個人年金保険の給付期間
生命保険文化センターの平成24年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、個人年金保険に加入している世帯のうち、個人年金保険の給付期間(年金が受け取れる期間)を、「10年間」と回答した方が世帯主の場合、全体で43.5%、配偶者の場合も全体で38.9%と一番多く、次いで「終身」と続きますが、その占める割合は大きく下がります。
年代別にみてみると…
まず世帯主の場合をみると、30歳以上は給付期間を「10年間」と回答する割合が一番多くなっています。またその割合も、30歳以上34歳以下では69%、35歳以上44歳以下でも5割近くという高い割合を占めています。その後、45歳以上54歳以下の年齢層で、「10年間」と回答する割合がやや少なくなり、「15年間」、「終身」と回答する割合が増えてバラつきが見られます。そして、55歳以上からは、再び「10年間」と回答する割合が増えるのですが、「終身」と回答する割合が35歳以上44歳以下の年齢層よりもやや増えます。
一方、配偶者の場合では全年齢層で、「10年間」と回答する割合が一番多く、29歳以下で2割となっている他は、各年齢層とも4割近くを占めています。給付期間にバラつきが見られるのは主に55歳以上69歳以下の年齢層。ただし、世帯主の場合と異なるのは、「10年間」と回答する割合が減るのでなく、「15年間」「終身」と回答する割合が増えています。
老後について考え始めるのは…
この調査は、配偶者や家族と相談しながら原則として世帯主に記入してもらう形式をとっています。それを踏まえて考えると、世帯主本人は40代半ばくらいから50代半ばの時期が、自分自身の老後準備について具体的に考え始める方が多いと推測されるのではないでしょうか。そのため給付期間を「10年間」という選択肢だけでなく、他の選択肢にも主体的に目を向けるようになって、「15年間」や「終身」という選択肢の割合が増えるという結果につながっていると考えられます。
一方、配偶者の方は、給付期間のバラつきがみられるのは55歳以上となっていることから、個人年金保険の加入状況をきちんと把握しようと考え始めるのは、退職時期が目前に迫ってから、もしくは退職後となってからというようなケースが多いと考えられます。
一定期間か終身か
個人年金保険の年金の受け取り方は、大きく分けて一定期間と終身の2種類があります。終身の場合は、保証期間付となっていない場合、被保険者が亡くなると年金は受け取れなくなりますが、給付期間が「10年間」や「15年間」と一定期間となっている場合、生死にかかわらず年金を受け取ることのできる保証期間付となっていることが一般的です。
自分、または世帯全体として、公的年金を受け取るまでの間などの一定期間だけ個人年金を受け取ることができればよいと考えるのか、退職後の再雇用で得る給与や公的年金等に上乗せして生涯にわたって個人年金を受け取りたいと考えるかによって、どちらのタイプを選択するのが適しているかは異なってきます。
年金を受け取る年齢になってから、給付期間の検討をしても遅いということは言うまでもありません。できるだけ早めに、自分だけのイメージではなく、ご家族で老後の生活イメージを話し合っておくことが、まず必要です。
公的年金はどれくらいもらえそうか、何歳まで働こうと考えるのか、退職後はどれくらいの生活費がかかりそうか、趣味や旅行などにはどれくらいかけたいか等々を踏まえた上で、それを実現するための不足分がいつごろの時期に渡って発生しそうであるかを、シミュレーションしてみるとよいでしょう。それにより、個人年金保険の給付期間はどのタイプが適しているかがみえてくると思います。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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