30歳代の週末ドライバー 「リスク細分化」と「各種割引」について
はじめに
今回のコラムでは、前回に引き続き、30歳代の週末ドライバーが自動車保険を選ぶにあたって注目するポイントについてみていきます。
前回までに、「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害補償保険」「車両保険」と、それぞれの保険に付帯することができる特約等についてみてきました。今回は、「リスク細分化」と、各保険会社が提供する「各種割引」についてみていきます。
リスク細分化とは
リスク細分化とは、保険会社が運転者の年齢や車種、クルマの使用目的、年間の走行距離等により保険料率を分類し、リスクに応じた保険料を適用する方法になります。リスク細分化をしていない自動車保険と比べて、リスクが低い(事故率が低い等)ところに分類されると保険料は安くなり、リスクが高い(事故率が高い等)ところに分類されると保険料が高くなります。
各種割引制度とは
各種割引制度は、「人による割引」と「クルマによる割引」に大別されます。
人による割引は、運転する人を「本人」「本人と配偶者」「本人とその家族」等に限定し、保険料の割引を行います。また、免許証の色による割引等もあります。
クルマによる割引には、「新車割引」や「エコカー割引」等があります。
新車割引は、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車等と、用途・車種が限定されます。また、多くの保険会社は、初度登録後25ヶ月以内を新車としています。
エコカー割引も、新車割引のように車種の限定があります。エコカーの定義は、電気自動車、ハイブリッド車等になりますが、保険会社によっては、電気自動車の定義を定めているところもあります。
ドライバー別にみる、リスク細分化の選択方法
下の表は、3回目のコラムから使用している、ドライバーをタイプ別に分類した表になります。以下の表と、保険会社が提供しているリスク細分化や各種割引等の選択肢に基づいて、ドライバーごとにみていきます。
タイプ | 家族構成 | 主な使用目的 | 年間走行 距離 |
契約 車両 |
---|---|---|---|---|
A | 独身 男性 | 土日にかけて、ロングドライブで使用。 | 15,000km | 乗用車 車齢2年 |
B | 独身 女性 | 週末に美術館や公園めぐりに使用。 | 2,000km | 軽自動車 車齢1年 |
C | 夫婦2人 | 週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 | 4,000km | 軽自動車 車齢5年 |
D | 夫婦2人 | 週末に夫婦で日帰り温泉旅行を楽しむ時に使用。 | 6,000km | 小型車 車齢1年 |
E | 夫婦と子ども1人 | 週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 | 4,000km | 小型車 車齢6年 |
F | 夫婦と子ども1人 | 月2回程度、家族でアウトドアを楽しむ時に使用。 | 8,000km | 乗用車 車齢5年 |
G | 夫婦と子ども1人、 夫の親と同居 |
月1回程度、3世代で遊園地や動物園に行く時に使用。 それ以外は、週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 |
5,000km | 乗用車 車齢1年 |
資料:執筆者作成
まずは、リスク細分化についてみていきます。
全てのタイプの運転者の年齢は、30歳以上とします。その場合、全年齢や21歳以上、26歳以上に比べて、年齢による保険料は安くなります。保険会社によって年齢の分類が若干異なります。また、クルマの使用目的も全てのタイプで「日常・レジャー使用」になり、その他の使用目的(業務や通勤・通学)に比べて保険料は安くなります。
クルマの走行距離による細分化については、行っている保険会社と行っていない保険会社があります。また、走行距離についても、7つに区分(3,000km以下、5,000km以下、7,000km以下、9,000km以下、11,000km以下、16,000km以下、無制限)している保険会社と、3つに区分(5,000km未満、10,000km未満、10,000km以上)している保険会社があり、保険会社により異なります。ご自身の走行距離を確認して、何社か見積りを取ることをおすすめします。
次に各種割引についてみていきます。
人による割引では、補償の対象になる運転者を「被保険者本人」「本人+配偶者」「本人+その家族」の3つに分類しているところや、「本人・配偶者に限定」「本人・家族に限定」の2分類のところもあります。補償の範囲を限定することで保険料が安くなりますので、タイプA、Bの方は、本人限定にすることで保険料を抑えることを考えてみましょう。
ゴールド免許による割引は、年齢にかかわらず、一律の割引の保険会社と、年齢により割引率を変えている保険会社があります。
クルマによる割引として、「新車割引」があります。該当するドライバーは、車齢が25ヶ月以内のタイプA、B、D、Gの方になります。保険会社により「13ヶ月以内」「14ヶ月以上25ヶ月以内」と区分しているところもあります。
また、車種について、自家用の普通車、小型車、軽四輪としている保険会社と、軽四輪の記載がない保険会社もありましたので、該当する車種の記載がない場合は、保険会社に確認しましょう。
最後に
今回取り上げました「リスク細分化」や「各種割引」は、自動車保険のCM等で、最もアピールされるところになります。同じように思える各種割引についても、保険会社により「区分方法」や「割引率」等で、各社とも特色を出しています。
自動車保険に加入する目的は、「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害保険」や「車両保険」がメインになりますが、「補償を受けるドライバーの範囲」「使用目的」「走行距離」等を限定することで、保険料を安く抑えることが期待できます。
現在や今後のドライビング状況を考え、複数の保険会社からの見積りを比較して、保険料の節約を考えましょう。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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