貯蓄型保険は本当に「貯まる」のか
保険料算定の目安となる標準利率の引き下げに伴い、2013年4月から保険料をアップする保険会社もあり、このところ保険の見直しのご相談を多く受けます。
見直すにあたっては、ただ単に保険料を抑えるということだけではなく、保障内容を理解したうえで検討することが大切です。
たくさんの保険の中から自分に合ったものを選ぶために、まずは基本的な仕組みを理解しましょう。
代表的なタイプとして、今回は貯蓄性のある保険、いわゆる「貯蓄型保険」について解説します。
貯蓄型保険とは?
貯蓄型保険を大別すると、
- 契約満了時に満期保険金があるもの(例:養老保険、個人年金保険、学資保険等)
- 中途解約した時に戻り金があるもの(例:終身保険、逓増定期保険等)
の2つのタイプがあり、「保障」と「貯蓄」を兼ねている、というのが特長です。
逆にお金が戻らないタイプは、掛け捨て型保険と呼ばれています。
バブルの時代には、予定利率(保険の運用利回り)が5%~6%の保険商品もありました。
契約の内容にもよりますが、払い込んだ保険料が倍以上になって戻るようなものもあり、いわゆる「お宝保険」と呼ばれたりもしています。
そのころの名残なのか、「保険は貯蓄型のほうがお得」という考え方も、特に年配の方に多いようです。
貯蓄型保険と預貯金の違い
今は保険の予定利率も預貯金の金利同様低くなっていますが、保障と貯蓄を兼ねるという点で依然として保険がお得と考える方もいるようです。
貯蓄目的で保険を活用する場合に気を付けるべき預貯金との違いは、以下の3点です。
- 1. 中途解約をすると、払い込んだ額よりも解約返戻金がマイナスになることもある。
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仮に生活環境が変化して、保険料の払い込みが難しい場合や大きな資金が必要となったときに、定期貯金等を除く預貯金であればいつでもおろすことができますが、保険の場合、解約したときの返戻金がいつでも払い込んだ額より多くなるとは限りません。
子育て中など、ライフプランが変動しやすい時期には注意が必要です。
- 2. (一部の商品を除き)加入時の利率がずっと続く。
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世の中の金利が低い現在は、貯蓄型保険の予定利率も低くなっています。
今、20年満期の貯蓄型保険に加入したとすると、一般的に20年後の満期まで今現在の予定利率での運用になります。
数年後に金利が上昇したとしても、高い金利の恩恵を受けることはできません。
逆に前述のバブルの時代のような高金利時代に加入すると、金利の恩恵を満期まで受けられます。
預貯金でいうと、固定金利の商品と同じ仕組みです。
預貯金の変動金利の商品は、金利の変化によって利率も変化するので、預け替えを行わなくても金利上昇時には金利の恩恵を受けられます。
- 3. 保障も兼ね備えている。
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保険商品なので当然、預貯金と異なり、もしものときに備えた保障があります。
保険料にはその保障部分も加味されており、保障が不要だったとしても、その保障部分だけをはずすことはできません。
そのため保障の貯蓄が主な目的であれば、死亡保障等は保険料が割安な掛け捨て保険を活用し、貯蓄型保険はなるべく特約等の保障が少ない保険商品で貯蓄性を最大限に活かしましょう。
貯蓄型保険を検討する際には、預貯金とは異なるという点をよく理解したうえで加入するかどうかを決めましょう。
貯蓄型保険は本当に「貯まる」?
貯蓄型保険と預貯金の違いを見てみましたが、これらを踏まえて貯蓄型保険は本当に「貯まる」のでしょうか。
貯蓄型保険は、「銀行預金だと簡単におろせるので貯まらない」という方が強制的に貯める仕組みとして活用するのには良い商品かもしれません。
また、学資保険や個人年金等は、準備しておきたい時期が決まっていますので、必要な時期に向かって計画的に積み立てる仕組みは利用価値があるでしょう。
運用などでリスクを取りたくないという方にもおすすめです。
満期まで積み立てを継続すれば、基本的に確実に「貯まる」商品です。
ただ、前述のように途中で解約すると、払い込んだ金額より受け取れる金額のほうが少なくなる可能性もありますので要注意です。
貯蓄型保険の特性を理解し、ご自身のライフプランにとって必要なツールのひとつとして活用しましょう。
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コラム執筆者プロフィール
波柴 純子 (ハシバ ジュンコ) マイアドバイザー.jp®登録 - 子どもが3歳の時にシングルマザーになり、お金の不安からファイナンシャルプランナーの勉強を開始。
その後、金融企業のFP専門の部署でアドバイザーの職に就き、個別相談に従事。
子育て世代がお金に振り回されず自らコントロールしていくためのポイントを、一人一人の価値観や状況を大切にしながらアドバイスしています。
保有資格:AFP。
ファイナンシャルプランナー 波柴 純子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2019年10月16日
貯蓄型保険の保険料を一括払いすることもできる
保険料の支払方法には、月払、半年払、年払等、複数存在し、貯蓄型保険の保険料を一括で支払うことも可能です。
文字通り、保険料をまとめて支払うことですが、契約期間の保険料全額を生命保険会社に預け、払込期日(応当日)が来ると保険料にあてられる「全期前納」や、契約期間の保険料全額を1回で支払う「一時払」があります。
保険料の主な支払方法
※スクロールで表がスライドします。
全期前納の場合、支払った保険料が毎年保険料に充当されるため、生命保険料控除は、支払った年だけの適用ではなく、1年分の保険料を毎年控除することができます。
一時払の場合は、支払った年に限り生命保険料控除を受けられます。
また、全期前納の場合、被保険者が死亡しても期間が到来していない保障期間分の保険料は返還されます。
例えば、死亡保険に加入後1年目で死亡すると、死亡保険金と残りの充当されていない保険料を受け取ることになります。
しかし、一時払の場合は、支払った保険料は返還されません。
支払方法は多種多様なため、そのときの自分の状況にあった支払方法を選択することが可能です。
保険料の一括払いが可能だということも知識の一つとして覚えておきましょう。