2020.03.09
老齢基礎年金を受給するには?
老齢基礎年金を受給するには、保険料納付済期間などの「受給資格期間」が10年以上という受給要件があります。
2017年7月31日までは、受給資格期間は原則として25年以上必要でしたが、2017年8月1日からは10年以上に短縮されました。
今回は、老齢基礎年金を受給するために必要な受給資格期間と、受給開始の時期について、詳しくご紹介します。
老齢基礎年金の受給要件を確認しましょう
前述のとおり、老齢基礎年金を受給するには、受給資格期間が10年以上あることが必要です。
受給資格期間とは、保険料納付済期間など、次の(1)~(5)の期間を合算した期間です。
図 老齢基礎年金の受給資格期間
資料:厚生労働省「老齢基礎年金お手続きガイド」をもとに執筆者作成
(1)保険料納付済期間
保険料納付済期間とは、国民年金保険料を支払った期間です。
20歳以上60歳未満で、第1号被保険者として国民年金保険料を支払った期間のほか、厚生年金・共済組合等に加入した期間や、第3号被保険者の期間なども含まれます。
(2)保険料免除期間
国民年金保険料を支払うことが経済的に困難な場合に、申請が承認されて保険料の支払いが免除になった期間です。
保険料免除には、法定免除と申請免除があります。
法定免除は、障害基礎年金を受給している方、生活保護法による生活扶助を受けている方など、法律に定められている要件に該当する方が対象です。
申請免除は、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合などに、保険料の全額または一部の支払いが免除される制度です。
(3)学生納付特例期間
在学している場合に、申請が承認されて保険料の支払いが猶予になった期間です。
本人の前年所得が一定額以下の学生が対象で、審査の際に家族の所得は考慮されません。
(4)保険料納付猶予期間
国民年金保険料を支払うことが経済的に困難な場合に、申請が承認されて保険料の支払いが猶予になった期間です。
20歳以上50歳未満の方(学生を除く)で、本人・配偶者のそれぞれの前年所得が一定額以下の方が対象です。
(5)合算対象期間
これまでの年金制度の変遷を考慮し、受給資格期間としてみなすよう制定された期間です。
受給資格期間に合算されますが、年金額には反映されないため「カラ期間」とも呼ばれます。
例えば、海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間や、第3号被保険者制度が始まる前に任意加入しなかった期間などですが、年代によって合算対象期間とされる期間は異なります。
受給資格期間として合算されるためには
国民年金保険料を支払った期間が受給資格期間として合算されることは当然と理解していても、その他の期間については意識していなかったという方も少なくないでしょう。
(2)~(4)の期間は申請が必要で、申請しないままだと、保険料の未払いとなってしまいます。
(2)~(4)の期間と未払いとでは、保険料を支払っていない点は同じですが、受給資格期間として合算されるかどうかという点が異なります。
保険料が未払いでは、その期間は受給資格期間へ合算されず、将来、老齢基礎年金が受給できない可能性がありますので、経済的に保険料を支払うのが困難な場合は、未払いのままにせずに申請するようにしましょう。
また、保険料の支払いが免除された場合は、老齢基礎年金額への反映もあります。
ご自身の受給資格期間が気になる場合、年金加入記録は「ねんきんネット」で確認できますのでご活用ください。
なお、保険料の納付期限から2年を経過していない期間について、さかのぼって免除等を申請することができる場合もありますので、ご自身の年金加入記録を確認の上、必要に応じて手続きをすることをおすすめします。
こちらの記事も読まれています
老齢基礎年金、何歳から受給する?
受給資格期間を満たした後、実際に老齢基礎年金を受給するには、手続きが必要です。原則として65歳で受給の手続きをしますが、繰上げ受給や繰下げ受給という方法もあります。
繰上げ受給や繰下げ受給をすると、受給開始年齢に応じて、年金額の減額・増額が行われます。
何歳から受給するとどのくらいの年金額になるのかをみてみましょう。
老齢基礎年金は70歳までの繰下げで一番増額率が高くなる
1941年4月2日以降生まれの方の場合、受給開始時期を繰上げると、繰上げ1カ月ごとに、年金額が0.5%ずつ減額されます。
逆に、受給開始時期を繰下げると、繰下げ1カ月ごとに、年金額が0.7%ずつ増額されます。繰下げ限度いっぱいの70歳まで繰下げれば42%増額となり、一番増額率が高くなります。
老齢基礎年金は、受給開始時の年金額が一生涯続き、将来の生活を大きく左右する可能性があるため、繰上げ受給や繰下げ受給は慎重に判断する方が良いでしょう。
繰上げ・繰下げ受給と年金額
例えば、65歳から年額600,000円(月額50,000円)の老齢基礎年金を受け取れる方が、受給開始時期を1年6カ月繰上げる場合、また、同じ期間繰下げる場合を考えてみましょう。
63歳6カ月に繰上げて受給開始した場合は、次のように年金額が下がります。
【63歳6か月に繰上げ】減額率9.0% 年金額546,000円(月額45,500円)
表1 繰上げ減額率早見表
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
また、67歳6カ月へ繰下げる場合は、次のように年金額が上がります。
【67歳6カ月に繰下げ】増額率21.0% 年金受給額726,000円(月額60,500円)
表2 繰下げ減額率早見表
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
老齢基礎年金は、受給資格期間を満たしているか、また何歳から受給開始するかが大きなポイントです。
まずはねんきんネット等でご自身の状況を確認し、受給の準備を整えた上で、何歳から受給するかを検討してみてください。
こちらの記事も読まれています
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。