2020.04.23
振替加算って何だろう?
専業主婦や専業主夫が65歳になると、配偶者が受給していた加給年金は打ち切りになります。
それに代わって一定の基準により専業主婦や専業主夫の老齢基礎年金に加算されるのが「振替加算」です。
振替加算とは
国民年金への加入が任意だった期間に、任意加入しなかった「カラ期間」がある場合、その期間は年金の受給資格期間には含められますが、年金額には反映されません。
例えば、厚生年金保険、船員保険および共済組合の加入者と結婚して専業主婦になり、1961年4月1日~1986年3月31日の期間に20歳以降国民年金に任意加入しなかった場合、1986年4月1日の時点から第3号被保険者として公的年金制度に加入しても、任意加入しなかった期間はカラ期間として受給資格期間には含められるものの、60歳までの年金額に反映される加入期間が短く、老齢基礎年金を満額受給することはできません。
このようなカラ期間が長いと老齢基礎年金が低額となるため、これを考慮したものが振替加算です。
そのため加算を受けることができるかどうかは生年月日により決まっています。
受給の要件について
振替加算は、全ての方が受給できるわけではありません。
対象は、現在の公的年金制度がスタートした1986年4月1日の時点で20歳以上だった1926年4月2日~1966年4月1日生まれの方です。
また、老齢厚生年金や退職共済年金を受給できる場合で、厚生年金保険などの加入期間が20年以上あると、振替加算は支給されません。
なお、配偶者が年下で加給年金の対象にならなかったとしても、配偶者に厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あれば、65歳に到達した時点で、上記要件を満たしている場合は振替加算の対象となります。
受給額はいくらになるのか
振替加算の受給額は生年月日で異なります。
1986年4月1日に59歳の専業主婦や専業主夫は、加給年金額と同額が受給できます。
それ以後年齢が若くなるごとに減額していき、1986年4月1日に20歳未満の方はゼロとなるように決められています。
表 振替加算の年額(2020年度)
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
詳しくは日本年金機構ホームページをご覧ください。
加給年金と振替加算は、「ねんきん定期便」に記載されている見込み額には含まれていません。
それぞれ要件に該当する場合にのみ受給できる公的年金として知っておきましょう。
振替加算の手続きは、誰がいつする?
振替加算は、基本的に受給するための特別な手続きは必要ありませんが、専業主婦や専業主夫が65歳になった後に、厚生年金保険の加入期間240月を満たした配偶者が老齢厚生年金を受給するようになった場合は、振替加算を受けるために「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」の提出が必要です。
この手続きは、受給する老齢基礎年金に振替加算される、専業主婦や専業主夫が行う必要があります。老齢厚生年金の受給者である配偶者ではありませんので注意が必要です。
以下に記載の必要書類を添えて、最寄りの「年金事務所」または「街角の年金相談センター」に提出しましょう。
図2 国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届提出時に必要な書類
- 受給する方の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
- 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)
- 受給する方の所得証明書、または、非課税証明書(いずれかひとつで、加算開始日に直近のもの)
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
添付書類は、特別に記載がないものは全て原本で用意しましょう。
また、戸籍抄本、戸籍謄本、住民票の写しは、加算開始日以降に発行され、かつ書類提出日より6カ月以内の発行日のものが有効です。
なお、老齢基礎年金の受給を繰下げる場合、繰下げ待機期間中に振替加算分だけを受けることはできません。
また、振替加算分は繰下げしても増額しません。
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