火災保険に個人賠償責任保険を付帯する
火災や自然災害などによる建物や家財の損害時に頼れる火災保険には、地震保険をはじめとするさまざまな特約(オプション)が用意されています。
中でも、火災とは一見関係のなさそうな個人賠償責任保険についてご説明いたします。
個人賠償責保険とは
被保険者本人(その家族を含む)が、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして、損害賠償責任を負うことになった場合の損害を補償する保険です。
うっかり起こしてしまいそうな事故にも対応していますので、日常生活を送る上で心強い保険だといえるのではないでしょうか。
どんな場合に保険金を受け取れる?
(1)住宅の所有・使用・管理に起因する事故
・水道の蛇口を閉め忘れたことにより水が溢れてしまい、マンションの下の部屋の天井から水が漏れ出て被害を与えてしまった。
・ベランダから誤って落としてしまった物が通行人にあたり、ケガをさせてしまった。
図1 住宅の所有・使用・管理に起因する事故(例)
資料:執筆者作成
(2)日常生活における事故
・自転車で走行中、歩行者にぶつかってしまいケガをさせてしまった。
・お店で代金を支払う前に商品を誤って落とし、壊してしまった。
・子どもが友だちと遊んでいて、誤って相手にケガをさせてしまった。
・飼い犬の散歩中、リードを手放してしまい、通行人にかみついてケガをさせてしまった。
図2 日常生活における事故(例)
資料:執筆者作成
次のような場合も補償されることがありますので、気になる商品の補償内容をじっくり確認してみることをおすすめします。
・自宅の塀が倒れて通行中の人にケガをさせた
・認知症の家族が道に迷って線路内に立ち入ってしまったため、電車を運休・遅延させた
また、補償の範囲は「生計を一にする同居の親族」なので、世帯主の方が契約すれば同居のお子さまも補償の対象となるため安心です。
なお、こんな場合は保険金を受け取れません。
- 故意に事故を起こした場合
- 会社勤めの方が勤務中に起こした事故の場合
- 同居の家族にケガをさせたり、家族のモノを破損させたりした場合
- 形のない無形資産(名誉棄損やプライバシーの侵害など)
- 航空機、船舶、自動車などによる事故
- 戦争やテロ、地震や噴火などの災害による損害
重複しても実際の損害額までしか受け取れない
チェックしておかなければならないのが、補償内容の重複です。個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として付帯するのが一般的です。すでに自動車保険や傷害保険を契約している場合は、特約で付帯していないかどうかを確認しておきましょう。
なお、生命保険や医療保険は契約している数だけ保険金を受け取ることができますが、損害保険は一部商品を除きいくつ契約していても(複数社を合わせて)損害額までしか受け取れません。保険料の無駄を省くためにもしっかり確認しておきましょう。
また、損害保険を複数契約する場合は、保険会社にその旨を伝えなければならない「告知義務」が発生しますので注意が必要です。
保険料は月額数百円から
保険金額にもよりますが、個人賠償責任補償特約の保険料はお手頃で、月額100~200円程度が一般的です。自転車保険も同様に月額300円台からと、さまざまなプランが用意されています。この金額でご家族の安全が担保できるのはありがたいですね。
契約中の保険を確認して家庭にあった商品を選択しよう
日常生活の中で、いつ誰が事故を起こしたり巻き込まれたりしてもおかしくはありません。現在契約中の保険の補償を確認して、ご自身やご家族にぴったりの個人賠償責任保険をみつけましょう。
執筆者プロフィール
藤井 宏枝フジイ ヒロエ
AFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
武庫川女子大学文学部国文学科(現 日本語日本文学科)卒業。編集・ライターとして勤めた金融機関でファイナンシャルプランナーの仕事に興味を持ち資格を取得。ワーキングプア時代に情報格差を実感したため、働き方に悩む方や老後の不安を抱える方に向けて知って得する情報をお届けするファイナンシャルプランナーとして活動。
CURIOデザイン 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2023年5月17日です。
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