2020.02.28
学生と50歳未満の被保険者の保険料納付猶予制度を利用しよう!
前回は、保険料免除と猶予制度についてお伝えしましたが、ここではそのなかの「学生納付特例制度」「納付猶予制度」についてお伝えします。
免除制度や未払いとの違い
学生納付特例制度や納付猶予制度は、あくまで支払いを猶予してもらっているだけです。猶予を受けた期間についての保険料を後で支払わないと、老齢基礎年金の年金額には全く反映されません。
一方、免除制度であれば、基本的に後から保険料を支払う必要はありません。それが、猶予制度と免除制度との一番大きな違いです。
年金額に反映されないのなら、未払いと同じなのでは……と思ってしまいがちですが、猶予の場合は、猶予を受けた期間も老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間への算入ができ、未払いの場合は算入できません。
納付猶予の2つの制度
学生納付特例制度と納付猶予制度は、対象年齢や所得要件に違いがあります。
(1)20歳以上の学生が利用できる学生納付特例制度
学生納付特例制度は、2000年に創設されました。
20歳以上の学生で、本人の前年の所得額が一定以下の場合、申請が承認されると在学中の国民年金保険料の支払いが猶予されます。
(2)20歳以上50歳未満の方が利用できる納付猶予制度
学生以外の20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年の所得額が一定以下の場合、申請が承認されると国民年金保険料の支払いが猶予されます。
なお、納付猶予制度は、2005年4月から2025年6月までの時限措置です。
学生納付特例制度と納付猶予制度
※スクロールで表がスライドします。
※学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で、夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
手続きの流れ
申請書は、市区町村の年金窓口またはお近くの年金事務所で配布しているほか、日本年金機構のホームページからダウンロードするなどの方法でも取得できます。
手続きには申請書や年金手帳の他、申請内容により提出する書類が異なり、学生の場合は学生証または在学証明書などが必要になります。
提出してから審査には2~3カ月を要し、結果は、日本年金機構から「審査結果」の通知書が届きます。
原則、毎年手続きが必要ですので、忘れないようにしましょう。
なお、過去に却下となった期間についても、申請できる場合があります。過去の申請後に税の申告で所得が変わった場合や、離婚があった場合などです。
将来受給する老齢基礎年金の年金額を増やすために追納しよう
学生納付特例制度や納付猶予制度を利用した後、保険料を支払わないままだと、満額の保険料を支払った場合と比べて、将来受給できる老齢基礎年金の年金額が少なくなります。
将来の年金額を増やすために、10年以内であれば保険料をさかのぼって支払う「追納」ができます。
ただし、3年度以上さかのぼって追納する場合は、当時の保険料に一定額が加算されることに注意しましょう。
国民年金保険料の学生納付特例制度や納付猶予制度、手続きをしないとどうなる?
学生納付特例制度や納付猶予制度の手続きをしないまま保険料を支払わなかった場合、保険料の未払い(滞納)となります。
未払いの状態だと、場合によっては年金の受給資格期間を満たせず、ケガや病気により身体に障害が残ってしまったときや死亡してしまったとき、障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できなくなる可能性などがあります。
ただし、もしも猶予制度の手続きができていない期間があったとしても、保険料の納付期限から2年を経過していない期間であれば、さかのぼって手続きが可能です。
注意点として、ケガや病気が起こった後に手続きをしても、猶予を受けた期間を障害基礎年金の受給資格期間に算入できません。後からでも手続きができるとはいえ、後回しにせず、早めに済ませておきましょう。
手続きの方法など、学生納付特例制度や納付猶予制度について分からないことがあれば、市区町村の年金窓口または年金事務所に相談してみましょう。
こちらの記事も参考に
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。