個人年金保険の必要性
一般的な老後生活とは?
厚生労働省発表の「平成25年簡易生命表」によると、平均寿命は男性で80.21歳、女性で86.61歳となっており、一般的な定年年齢60歳から考えると、いわゆる老後の期間は20年を超えることが分かります。
生命保険文化センター平成25年度「生活保障に関する調査」によると、自分の老後生活に「不安感あり」の割合は86.0%と、9割近くの方が老後生活に対して不安を抱えている結果になっています。
このうち、「非常に不安を感じる」という不安の程度が高い方が25.0%となっています。
また、その不安の内容を具体的にみてみると、「公的年金だけでは不十分」が81.4%と最も高く、次いで「日常生活に支障が出る」が49.7%、「自助努力による準備が不足する」が37.6%、「退職金や企業年金だけでは不十分」が36.7%となっています。
この結果から、老後生活において、経済的な不安を感じている方が多いことが分かります。
同調査によると、老後生活に最低限必要な生活費は月額約22万円で、年換算すると約264万円となります。
それに対して、年金は、加入期間や年収等によって異なりますが、老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて、150万円から250万円というケースが多いようです。
個人年金の必要性をシミュレーションしてみよう
まず、現在の生活費がどれくらいかかっているかを考え、その金額を基に老後の生活費を想定してみましょう。
個人年金が必要かどうかの判断目安を考えるスタートです。
次に、定年退職後の働き方に関する意向について考えます。
高年齢者雇用安定法の一部が改正され、平成25年に施行されました。
これにより、希望すれば65歳まで継続して働くことができる環境が整備されました。
しかし、中には、定年退職後は働かないという意向をもつ方もいらっしゃるでしょう。
何歳まで働くことにするのか、そして年金受給開始年齢に達するまでに無収入の期間が生じるのであれば、その期間は、先ほど想定した老後の生活費に充てるお金の準備が必要です。
例えば、60歳で退職後は働かず、年金受給開始年齢までは個人年金を受け取れるように設計しておくのも準備方法のひとつです。
さらに、先述の調査データを基に考えると、年金を約250万円受け取れる場合、生活費は約264万円(最低限必要生活費が月約22万円として)かかるわけですから、年金受給開始年齢に達した後も、年間約14万円の不足が生じることになります。
その不足分を補うために、年金額に調整がかからない範囲で働き続けるのか、預貯金を充てるのか、それとも個人年金を充てるのか、という選択肢が生まれます。
生活費は一生涯かかる費用ですから、もし個人年金を不足分に充てるのであれば、生涯に渡って年金を受け取れる商品が望ましいといえるでしょう。
一方で、退職後は、今まで行けなかった旅行にゆっくり行きたい、趣味にお金と時間をかけたい等の希望がある方は、その支出分を生涯に渡って用意する必要はないでしょう。
ただ、その一定期間の支出増をどのような手段で準備しておくのかを、検討する必要があります。
今後はさらに自助努力が求められる
現在、老齢年金の受給開始年齢の引き上げや、高齢者医療制度の見直し、そして個人型確定拠出年金の加入資格の拡大等の議論が重ねられている状況を考えると、老後資金について自助努力を行うことが、個人に求められる社会になりつつあるように思います。
個人年金保険の必要性は、人によって異なります。
しかし、平均寿命からみると老後の期間が20年を超える可能性が高いです。
自助努力が求められる社会の中で、早いうちから長期スパンの準備を行っていくために、各人がどのような老後生活を望むのかライフプランを思い浮かべてみること、そして現状の生活を基にしたライフプランシミュレーションを作る必要性は極めて高いと考えています。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年12月17日
個人年金保険に加入すると、生命保険料控除が受けられる
個人年金保険に加入した場合、支払った保険料に対して生命保険料控除を受けることができます。
生命保険料控除とは、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に、支払った保険料の金額に応じて一定の所得控除が受けられるというものです。
「一般生命保険料控除」・「介護医療保険料控除」・「個人年金保険料控除」があり、受けられる控除額は、支払った保険料に応じて決まります。
ただし、控除額にはそれぞれ上限があり、他の生命保険の控除額が多いと上限額を超えてしまうかもしれない点や、2011年12月31日以前に契約したものと、2012年1月1日以後に契約したものとで、控除の計算方法が異なるため注意が必要です。
また、「個人年金保険料税制適格特約」を付加している場合は、個人年金保険料控除の対象となり、特約を付加していない場合や変額個人年金保険は、一般生命保険料控除の対象となります。
個人年金保険料控除の対象となる契約
- 個人年金保険料税制適格特約を付加している
- 年金の受取人が保険料を支払っている者、またはその配偶者である
- 年金の受取人は被保険者と同一人である
- 保険料を10年以上にわたって支払う契約である
- 原則として満60歳になってから10年以上かけて年金を受け取る契約である
個人年金保険に加入している方が生命保険料控除を受ける場合は、必ず申告が必要となります。
せっかく保険料を支払っていても、申告しなければ控除を受けることはできないため注意しましょう。
個人年金保険は、将来のための資金を準備しながら、所得税・住民税を軽減することが可能です。
将来どのような老後生活を送りたいのかを考え、不足する資金を賄うひとつの方法として個人年金保険についても検討しましょう。