2019.06.14
退職と第3号被保険者
夫婦ともに会社員・公務員として厚生年金に加入する働き方をしている場合は、それぞれが国民年金の第2号被保険者となっています。しかし、何らかの事情でどちらか一方が退職することもありえます。
ここでは、どちらかが退職した場合に、配偶者の扶養として第3号被保険者へ加入するための収入要件についてお伝えします。
第3号被保険者の収入要件
第3号被保険者に該当するための要件は、会社員・公務員の配偶者(第2号被保険者)により主として生計を維持されている主婦または主夫の、「年間収入」が130万円未満であることです。また、同居の場合は収入が配偶者の収入の半分未満、別居の場合は収入が配偶者からの仕送り額未満という収入要件があります。
年間収入とは、過去の収入?これからの収入?
年間収入とは、配偶者が勤務先を通じて主婦または主夫を被扶養者とする届出を提出する、過去1年間の収入のことではありません。
被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。
図1 年間収入が130万円未満とは
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
年間収入は給与だけじゃない
年間収入には、会社から支払われる給与の他に雇用保険の失業等給付、傷病手当金や出産手当金なども含まれます。
(1)退職したときの失業等給付
雇用保険からは、会社を退職した受給要件を満たす方に対して、次の仕事が見つかるまでの再就職活動を行った上で失業等給付が支給されます。失業等給付のうち基本手当(いわゆる失業給付)を受給することができる日数は、年齢、被保険者期間、退職理由により90日~360日の間で決まっています。
自己都合で退職した場合、7日間の待機期間終了の翌日から3カ月間は給付制限期間となるため、退職後、雇用保険から基本手当をすぐに受給することができません。
その間は基本手当の受給はないため、配偶者の扶養として第3号被保険者へ加入できます。給付制限期間が終了し失業給付が開始され、給付が日額3,612円以上の給付がある場合は第3号被保険者にはなれません。
(2)出産手当金、傷病手当金を受給する場合
病気やケガ、出産などで退職した場合、退職後も傷病手当金や出産手当金の受給資格を満たしていれば、引き続き受給することができます。
この場合、給付が日額3,612円以上であれば、第3号被保険者にはなれません。
図2 (例)会社員である妻が自己都合で退職した場合の国民年金
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
このように、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付が日額3,612円以上である間は、年間130万円以上の収入見込みがあるということになり、第3号被保険者へ加入はできません。そのため、第1号被保険者の手続きを行い国民年金保険料の納付が必要です。健康保険はこれまで加入していた健康保険へ任意継続するか、国民健康保険へ加入します。
第3号被保険者として認定されるには、年間収入が130万円未満であることという収入要件があります。年間収入には雇用保険や健康保険からの給付も入ることに注意しましょう。
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