自動車保険に付帯するロードサービスの基礎知識
自動車保険は自動車の事故で発生した損害を補償する保険ですが、自動車保険に付帯する「ロードサービス」と呼ばれるサービスをご存じでしょうか?例えば、鍵の閉じ込みやガス欠など、自動車のトラブルで困ったときに便利なサービスを受けることができます。しかし、その内容は保険会社によってさまざまです。
今回は自動車保険のロードサービスについて見てみましょう。
さまざまなトラブルに対応
ロードサービスはどんなときに受けることができるのでしょうか?万一、自動車のトラブルに遭ったときに何も知らないと、気が動転してしまうことでしょう。もしもに備えて、主要なロードサービスについて確認しておきましょう。
(1)現場での応急処置
現場での応急処置や軽作業のサービスとして、バッテリー上がりの応急作業・点検・交換や鍵の閉じ込みによる開錠作業、パンク時のスペアタイヤ交換作業、落輪引き上げ作業、雪道でのスタックの引き出し作業などがあります。保険会社や作業の内容などにより、「保険期間中の利用回数は1回のみ」「作業時間30分以内は無料」、「時間の制限なく無料」など条件が異なります。
(2)ガソリン補給サービス
ガス欠になったときにガソリンを補給するサービスです。保険会社により、「ガソリン10リットルを無料で現場までお届け(ガソリン代も無料)」、「契約初年度は有料で2年目以降は10リットルまで無料」など条件が異なります。
(3)レッカーけん引サービス
車が自力走行できない場合や応急処置では対応できない場合には、レッカーけん引を行います。無料でレッカーけん引サービスを受けることのできる条件は、保険会社によってさまざまです。保険会社が指定する工場までは距離の制限を設けていない、あるいは契約者の希望する修理工場まで50kmや100kmなど距離の制限を設けている保険会社もあります。
(4)宿泊や帰宅費用のサービス
遠距離のドライブ中にレッカーけん引を受けた場合、その後の移動に困ることがあります。その場合、電車やレンタカーなど他の交通手段で目的地に向かう、あるいは帰宅する、また帰宅困難なときには宿泊が必要となる可能性もあります。保険会社によっては、これらの費用をサポートするサービスがあり、搭乗者全員分の費用を負担したり、同乗ペットの宿泊や留守番ペットのシッター延長などペットにかかる費用を負担したりします。
(5)その他サービス
故障現場を特定するのに便利なGPS位置情報サービスや、電話での情報提供サービスで整備士のアドバイスやガソリンスタンド情報を聞くことができるサービスもあります。
サービスを受けると翌年の保険料は上がるの?
自動車保険の契約では、事故などで保険を利用すると契約者の等級がダウンして翌年の契約保険料がアップしますが、ロードサービスだけを利用する際には、翌年の契約保険料への影響はありませんので安心してサービスを受けることができます。
必要なロードサービスは?
保険会社によってロードサービスの内容はさまざまで、サービスを受けることのできる条件も幅があることが分かりました。選択肢が多いと、どのロードサービスが必要なのかを選ぶのも大変です。そこで、必要なロードサービスを検討する際に参考になるデータをご紹介します。
表1 道路別装置別故障発生件数および割合
※( )内は、各総計に対する発生件数割合(%)を示しています。
資料:国土交通省「平成28年路上故障の実態調査結果」をもとに執筆者作成
国土交通省「平成28年路上故障の実態調査結果」によると、平成28年9月から11月の間に発生した自動車の路上故障の件数は、一般道路90,974件、高速道路11,291件と全体の約9割が一般道路での故障であることが分かります。
次に、一般道路と高速道路での故障部位別の発生件数の割合を見てみましょう。
表2 一般道路における故障部位別発生件数の割合
資料:国土交通省「平成28年路上故障の実態調査結果」をもとに執筆者作成
表3 高速道路における故障部位別発生率
資料:国土交通省「平成28年路上故障の実態調査結果」をもとに執筆者作成
一般道路での故障部位は、約60%がバッテリー(過放電・破損・劣化・端子部接続不良・液不足)とタイヤ(パンク・バースト・空気圧不足)です。また高速道路での故障部位の半分以上はタイヤのパンク・バースト・空気圧不足です。
上位の故障部位のなかでも、ロードサービスを利用する可能性が高いバッテリー・タイヤにかかわるサービスは、ほぼどの保険会社でもカバーしています。
これから自動車保険を検討する場合には、補償内容に対する保険料とのバランスをとりつつ、ご自分の自動車の利用状況により必要なロードサービスを考えてみましょう。
図 ロードサービス選びの一例
資料:執筆者作成
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コラム執筆者プロフィール
加藤 葉子 (カトウ ヨウコ) - 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
ファイナンシャルプランナー 加藤 葉子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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