医療保険に入りたくても入れない! 女性編
医療保険の加入を検討されている女性から、“女性疾病には手厚く備えた方がいいよ”と第三者からアドバイスされたという話をよく耳にします。
実際、女性が入院する事由として、20代~30代は、自然分娩、帝王切開、流産等、妊娠・出産関連が多く、40代~50代にかけては、子宮筋腫や乳がん、卵巣がん等が急激に増加します(資料:厚生労働省 平成23年「患者調査」より)。
また、年齢にかかわらず子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん等、子宮や卵巣にかかわる病気が女性の入院事由の大部分を占めています。
前回、“医療保険に入りたくても入れない! 男性編”についてお話ししましたが、女性からも、“医療保険に入れない”というご相談をよく伺います。
女性に多い“保険に入れない”ケース
“女性疾病を手厚く”というアドバイスに裏付けされるように、加入できなくなるケースが妊娠・出産にまつわる事由により多くなっています。
- 妊娠・出産を経験して身体の異常、持病が見つかった
今まで健康に暮らしてきて全く気付いていなかった病気が、妊娠・出産を経験することで見つかるケースです。
“妊娠をして定期検査をするなかで、子宮筋腫が見つかった”
“妊娠中毒症になり、原因を調べたところ、血液の病気を持病として持っていることが分かった”等。
妊娠中や出産後にそれらの病気の治療をすると、告知要件に該当するため、一定期間は無条件で医療保険に入れない可能性が高くなります。 - 早産、流産、帝王切開を経験した
異常分娩という扱いになり、以後医療保険に加入できたとしても、次回の妊娠・出産にかかわる入院や手術、子宮に関連する病気等に関して、一定期間は保障の対象外になる等の条件が付く可能性が高くなります。 - 不妊治療をしている
“赤ちゃんが欲しいけど、なかなか授からない。ちょっと病院で相談してみようかな?”と気軽に始めた不妊治療が理由で、医療保険に条件無しで加入することができなくなる可能性があります。不妊治療の場合、検査して全く身体に異常が無くても、妊娠しやすくするために、ホルモン剤を投与するケースがあります。それも“治療経験”として告知要件に該当しますので、医療保険への加入を望む場合は、“不妊治療”で病院にかかる前に手続きされることをおすすめします。 - 睡眠薬、精神安定剤等を服用している
“よく眠れない、不安感がある”等の理由で薬を服用している場合、医療保険に加入できない可能性が高くなります。“育児疲れ等で眠りが浅いため、軽い気持ちで病院に行って睡眠薬を処方してもらった”というのも、告知の対象となります。女性に多いうつ病や、40代~50代に多い更年期障害等で治療している場合も、加入が難しくなります(資料:厚生労働省 うつ対策推進方策マニュアル2-(2)発症の要因:危険因子より)。
最近は、不妊治療中や妊娠中の女性をはじめ、うつ病と診断された方でも加入できる医療保険も登場しています。
ただ、前者の場合、加入できても帝王切開等の一定の疾病については保障対象外となったり、また、うつ病と診断された人が加入できたとしても、うつ病が原因となる疾病は不担保になったり、通常の保険に比べ保険料が割高になったりする等のマイナス面もあります。
また、女性は男性よりも寿命が長い分、一生涯で入院する確率も男性より高くなります。
加齢と共に入院の受療率は増える傾向があり、90歳以上の入院が最も多くなっています(資料:厚生労働省 平成23年「患者調査」より)。
医療保険は、病気やケガ等による経済的負担を軽減するための有効な手段の1つです。
これからの人生のなかで、医療保険をどのように活用していきたいかをしっかりと考えて、ご自身に適したものを選ぶようにしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
女性向けの保険をさらに詳しく知りたい方は
掲載日:2019年8月27日
不妊治療に対応する保険加入の必要性
女性にかかわるライフイベントの中でも、特に大きな出費になることが多い不妊治療について説明をします。
国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」によると、不妊治療・検査を受ける割合は年々増加しており、2015年の時点で全体の18.2%の夫婦が実際に経験したことがある(または現在受けている)と回答しています。
これは言い換えると5.5組に1組の夫婦が不妊治療を経験しており、不妊治療が身近な医療となっているといえそうです。
また、近年の動向を見ても晩婚化や晩産化の影響から、今後もこの数値は増加するかもしれません。
不妊治療は複数種類がありますが、気軽に出せる金額ではないものもあります。(下表参照)
不妊治療の1回あたりにかかる平均費用
治療名 | 1回あたりにかかる平均費用 |
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人工授精 | 1万~3万円程度 |
体外受精・胚移植 | 30万~40万円程度 |
凍結胚・融解移植 | |
顕微授精 |
資料:内閣府「選択する未来 -人口推計から見えてくる未来像-」をもとに作成
高額になりがちな不妊治療ですが、経済的に支えてくれる保険は頼りになります。
「加入から2年は保険が適用されない」など、加入してすぐの保障は難しいこともあるので注意が必要です。
子どもは授かりものなので、こうした保険にいつ加入するかは悩ましいところですが、年齢が上がるほど妊娠率が下がるため、結婚など将来を見つめなおすタイミングで検討してみるのはいかがでしょうか。