個人年金保険の種類
老後の年金について不安を感じる方も多く、個人年金保険への関心は高くなっています。
とはいえ、個人年金保険と一口にいっても、さまざまな種類があることをご存じですか?
年金の受取期間による分類
年金は、受取期間により、「有期年金」「確定年金」「終身年金」の大きく3つに分類されます。
それぞれ、内容を整理してみましょう。
「有期年金」は契約時にあらかじめ定めた一定期間、被保険者が生きている場合のみ年金が受け取れるものをいいます。
その期間に達しなくても、本人が死亡すれば年金は支払われません。
「確定年金」は、言葉通り、契約時に定めた一定期間、年金が受け取れる個人年金です。
被保険者の生死は関係ないので、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合は、残存期間に対応する年金か一時金が遺族に支払われます。
なお、年金受取期間前に被保険者が死亡した場合は、それまでに払い込んだ保険料相当額が死亡保険金として支払われるのが一般的です。
「終身年金」は、契約時に定めた年齢から被保険者が死亡するまでの間、年金を受け取ることができる個人年金です。
生涯にわたって年金を受け取ることができますが、もしも年金を受け取り始めてすぐに死亡してしまった場合、受取年金総額が払込保険料総額を下回ってしまう可能性もあります。
そのため、一般的には生死に関係なく年金が受け取れる期間、保証期間をつけた「保証期間付終身保険」として販売されることが多いです。
保証期間中に被保険者が死亡した場合は、保証期間の残存期間に対応する年金、または一時金が遺族に支払われます。
保険料について考えてみますと、やはり長期にわたって年金の受け取りができる可能性がある保証期間付終身年金は、確定年金よりも保険料は高いと言えます。
また、受け取る年金金額が、毎年一定である「定額型」の年金商品と年金額が毎年増えていく「逓増型」の年金商品がありますが、逓増型は定額型よりも保険料は高くなります。
年金の運用方法による分類
次に、運用方法によって分類してみますと、受け取る年金額が契約時に決まっているものと、変動するものとで分類できます。
一定期間、契約時の予定利率により積立運用を行い、決まった年金額を受け取っていくことになる「定額年金」は安定的ではありますが、インフレには弱いといえます。
リスクはありますが、価格変動幅の大きい金融商品等で年金原資を運用し、運用効果を高めることを目的とする年金商品もあります。それが、「変額年金」です。
「変額年金」は、年金額が運用実績によって変動します。
株や投資信託など金融商品での運用実績に応じて、将来の年金額が大きくなる可能性もありますが、その逆の可能性、つまり、将来の年金受取総額が保険料の払込総額を下回る場合もあることには注意が必要です。
なお、変額年金では、元本(払込保険料総額)は保証されませんが、最低保証金額が定められている場合もあります。
ここまで、受取期間や運用方法によって、個人年金保険の種類を分類し、その内容について考えてみましたが、このほかにも積立通貨による分類もできます。
日本円で積み立てる年金商品でなく、外国通貨による積み立てを行う年金商品である場合には、為替リスクが生じます。
外国通貨での積み立てを行う年金商品は、予定利率が高く設定されていることもありますが、年金受取時に円高に振れていれば、円に換算をしたときに資産が目減りしてしまう可能性もあります。
また、為替手数料等の諸費用がかかることにも注意をしておきましょう。
さまざまな個人年金保険の商品がありますが、表面的な金利や保険料の高低だけで判断するのは早計です。
例えば、生涯に渡って公的年金に上乗せを考えておきたいのであれば終身年金を選択することになりますし、退職後から一定期間は、特に旅行や趣味などのためにお金を使えるように準備をしておきたいのであれば確定年金でもよいかもしれませんよね。
それぞれの商品の特長、メリット、デメリットをよく調べてみましょう。
そして、自分自身のライフプランと照らし合わせた上で、希望に沿った商品を選択したいものですね。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2020年1月29日
個人年金保険の保険料に適用される所得控除の上限額
個人年金保険の大きな特長は、「生命保険料控除」の内の1つである「個人年金保険料控除」の対象となることが挙げられます。
生命保険料控除は所得控除の1つで、支払った保険料の額に応じて控除が受けられるため、所得税・住民税の負担が軽減されますが、控除を受けるためには年末調整や確定申告が必要です。
なお、生命保険料控除は「一般の生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除」の3つに分けられ、個人年金保険は個人年金保険料控除の対象となります。
ただし、個人年金保険料控除を受けられるためには「個人年金保険料税制適格特約」をつけた契約が対象であったり、保険料を10年以上にわたって定期的に支払う契約であったりなど、一定の条件を満たす必要がある点には注意をしておきましょう。
なお、税金の負担が軽くなる生命保険料控除ですが、控除額には上限が定められています。
新契約・旧契約での生命保険料控除の上限額
※スクロールで表がスライドします。
控除額について理解する際に知っておくべきことは、2012年1月1日以降に契約したものと、2011年12月31日までに契約したものとで、控除額が異なることです。
また、これら新契約・旧契約に係る保険料については、それぞれの生命保険料控除の区分ごとに、どちらの控除額を適用するか(または併用するか)は任意に選択できます。
そのため、一般の生命保険料控除については旧生命保険料に係る控除額を適用し、個人年金保険料控除については旧個人年金保険料に係る控除額を適用して、一番大きい金額を生命保険料控除額とすることができます。
個人年金保険に加入する際は、受取期間や運用方法等による種類について検討するのはもちろんですが、自分自身が加入している保険がどの程度控除を受けているのか、個人年金保険に加入した場合に控除を受けることができるのか、といったこともよく考えましょう。
また、せっかく保険料を支払っていても、年末調整や確定申告をしていなければ控除を受けることはできませんので注意が必要です。
毎年10月頃に各保険会社からお知らせが郵送で届きますので、きちんと保管しておきましょう。
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