ネット保険のベースとなる保障
はじめに
こちらのコラムでは、ネット保険のがん保険、医療保険、生命保険等の「仕組み」と「ベースになる保障」について考えていきます。
ネット保険は、加入希望の方ご自身がホームページ上の資料等を参考に保障内容を理解し、ネット上で加入いただく保険商品です。
対面販売の保険商品に比べ、ベースとなる保障(主契約)を中心に、特約についてもシンプルな作りになっているという特徴があります。
それによって、各種の保険で最も必要となる保障(ベースになる保障)は、「何か」ということがわかります。今回は、がん保険についてみていきます。
ネット保険が取り扱っているがん保険の仕組み
ネット保険のがん保険の商品説明を各社のホームページ上でみてみますと、「仕組み」として2つのタイプがありました。
1つは、主契約(診断給付金や入院給付金等)に付加する特約を選択するタイプ。もう1つは、主契約と特約をいくつかのパターンにパッケージ化して提供しているタイプになります。また、最近は、がん治療給付金といった保障を重視したタイプもあります。
診断給付金や入院給付金等の中身については、このコラムの後半でみていきます。ここでは、主契約と特約がパッケージ化された商品について、もう少し触れます。
パッケージは、「基本コース」と入院や診断給付金の額を増額した「充実コース」、がん先進医療もカバーした「がん先進医療コース」等になります。また、「女性特有のがん」に対応したコースを用意している会社もあります。
保険料は、ホームページ上でシミュレーションができます。主契約部分については、「がん診断給付金」、「がん治療給付金」や「がん診断給付金やがん治療給付金+入院給付金」等、会社により特色があります。
がん保険でベースになる保障は3つ
上記のがん保険の仕組みで触れましたように、がん保険の「ベースとなる保障」は、
- がん診断給付金
- がん治療給付金
- 入院給付金
の3つと考えます。
がん保険加入を検討するにあたって、以下、個々の保障についてみていきます。
がん診断給付金について
がん診断給付金は、がんと診断された時に、一括で給付金が受け取れる保障です。この給付金のポイントは、入院給付金に比べて早い段階で給付金を受け取ることができることです。
入院、手術、通院等の費用に備えることや、入院前の準備資金として活用することができます。
給付金の額は、悪性新生物の場合と上皮内新生物の場合で保険商品によって異なります。
最近では上皮内新生物の場合と悪性新生物の場合の給付金額が同額という商品も増えてきています。
また、給付金の額を入院給付金の日額に応じて設定している会社、コースに応じて給付金の額を設定している会社や、一律100万円(悪性新生物の場合)等としている会社もあります。
支払回数についても、1回のみというコースを設定して保険料を下げている会社や、再発や転移をした場合に、2年に1回を限度に請求できる会社等があります。2回目以降の場合は入院を条件にしているところもあります。
また、保険料の比較も大事ですが、商品説明の細かい文字もしっかりと読むことも大事です。
がん治療給付金について
がん治療給付金は、「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」の三大治療を行った時に給付金が受け取れる保障です。
また、乳がんや子宮がん等でホルモン剤による治療を行った場合も給付金を支給する会社もあります。
三大治療、ホルモン剤治療とも、公的医療保険制度の給付対象となる治療という条件が付きます。
支払回数については、1年1回を限度に5回まで支払う会社もあります。
上記、2つの給付金とも入院の有無は問いません。
入院給付金について
今回、参考にしましたネット保険会社で販売しているがん保険は、基本コースや主契約に入院給付金を入れていない会社が大半でした。
充実コース等手厚い保障のコースを選択した場合や別途特約で用意されている会社もありました。
厚生労働省の患者調査によると、平成23年のがんによる平均入院日数は、全年齢で19.5日、15歳~34歳で15.7日、35歳~64歳で15.1日となっています。
入院に対する保障が、がん診断給付金やがん治療給付金に比べて、年々ニーズが低くなっているようです。
最後に
今回のネット保険(がん保険)は、掛け捨ての保険を参考にしていますので、解約返戻金や配当はありません。但し、別途特約により、健康祝い金を用意している会社もあります。
ネット保険のホームページ上で行える保険料シミュレーションをすることで、健康祝い金のコストをある程度把握することができます。
ネット保険が扱う「がん保険」は、同じような保障で対面販売の保険と比較した場合に、保険料を低く抑えた商品が多くあります。
ご自身が、がん保険のベースとなる保障の内容を理解することで、賢く保険の選択・見直しを行いましょう。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年3月31日
ネット保険で気を付けたい点
保険商品の見積りや申し込みの手続きなど、保険契約の完了までを全てインターネット上で行える保険は、総称して「ネット保険」と呼ばれています。
仕事や家事で忙しい方や時間をかけて保険商品の検討をしたい方などが、自身の空き時間にパソコンやスマートフォンなどで、インターネットの画面を見ながら自由に保険商品を選べるところが便利な点の1つです。
しかしその反面、保険会社の営業職員や保険ショップ、金融機関の窓口などで相談しながら選ぶわけではないため、「適切なアドバイスなしで自身に合った保険を選べるのだろうか」と不安になる方もいることでしょう。
もし、ネット保険タイプのがん保険を選ぶ場合は、以下の点などに気を付けて契約しましょう。
自身に合った保障を選ぶ
がん保険の主な給付金には、がん入院給付金・がん手術給付金・がん診断(治療)給付金・がん通院給付金などが存在します。
また、先進医療費が保障される保険商品もありますので、自身に合った保障のがん保険を選ぶようにしましょう。
申し込みの手続き
保険選びから申し込みまでの全てを自身で行う必要があるため、不明点や相談がある場合は、コールセンターへ電話で問い合わせをしたり、オペレーターとのチャットサービスを利用したりしましょう。
また最近では、チャットボットと呼ばれる24時間自動応答サービスを利用することができる保険会社もあります。
なお、申し込みをする前には保険商品の説明だけでなく、少し面倒でも契約のしおりや約款等には目を通し、給付金や保険金が受け取れる場合と受け取れない場合や、そのほかの注意事項なども確認しておきましょう。
保障の開始時期
ネット保険にかかわらず、一般的にがん保険は申し込みが完了しても、保障の責任開始日まで90日や3カ月の待ち期間があります。したがって、待ち期間中にがんと診断されても保障の対象となりませんので気を付けましょう。
もし、既に加入しているがん保険の契約を終了させて、新たに別のがん保険に加入することを検討している場合は、新しい保険契約の責任開始日がいつから始まるのかを確認した上で、現在の契約をどうするのか検討しましょう。