入院日数が多い病気は?
医療保険の給付金の主なものは、入院給付金と手術給付金です。手術を伴う入院の場合、まとまったお金が必要となります。公的保障でカバーしきれない分を医療保険や貯蓄で備えます。
誰もが、入院が長引くような病気にはなりたくないものです。厚生労働省の平成23年患者調査によると、平均在院日数は32.8日になっています。年々減り続けていて、平成20年と比べると2.8日減っています。これは、入院患者全体の平均です。高齢になるほど入院日数は増え、病気やケガの種類によっても違いがあります。医療保険でカバーできる入院日数は60日か120日がほとんどで、平均在院日数をみる限りでは、医療保険で十分カバーできるといえます。とはいえ、120日をオーバーする病気もなかにはあります。
では、一番入院日数が多くかかる病気はなんでしょう?厚生労働省の平成23年患者調査によると、平均在院日数ベスト3は以下の表の通りとなっています。
疾病分類 | 最も平均在院日数が多い疾病 | 平均在院日数 | |
---|---|---|---|
第1位 | 精神および行動障害 | 統合失調症等 | 561.1 |
第2位 | 神経系の疾患 | アルツハイマー病 | 236.3 |
第3位 | 循環器系の疾患 | 脳血管疾患 | 93.0 |
資料:厚生労働省 平成23年患者調査より執筆者作成
最も入院日数が多いのは、統合失調症ですが、うつ病等も精神疾患の一つです。精神疾患は、入院するまで悪化してしまうと、回復までに時間がかかることがうかがえます。こんなに長期間入院すると、医療費はどれくらいかかるのだろうと心配になりますね。
精神疾患については、手術を伴う治療はほとんどなく、投薬による治療が中心となります。さらに公的保障が厚く、自治体によっては入院や通院の助成があります。それらの活用をすれば、入院日数が長いからといって、医療費に関してはあまり心配することはありません。
認知症の病気の一つである、アルツハイマー病は、早い段階で治療を始めれば、進行を抑えることができます。早めの判断と受診で悪化を防ぐことができ、入院に至るまでの期間を延ばすことができます。
病気の進行に気が付かず、症状が重くなってしまうと、入院せざるを得なくなるでしょう。入院して、投薬治療により症状が落ち着いたら、自宅に戻るか、認知症専門の施設に入ることになります。
認知症の場合は、退院後、介護費用が新たな負担となります。
ベスト3のなかで、手術を伴う入院で高額な医療費が予想されるのは、循環器系の疾患です。医療保険は、治療費が高額になる疾病に備えるという位置付けで加入するとよいでしょう。入院日数は医療保険でカバーできる範囲内に収められるケースがほとんどです。
循環器系の疾患である脳梗塞で、半身まひが残った場合でも、急性期を過ぎると退院します。自宅や施設で療養し、リハビリで日常生活に少しでも戻れるようにします。半身まひがあると、介護が必要になりますので、新たに介護費用の負担が増えることになります。
今回は、入院日数のデータから、医療保険をみてきました。入院日数は、厚生労働省が発表している「患者調査」でわかります。医療保険の加入を検討する際に活用し、選択する際の参考にするとよいでしょう。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。