30歳代の週末ドライバー 自分自身と同乗者への補償
はじめに
今回のコラムは、前回に引き続き、30歳代の週末ドライバーが自動車保険を選ぶにあたって注目するポイントについてみていきます。今回は、「自分自身と同乗者への補償」について取り上げます。
前回のコラムは「事故の相手に対する賠償」を補償する保険でしたが、今回は、自分と同乗者については「どの程度の補償が必要になるか」という点で保険を検討していきます。
「人身傷害補償保険」について
自分と同乗者に対して補償をする保険としては、「人身傷害補償保険」があります。保険会社によっては、「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」の補償内容を含んだ保険を提供しているところもあります。
また、「人身傷害補償保険」は、「保険で契約した自動車に搭乗中の事故」以外に、ご自身やご家族の方の、「契約した自動車以外での搭乗中の事故」、「歩行中や自転車運転中の自動車との接触事故」等にも対応しています。「保険で契約した自動車に搭乗中の事故」の場合は、過失割合に関係なく実際の損害額に対して保険金の支払いが行われます(実損払い)。
ドライバー別にみる保険金額の考え方
「人身傷害補償保険」は、保険金額を限度に、実際の損害額に対して保険金の支払いが行われます。
それでは、前回のコラムで使用した表1のドライバータイプの家族構成から、保険金額を考えてみましょう。
タイプ | 家族構成 | 主な使用目的 | 年間走行距離 |
---|---|---|---|
A | 独身 男性 | 土日にかけて、ロングドライブで使用。 | 15,000km |
B | 独身 女性 | 週末に美術館や公園めぐりに使用。 | 2,000km |
C | 夫婦2人 | 週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 | 4,000km |
D | 夫婦2人 | 週末に夫婦で日帰り温泉旅行を楽しむ時に使用。 | 6,000km |
E | 夫婦と子ども1人 | 週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 | 4,000km |
F | 夫婦と子ども1人 | 月2回程度、家族でアウトドアを楽しむ時に使用。 | 8,000km |
G | 夫婦と子ども1人、 夫の親と同居 |
月1回程度、3世代で遊園地や動物園に行く時に使用。 それ以外は、週末にショッピングセンターでの買い物に使用。 |
5,000km |
資料:執筆者作成
死亡事故を中心に考えた場合は、残された家族への補償が必要になります。そのため、「子どもがいるE・F・G」は補償を多くし、「夫婦2人C・D」「独身のA・B」の順に補償を抑えることを考えても良いかと思います。
傷害事故を中心に考えた場合は、「独身のA・B」もある程度の保険金額で契約する必要が出てきます。
また、主な使用目的で考えた場合には、「C、E(ショッピングセンターでの買い物が中心のタイプ)」は、限られたエリア、限られたルートが多く、慣れた道路での運転が主になると考えられるので、「A(ロングドライブの独身男性)」や「D(日帰り温泉旅行を楽しむ夫婦)」、「F(アウトドアを楽しむ家族)」に比べて事故率が少ないように思います。その点を考慮して、保険金額を設定するのも一案です。
走行距離と事故発生率にも相関関係があります。走行距離が長いほど事故発生率が高くなる傾向があり、走行距離が短いほど事故発生率が低くなるようです。走行距離をベースに保険金額を設定するという考え方もあります。
「人身傷害補償保険」以外の補償について
「人身傷害補償保険」のところで名称だけ触れた「搭乗者傷害保険」、「自損事故保険」、「無保険車傷害保険」の中身について表2で簡単に説明します。
搭乗者傷害保険 | 保険契約した自動車に乗車中の方が、自動車事故により死傷した場合に保険金が支払われます。「人身傷害保険」と異なり保険金は、定額払いになります。 |
---|---|
自損事故保険 | 単独事故(電柱への衝突等)により、運転者自身が死傷した場合に保険金を定額で支払います。 |
無保険車傷害 保険 |
自動車事故の相手方が任意の自動車保険に入っていない場合や、十分な損害賠償を受けられない場合に、その損害額を補償します。 |
資料:日本損害保険協会HPをもとに執筆者作成
表2の保険は、「人身傷害補償保険」とは別に保険金が支払われる保険になります。「人身傷害補償保険」とセットになっている場合と、別途特約で付加する場合があり、保険会社によりその扱いは異なります。特約で別途保険料が必要になる場合は、「人身傷害補償保険」の補償額、補償範囲をしっかり確認して、足りない部分があれば、特約を付加するようにしましょう。
最後に
今回取り上げた「人身傷害補償保険」は、「保険で契約した自動車に搭乗中の事故」以外に、ご自身やご家族の方の、「契約した自動車以外での搭乗中の事故」、「歩行中や自転車運転中の自動車との接触事故」等、補償範囲が広い保険になります。
現在、生命保険や医療保険、傷害保険等に既に加入されている方は、それらの保険の補償範囲と重複するケースが考えられます。その場合には、「人身傷害補償保険(契約自動車搭乗中のみ)」と補償範囲を限定する等して、保険料を抑える工夫をしましょう。
次回は、「ご自身の車に対する補償(車両保険)」等についてみていきます。
-
コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
-
コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。