自動車保険の保険料について ~車両料率クラスとは?~
自動車の型式ごとに毎年決められる保険料率
自動車保険料にかかわる「車両料率クラス」というのは、「型式別料率クラス」のことで、自動車の「型式」ごとの事故実績に基づいて設定される保険料率のことを指します。自動車の「型式」とは、道路運送車両法に基づいて、国土交通大臣が構造、装置および性能が同じ自動車に対して指定する分類指標のことで、自動車検査証(いわゆる車検証)に必ず記載されています。
簡単にいうと、車のタイプごとに事故を起こす確率が違うので、車のタイプを示す型式ごとに料率クラスを設定し、料率クラスに応じて保険料が算出されます。例えば、スポーツカータイプは若者が好むこともあり、事故の確率が高いとか、ワンボックスタイプはファミリー向けなので、事故の確率は比較的低いなどといったように、毎年の事故実績に基づいて保険料率が定められ、毎年見直しが行われています。
具体的には、下表のように、対人賠償、対物賠償、人身傷害・搭乗者傷害、車両といった保険種類ごとに、その型式の車の事故実績に応じて1~9のクラス分けが決められます。毎年見直しが行われていますので、保険金支払いの対象となる事故が減り、クラスが引き下げられると(=数値が小さくなると)保険料は下がりますし、事故が増えてクラスが引き上げられると(=数値が大きくなると)保険料は上がります。クラスがひとつ引き上げられると保険料は約20%アップするため、クラス1と9では保険料の差が約4倍程度にもなるようです。同じ車に乗っていて、無事故で等級が上がったはずなのに、次の年の自動車保険料が上がってしまうということも、この料率クラスの変更によって起きる場合があるのです。
型式別 料率クラス
資料:日本損害保険協会「そんぽ相談ガイド」をもとに執筆者作成
なお、この料率クラスは、型式ごとに定められているので、車種が同じでもグレードによって異なる場合があります。これは、同じ外見の車でも、エンジンの排気量が2,000CCなのか3,000CCなのか、ハイブリッドかそうでないか、などといった違いで、同じアクセルの踏み方でも出るスピードが異なったり、車重の違いによって制動距離が違ったりするので、まったく同じ性能の自動車とは判断できないためです(ただし、軽自動車等については料率クラスの定めがないので、型式ごとの違いはありません)。
例えば、同じ外見の車(軽自動車等を除く)でも、あるグレードは「対人4、対物4、人身・搭乗3、車両5」で、それよりグレードが高くなると「対人4、対物5、人身・搭乗3、車両6」といったように、細かい部分で料率クラスが違ってくることがあるのです。
自動車の購入の際に料率クラスを確認するのもひとつの方法
毎年かかる自動車保険料をランニングコストと考えるなら、そのコスト負担を引き下げるためには、型式ごとに異なるこの料率クラスにも注目すべきだといえます。自動車保険料から判断して買う車を選ぶというのは、車が好きな人からするとありえない視点かと思われますが、車は動けばいいとか、形が同じであればエンジンの排気量などは気にしないといった人であれば、同じ形の車のなかで自動車保険料が一番安くなるのはどれかというのを調べてみるとよいでしょう。
ただし、仮に料率クラスがすべて1に近い車を購入したとしても、あくまでも過去の事故実績として事故の確率が低いというだけですので、実際に事故を起こさないようにする心がけは当然に必要になります。くれぐれも安全運転の意識を忘れないようにしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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