医療保険で給付金が支給されない場合とは?
医療保険に加入していても、給付金が支給されない場合があることはご存じでしょうか?
「給付金がもらえると思っていたのに、もらえなかった」または「給付金がもらえないと思い込んでいて請求しそびれてしまった」ということになったら残念ですよね。
この記事では、医療保険を上手に活用するために知っておきたい保障開始のタイミングや、給付金の支給対象となる病気や手術、支払限度日数など、医療保険の給付金が支給されない場合について具体例を挙げながら、ご紹介していきます。
申込書の提出後でも保障が開始しない場合
医療保険の申込書を提出するとすぐに保障が開始すると思う方もいることでしょう。しかし、一般的な医療保険の場合は下記の3つの手続きがすべて完了することで、初めて保障が開始します。
- ステップ1:署名した申込書の提出(押印が必要な場合もあります)
- ステップ2:健康状態の告知・診査
- ステップ3:初回保険料充当金の払い込み
一般的には、ステップ2・ステップ3のいずれか遅い方にさかのぼって、保障が開始されます。なお、ステップ1~ステップ3の順番は前後することがあります。
また、ステップ3までの手続きは、1日で完了することもあれば、数カ月かかることもあります。
例えば、インターネットなどで申し込みと告知とを併せて、クレジットカードですぐに支払いまで行った場合はその日から保障を開始できることもあります。
あるいは、保険会社によっては、申し込みと告知が完了した時点で保障が開始されることもあります。
一方、団体保険などの場合には、保険の申込期間が定められており、保障の開始日は申し込み締め切り日から1~2カ月先ということも珍しくありません。申込書を提出するときに、よく確認しておきましょう。
病気や手術の種類によって保障対象外となる場合
医療保険の場合、病気の内容や手術の種類によっては、給付金が支給されないことがあります。
一般的に、支給対象となるのは、治療を目的とする入院や、保険約款に定められている手術などに限られていて、保険会社や保険商品によって異なります。医療保険の支給対象外となる代表的な例としては、下記表の通りです。
表1 医療保険の支給対象と対象外の例
※スクロールで表がスライドします。
資料:執筆者作成
入院・通院給付金が支給されない場合
医療保険の入院や通院の給付金には支給されるための条件が定められており、条件を満たしていない場合には給付金が支給されません。
それぞれの条件は、保険商品や契約内容によってさまざまですので、長期間の入院や通院が心配な方は「支払限度日数」の長い医療保険を選ぶなど、希望に合った医療保険を選ぶことをおすすめします。
(1)必要入院日数
病気やケガで入院した期間が短い場合には、入院給付金が支給されないことがあります。
例えば、日帰り入院も保障される保険商品がある一方で、継続して5日以上入院したときに5日目から入院給付金が支給される保険商品の場合は、4日以下の入院であれば入院給付金の支給はありません。
(2)支払限度日数
同じ病気やケガを原因として長期間通院・入院した場合には、給付金が支給されないことがあります。支払限度日数は、1入院あたり60日間や120日間、360日間などと定められています。
また、180日以内に同じ病気を原因として入院した場合には、継続した1回の入院として扱われるのが一般的です。
例えば、ある病気で30日間入院した後、180日以内に同じ病気で50日間再入院した場合は1入院としてカウントされ、保障期間の最大日数が60日間となっていると20日間は給付金の支給対象外となります。
図 支払限度日数が1入院60日間の給付金支給対象日数の例
資料:執筆者作成
(3)通算支払限度日数
一般的な医療保険では、保険期間を通じて給付金が支給される限度日数である通算支払限度日数に制限があるため、限度日数を超えたときは保障されません。例えば、「病気・ケガごとに1,095日間」、「保険期間を通算して1,000日」など、詳細条件は保険会社や保険商品によって異なります。
(4)入院前後の通院であること
通院給付金は、入院給付金の支給対象となる入院をした場合に、その入院前後の通院日数に応じて支給されるのが一般的ですが、退院後のみの保障となっている商品もありますので、確認しておくことをおすすめします。
給付金が支給されないその他の場合
給付金が支給されない場合について、ここまで紹介した以外のものを下記表にてご紹介します。
特に注意していただきたいのが、告知義務違反についてです。契約時に正しく告知ができていないと、給付金が支給されないことがあります。
告知書の書き方に自信がない場合には、自分だけで判断するのではなく、保険会社の担当者などに確認しながら記入することをおすすめします。
表2 給付金が支給されない場合の例
※スクロールで表がスライドします。
資料:執筆者作成
ここまでご紹介してきたように、保障対象外の病気や自然災害時など、医療保険では給付金が支給されない場合も少なからずあります。医療保険に加入していれば絶対に安心と過信はせずに、万一のときに役に立つ貯蓄も備えておくとより安心ですね。
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コラム執筆者プロフィール
張替 愛 (ハリカエ アイ) - AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 大学で心理学を学んだ後、損害保険会社にて5年半勤務。その後、夫の海外赴任を機に独立を決意。育児をしながら在宅でファイナンシャルプランナーとしての活動を始める。転勤族や、仕事と家庭の両立で悩む女性のために、オンラインでのマネー講座や個別相談を開催中。
FP事務所マネセラ代表
ファイナンシャルプランナー 張替 愛
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年8月30日
生命保険の給付金や保険金等はいつ受け取れる?税金はかかる?
一般的に生命保険の給付金や保険金等の支払いは、請求に必要な書類が保険会社に全て到着した日の翌日から5営業日以内とされています。
ただし、請求に必要な書類の項目に不備や、書類の不足などがあった場合には、支払いまでさらに時間がかかってしまうため、念入りに確認した上で提出するようにしましょう。
また、保険会社からの給付金や保険金等はまとまった金額が支払われるため、税金がかかることを心配される方もいらっしゃると思います。
一般的に、個人が入院給付金・手術給付金・通院給付金等を保険会社から受け取った場合は非課税となり、税金が発生しません。
一方で、保険の契約者や被保険者が死亡した場合の「死亡保険金」、保険期間満了時の「満期保険金」、保険解約時の「解約返戻金」には税金がかかります。
保険金等は受け取る保険金等の種類、また保険の契約者と被保険者・保険金受取人の組み合わせによって、所得税や贈与税など課税される税金が異なります。
いざというときのために、現在の保険契約の内容を改めて確認しておくのも良いでしょう。