がんのリスクマネジメントの考え方
「たばこの吸い過ぎはがんのもと」「お酒の飲み過ぎはがんになる」
過ぎたるは猶及ばざるが如しですが、分かってはいてもやめられない方も多いはずです。
これには根拠があり、イギリスのロンドンに本部がある「世界がん研究基金」は研究結果から、たばことアルコールのがんとの因果関係に固い裏付けがとれたことを発表しています。
そして、「がんは気をつけていればおおむね予防することができるので、がん予防のためには食事、運動、肥満に注意をしよう」と呼びかけています。
特に嗜好品であるたばこやお酒は、常習から依存に至るケースもあり、ソコソコにしておけばいいものの、たびたび度を超してしまう傾向があるので、がんにかかることを恐れて「がん保険に入っておこう」と考えがちです。
また、たばこやお酒に依存するようになると自分の体の健康のことなのに考えるのを諦め、思考停止状態に入ってしまうようです。
それでは良くしようと思ってもなかなか克服できるモノではありません。一般的な病気もそうですが、特に「がん」は「気」をはじめ、自助努力で克服していかなければならないともいわれています。
がんにかかる前でも、治療が終わった後でも自立した自助努力は必要なことです。
たばこやお酒は、がん罹患のリスク要因の1つです。
リスクを軽減することにより、がんに罹患するのを予防するという観点からリスクマネジメント的に「病気」、特に「がん」について考えてみましょう。
リスクマネジメントの基本は、「リスクコントロール」と「リスクファイナンス」の2つに分けられます。リスクをいかに評価・分析し、できる限り客観的なデータとして捉え、リスクそのものを少なくしていくように目指すことが「リスクコントロール」。
それでも必ず残るリスクに対し、どう資金面の手当てをするかということが「リスクファイナンス」です。
内容 | 対策 | |
---|---|---|
リスクマネジメント | リスクコントロール | リスクの回避・軽減・分散・移転等 |
リスクファイナンス | 現金や保険で対応 |
難しいことはさておき、様々なリスクは事実、単独で起こるものではなく、複合的に関連し合って生じると考えられています。
これら様々なリスクのなかで(主なリスク要因としてあげられる「たばこ・お酒」をイメージしてみてください)「飲み過ぎる行為」をどうコントロールしていけばいいか考えてみましょう。
1)要因をできるだけ避ける努力をする
2)要因の頻度を少なくするようにする
3)要因にかかる費用をなるべく少ない金額に抑える
4)要因同士を集中させないように分散する
5)要因自体を家庭内から遠ざける
このようなリスクコントロールの手法を使いながら、1)~5)までの順を追って、あなたはリスク軽減がどこまでできますか?リスクコントロールがうまくできたとしても、完全制御するまでには至りません。
そこで、リスクに対する資金的な手当て、すなわちリスクファイナンスが必要となります。その代表的なものが「保険」です。
従来、リスクファイナンスを優先して「保険に入っておくこと」が一般的でしたが、これからはリスクマネジメントとして「保険」に入ると同時に健康な体をコントロールすること、すなわち「がん罹患を予防すること」も取り組みましょう。
日々の生活においてポジティブに、リスクマネジメントを実践していきたいですね。
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コラム執筆者プロフィール
市田 雅良 (イチダ マサヨシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1999年、ファイナンシャルプランナーとして独立。
資産運用、相続対策、生命保険の見直しなどの分野でセミナーや相談業務を行う。
FP相談としては年200件超のライフプラン提案を行っている。
また、日銀が支援する金融広報アドバイザーとして金融教育の普及に携わり、「KIDSマネー教育」、「生活経済セミナー」などで活動中。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 市田 雅良
- ※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※本記事は、2013年11月18日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。
こちらの記事も参考に
掲載日:2020年3月31日
がんの原因と、がんのリスクを減らす健康習慣
日本人のがんの要因【男女別】
がんの発生には、さまざまな要因が考えられます。
国立がん研究センターがん情報サービスによると、日本人では、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。そのうち、大きな原因は、喫煙(男:約29.7%、女:約5.0%)と感染(男:約22.8%、女:約17.5%)と報告されています。
がん予防・がんのリスクを減らす5つの健康習慣
国立がん研究センターによると、がんの原因は日常生活習慣にかかわる場合も多く、次のような健康的な生活習慣を送ることで、ある程度、がんは予防できるとのことです。
がんの発生を予防し、リスクを軽減させるための健康習慣を5つ紹介します。
がん予防・がんのリスクを減らす5つの健康習慣
- 喫煙習慣:禁煙する
- 20年以上禁煙すれば、非喫煙と同じレベルまでがんのリスクが下がるとの報告もあるので、長く禁煙する心がけが大切です。
- 飲酒習慣:アルコール飲料を控える
- 飲酒はエタノール量換算で週に150gまでに抑えるようにしましょう。例えば、日本酒なら1日1合程度までです。
- 食習慣(塩分):塩蔵品を控える
- たらこやすじこのような塩分の高い塩蔵品の摂取は、1週間に1回未満に抑えると良いという研究結果が出ています。
- 運動習慣:活発な身体活動を意識する
- 1日当たり、男性は37.5メッツ・時以上、女性は31.9メッツ・時以上の運動をする人は、がんのリスクが低いという研究結果があります。
- 身長と体重から算出されるBMI(肥満度):適正なBMIを維持する
- 肥満度の指標となるBMI数値は、男性だと21以上27未満、女性だと19以上25未満が推奨されています。
資料:国立がん研究センターホームページをもとに作成
毎日、少しずつ生活習慣の改善を意識することで、がんのリスクを下げられるのではないでしょうか。