個人年金保険料の支払いと税金面のメリット
個人年金保険は、加入時期によって保険会社が約束する年金の受取額が決まります。皆さまの中にも、予定利率が高い時期に入っておられる個人年金保険を、大事にされている方がいらっしゃるのではないでしょうか。個人年金保険料控除は、保険料を支払った年の所得税や住民税が軽減されることによって、支払った保険料に対する満期時の運用利回りを実質的に上げる効果があります。それでは、個人年金保険料控除について考えていきましょう。
個人年金保険料の簡単な歴史
個人年金保険料控除は、昭和59年に創設され、国民年金や厚生年金を補完するため、国民に老後資金の確保を促すことが目的とされています。また、平成24年以降に契約された個人年金保険については、保険料控除の額が変わっております。
個人年金保険料控除を受けられる契約とは
「年金」と名前がついている保険商品のすべてが、個人年金保険料控除を受けられるわけではありません。ここでは、個人年金保険に類似するものと比較して確認します。保険金受取人、保険料払込期間などの条件期間、受取方法などによって、受けられる保険料控除の種類には次のような違いがあります。
加入する年金商品による保険料控除の違い
※保険会社で契約した財形年金貯蓄は、生命保険料控除の対象にはなりません。
資料:国税庁のホームページをもとに執筆者作成
個人年金保険料控除の計算
保険料控除の計算は、保険に加入した年によって大きく二つに分かれます。
(1)平成23年12月31日以前に契約した個人年金保険契約等
資料:国税庁のホームページをもとに執筆者作成
毎月の保険料が8,334円以上であれば、年間の支払保険料は10万円を超えるので、所得税控除額は上限の5万円になります。
(2)平成24年1月1日以降に契約した個人年金保険契約等
資料:国税庁のホームページをもとに執筆者作成
毎月の保険料が6,667円以上であれば、年間の支払保険料は8万円を超えるので、所得税控除額は上限の4万円になります。
(1)と(2)の契約があり、両方について個人年金保険料控除を受ける場合は、合算して4万円が上限となります。
公益社団法人生命保険文化センターが行った「平成24年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、個人年金保険料の世帯平均支払額(1年間)は19.3万円となっています。
つまり、平均的な保険料を支払っている方であれば、個人年金保険料控除の上限額で控除を受けていることになります。平成24年の個人年金保険の世帯年間払込保険料をみると、5割以上の方が保険料控除を満額受けておられます。
終わりに ~ワンポイントアドバイス~
老後資金を確保する際、個人年金保険は選択肢の一つです。とはいうものの、個々の家計をみれば他の選択肢がよい場合もあります。例えば、死亡保障と老後資金の確保を両立させたい方は、低解約返戻金型の終身保険に加入することも一案でしょう。お金が貯まらず借金体質の方は、保険は保障を得るものと割り切り、銀行などで定期的にお金を貯める方が優先されるのではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナー 上津原 章
- ※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※本記事は、2015年9月4日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。