付加したものです。
よって「女性のための医療保険」に加入することは、一般的な医療保険に「女性特定疾病の特約」を付加することと同じことになります。
女性特有の疾病に備えることに重点をおく場合、多くの保険会社では、医療保険に女性特定疾病の特約が用意されていますので、いろいろな保険会社のプランを比較して検討することをおすすめします。
「女性特定疾病の特約」はあくまでも追加保障
「女性特定疾病の特約」の給付対象となる疾病は、基本的に医療保険の主契約で定められた対象疾病に含まれていますので、特約を付加していなくても、基本保障によって給付金を受け取ることができます。
女性特定疾病の特約は、基本保障で受け取れる給付金に上乗せして給付金を受け取るための保障です。
時々、婦人科系の疾病で治療を受けた場合、女性特定疾病の特約を付加していないと給付金が受け取れないと思っている方がおられますが、付加していなくても給付金はゼロではありませんのでご安心ください。
「女性特定疾病の特約」の詳細は保険会社によってさまざま
一口に「女性特定疾病」といっても、実はその内容は保険会社によってさまざまです。
上乗せ保障の対象となる女性特定疾病の範囲も保険会社ごとに異なり、大きく分けると次の3つのタイプになります。
- 「婦人科系の病気」のみに限定した保険会社
- 「すべてのがん+婦人科系の病気」と設定している保険会社
- 「すべてのがん+婦人科系の病気+女性に多い病気」と幅広く設定している会社
いずれも、他の保障も含めた総合判断でプランを選ぶ必要があるでしょう。
他にがん保険に加入しているなら、女性特定疾病の特約の優先順位は低い
「女性特定疾病の特約」の保障内容は「入院給付金」の上乗せ保障です。
もし、基本保障のみで自己負担する医療費を賄えるなら、あえてこの特約を付加する必要性は低くなるでしょう。
一般的に健康保険が適用される治療なら、高額療養費制度の適用で、1カ月あたりの自己負担額を補うにも、基本保障の給付金で十分なケースもあり得ます。
ただし、「がん」の場合は、先進医療などの健康保険適用外の治療で治療費が高額になったり、通院中心の治療で、入院給付金の給付対象日数が短かったりした場合、「女性特定疾病の特約」の上乗せ保障は大きな支えになる場合があります。
がん以外で、健康保険適用外の治療を受ける確率を考えると、がん保険に加入していれば女性特定疾病の特約の必要性は低いのではないでしょうか。
がんが原因の「乳房再建術」が給付対象に!
女性のがんの代表例ともいえる「乳がん」の治療後に「乳房再建術」を受けることがあります。
「乳房切除術」は、がんの病巣部を取り除くためや再発防止のために乳房を切除してしまう治療方法で、一般的には健康保険の適用対象となります。
一方、「乳房再建術」は、乳房切除後のメンタルケアや生活の質の向上のため、改めて「乳房」を再建する手術ですが、平成25年の6月までは、「美容整形」と同様、健康保険の適用されない手術でしたので、医療費の全額が自己負担となり、100万円近い出費になるケースもあったようです。
平成25年7月以降は、「乳房再建術」のなかの特定の術式は健康保険適用になり、高額療養費制度により自己負担額も軽減されるようになりました。
しかし、すべての術式が対象にされたわけではないため、引き続き高額負担のリスクは残されています。
現在販売されている医療保険の「女性特定疾病の特約」や「手術の特約」の多くは、「健康保険が適用される手術」のみが対象ですが、がん保険の女性特定疾病の特約には、この「乳房再建術」も対象になると明記している場合がありますので、保険会社に確認してみてください。
以上のことを踏まえて、女性だから「女性のための医療保険」に加入するという考え方ではなく、ご自分にとって必要性のあるプランや特約を選択するようにしましょう。
- ※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※掲載日は2016年3月30日です。
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