2018.12.07
会社員・公務員ってどんな年金制度に加入しているの?
会社員・公務員が加入している年金制度というと「厚生年金」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
一般的に、給与明細の社会保険料控除欄に厚生年金と記載されているので、その印象が強いのでしょう。では、会社員・公務員の「国民年金」はどのようになっているのでしょうか。
今回は、会社員・公務員が加入している年金制度についてお伝えします。
会社員・公務員の公的年金は2階建て
日本の公的年金制度は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)を1階部分、会社などに勤務している方や公務員の方が加入する厚生年金を2階部分とした2階建ての仕組みになっています。
また、年金制度には公的年金の上乗せの給付を保障する私的年金があり、企業が任意で設立し社員が加入する企業年金や、会社員・公務員に限定されず個人が任意で加入する個人型確定拠出年金(iDeCo)などがあります。
会社員・公務員は国民年金の第2号被保険者
国民年金の被保険者の種別は、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」として3つに分けられており、会社員・公務員は厚生年金に加入する第2号被保険者に該当します。
会社員・公務員は厚生年金に加入すると同時に、国民年金の第2号被保険者として自動的に国民年金にも加入します。そのため、厚生年金と国民年金の2つの年金制度に加入していることになるのです。
表1 被保険者の種別
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資料:日本年金機構「知っておきたいお金のはなし」をもとに執筆者作成
厚生年金保険とは?
(1)適用事業所
厚生年金保険が必ず適用される事業所は、株式会社などの法人事業所です。また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所(農林漁業やサービス業などの場合は除く)についても適用されます。
必ず適用される事業所以外であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることで適用事業所となれます。
(2)保険料の納付
国民年金保険料は定額ですが、厚生年金保険料は給与によって変わります。
厚生年金保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)及び賞与(標準賞与額)に保険料率をかけて計算され、事業所が半額を負担します。
よって、給与明細で厚生年金として差し引かれている金額は被保険者負担分であり、実際に納付される保険料の半額です。
また、厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれていますので、国民年金の第3号被保険者にあたる配偶者がいる場合、その配偶者分の国民年金保険料も加入する厚生年金が一括負担します。
したがって、第3号被保険者の配偶者は自ら保険料を納める必要はありません。
(3)年金の受給
年金というと、老後に受給できる老齢年金を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、年金は老後だけではなく、万一の場合にも受給できます。
公的年金の受給は、原則として65歳から生涯受給することができる「老齢年金」の他に、病気やケガによって法令で定められた障害等級の障害状態になったときに65歳未満であっても受給することができる「障害年金」と、被保険者が亡くなったときに受給要件を満たしていれば遺族が受給することができる「遺族年金」の3種類があります。
なお、厚生年金の年金額は、支払っていた保険料が高いほど、受給できる年金額が増える可能性があります。
表2 支給される公的年金の種類と概要
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資料:日本年金機構「年金のことを調べる」をもとに執筆者作成
会社員・公務員なら知っておきたい知識
(4)年金の加入状況などを確認するには
インターネットを通じてご自身の年金の情報を手軽に確認できる「ねんきんネット」というサービスがあります。基礎年金番号とメールアドレスを登録すれば、年金記録の確認や将来の年金見込額の確認などができます。
厚生年金については、こちらの記事も読まれています。
企業年金とは?
企業年金には、将来の給付額をあらかじめ確定して企業が年金資産を運用する「確定給付企業年金制度(DB)」や、拠出額(掛金)をあらかじめ確定して年金加入者がご自身で年金資産を運用する「確定拠出年金制度(DC)」、企業で設立した厚生年金基金が国の厚生年金の一部を代行し併せて企業独自の給付を上乗せして支給する「厚生年金基金制度」があります。
企業年金制度があるか、ある場合でも確定給付型や確定拠出型など制度の種類は、加入している厚生年金によって異なりますので確認しておきましょう。
このように会社員・公務員が加入している厚生年金は、昇給したことで保険料も上がりますが、その分、手厚い制度になっているといえます。さらに企業年金制度による上乗せの可能性もあります。
ご自身が加入している年金制度をよく確認した上で、さらに必要を感じた場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)を検討してみることをおすすめします。
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