女性が「医療保険」を検討するならば、妊娠を望む前に!
主婦向けの保険に関するセミナー等で、30~40代の女性に、「今までに入院した経験はありますか?」と質問すると、「出産のときだけですね~」という回答が多いように思います。
中には、切迫流産等の妊娠トラブルで、妊娠中期から長期入院したという方もいらっしゃいます。
また、順調に予定日までたどり着いたけれど、出産時のトラブルで急遽、帝王切開になって入院が長引いたというケースも少なくありません。
実際、帝王切開で出産するケースは年々増えており、厚生労働省が平成25年に行った調査によると、平成23年時点で24.1%と、約4人に1人が帝王切開で出産をしています。
医療機関における分娩件数と帝王切開手術割合の年次推移
出典:厚生労働省 平成25年 我が国の保健統計
さて、今回のテーマの「医療保険」についてですが、医療保険というと大きく分けて、「健康保険等の公的な保険」と「民間の保険」の2種類がありますが、ここでは、「民間の医療保険」(以下、医療保険と記載)についてお話しします。
どんな場合に「医療保険」から給付金を受け取れるの?
医療保険とは、病気やケガで治療が必要になり、入院や手術をした場合に、契約内容に応じた「入院給付金」や「手術給付金」を受け取ることができるもので、健康状態等を告知し、審査を受けてから加入します。
「先進医療特約」等の特約を付加し、給付要件に該当した場合は、特約給付金を受け取ることもできます。
交通事故等のケガ、胃腸疾患や肺炎等の女性疾病とは関係のない病気で入院した場合も、もちろん給付の対象となります。
ただ、実際に多くの女性が初めて入院するのが「出産時」であることから、出産前に医療保険に加入していれば、若い女性が医療保険のお世話になるのは、妊娠・出産にかかわるケースが多くなるでしょう。
出産は病気ではありませんので、妊娠中にトラブルがなく、出産も正常分娩の場合、入院しても医療保険から給付金を受け取ることはできません。
ただ、切迫流産等で妊娠初期や中期に入院したり、分娩時にトラブルが発生して緊急手術を受けたり、帝王切開で出産した場合等は、入院・手術給付金の対象となります。
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医療保険の加入を検討するならば、妊娠を望む前に!
急遽、帝王切開になった場合等は、予定していた以上に医療費がかかることがあります。前もって医療保険に加入していれば、このような場合に給付金を受け取ることができるので安心です。
一般的に、妊娠が分かってからは、妊娠前と同じ条件で医療保険に加入するのが難しくなります。
また、下記のようなケースも、以後に保険に加入するのが難しくなってしまうことがあります。
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・「早産・流産・帝王切開」等で、入院したり手術を受けたりした。
異常分娩という扱いになるので、以後医療保険に加入できたとしても、次回の妊娠・出産にかかわる入院や手術、子宮に関連する病気等に関して、一定期間保障の対象外になる等の条件が付く場合があります。 - ・妊娠後の定期健診で子宮筋腫が見つかった。
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・妊娠中に体調が悪くなり原因を調べたところ、持病があることが分かった。
妊娠中や出産後に病気が見つかって治療をすると、告知要件に該当するので、一定期間は医療保険の加入に制限がかかってくる可能性が高くなります。 -
・不妊治療をしている。
不妊治療を始める場合も注意が必要です。「赤ちゃんが欲しいけれどなかなか授からないので、ちょっと病院で相談してみようかな?」と気軽に始めた不妊治療が理由で、医療保険に加入するのが難しくなることがあります。それは、不妊治療の場合、検査をして身体に異常が無くても、妊娠しやすくするためにホルモン剤を投与するケース等があり、それも「治療経験」として加入時に告知する必要があるからです。
しかし、最近では、不妊治療中や妊娠中の女性でも加入できる医療保険も出てきました。ただ、加入できたとしても帝王切開等の一定の疾病については保障対象外となる等、条件がつくケースがほとんどです。
また、持病があっても加入が可能な「引受基準緩和型の医療保険」もありますが、告知条件が緩い分、他の保険に比べ保険料が一般的に高くなります。
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保険に加入できない場合は、貯蓄で準備する方法もあります。
「妊娠・出産はお金がかかる」というイメージが強いかもしれませんが、最近は、自治体が実施する「妊婦健診無料券」や、健康保険からの「出産育児一時金」の給付等、公的な助成制度も充実しつつあります。
また、妊娠トラブルや異常分娩等の場合は公的な医療保険の対象となり、医療費が多額になった場合は高額療養費の対象にもなります。
医療保険は、いざというときには助かりますが、加入していなかったとしても、医療費用を支払うだけの貯蓄が準備できていれば問題はありません。
ただ、健康診断や妊婦健診等で指摘を受けたり、病気を経験したりして「医療保険に加入したいのに入れない」という状況になると、「なんとかして医療保険に入りたい!」と不安になる方がいらっしゃるのも事実です。
女性の場合は妊娠・出産にかかわる疾病等の治療で、医療保険からの給付を受けられるケースがあります。「そのうち医療保険に入ろう!」と思っているならば、妊娠を望む前に加入を検討するようにしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2020年5月29日
出産で必要となる費用はいくら?公的医療保険制度で補える?
出産時に必要な費用は、いくらなのでしょうか。
出産費用の平均はおよそ40万~50万円といわれていますが、この出産費用を補う公的医療保険制度として「出産育児一時金制度」があります。
出産育児一時金制度では、基本的には42万円、在胎週数が22週に達していないなど産科医療補償制度の加算対象外となる出産の場合は404,000円が支給されます。
支給される一時金は、出産後に自身で請求する方法や、医療機関が妊婦さんに代わって請求する方法があります。
医療機関が請求する方法であれば、一時金は医療機関での正常分娩の費用や、帝王切開の自己負担費用などにあてられ、その支給額では補いきれなかった分だけを窓口で支払うことになります。
また、「出産予定日まで1カ月以内」などの条件を満たす方で、一時的に資金を必要とする方は、出産育児一時金を担保に無利子で貸付を行う「出産費貸付制度」が利用できる場合もあります。
このように、出産の費用負担を軽減する公的医療保険制度はいくつかありますが、それらを知った上で民間の医療保険の加入も検討しておくことで、よりゆとりを持って妊娠・出産を迎えられるでしょう。