おすすめの医療保険
医療保険は保険種類のなかでも関心の高い種類となっており、(公財)生命保険文化センターの調査によると、平成22年以降に生命保険に加入した世帯が直近に加入した保険種類は医療保険が終身保険に次いで多くなっています。
とはいえ、これまで健康で入院経験もない方ですと、思いがけない病気やケガによる経済的な影響をイメージしにくいかもしれません。
そこで今回は、医療保険の基本的な保障内容をみていき、おすすめの医療保険をご紹介します。
主契約の保障内容
(1)医療保険の仕組み
多くの医療保険は「主契約」という基本になる保障と、オプションとして付加できる「特約」の組み合わせから成り立っています。現在販売されている医療保険の主契約は、入院すると受け取れる入院給付金の保障と、所定の手術に対する手術給付金の保障からなるものが多いです。
例えば、入院給付金日額10,000円の医療保険に加入すると、「10,000円×入院日数」で給付金額が計算できます。所定の手術を受けた場合や、特約による給付の条件に該当しているときは、さらに給付金が加算されていく仕組みです。
手術給付金は、手術の種類により入院給付日額の5倍、10倍、20倍、40倍の給付金が受け取れる商品や、一律に入院給付金日額の10倍などになっている商品もあります。入院中の手術と外来の手術とで給付額が異なることがありますので確認しましょう。
(2)入院給付金日額はいくらにする?
保険適用の治療に関しては、医療費の自己負担を軽減するための高額療養費制度があります。また、会社員の方はケガや病気で会社を休み、収入が減ってしまった場合、健康保険から傷病手当金が受け取れることがあります。自営業の方などが加入されている自治体の国民健康保険では、傷病手当金は支給されないので注意してくださいね。
このような制度を考慮した上で、入院給付金日額の設定金額をご家庭やお仕事の状況から考えます。
(公財)生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」によると、入院したときの1日あたりの自己負担費用は下の円グラフのようにかなり個人差があるようですが、平均19,835円となっています。治療費の他に食事代や保険適用外の差額ベッド代、交通費や日用品などの費用がかかってくることを踏まえて給付金日額を設定しましょう。
直近の入院時の1日当たりの自己負担費用
※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。
※高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。
資料:(公財)生命保険文化センター「平成28年度生活保障に関する調査」より執筆者作成
(3)入院の短期化に注意
厚生労働省の「平成26年患者調査」によると、入院日数は年々短期化しており、平成26年の平均入院日数は31.9日となっています。
医療保険で入院何日目から入院給付金が受け取れるかは商品ごとに異なりますが、日帰り入院、もしくは1泊2日など短期の入院から保障される商品が多くなっています。
入院初期の費用がかさむ時期を重点的に保障する商品として、入院一時金があるものや、入院初期に日額を上乗せするもの、1日の入院でも5日分や10日分の入院給付金を一律に給付するものなどもあります。
また、1入院あたりの入院給付金の「支払限度日数」も商品によって60日、120日などがあります。長期入院が心配な方は、支払限度日数が長い商品を選択できますが、その分保険料が高くなっていると考えられますので注意しましょう。
必要な特約はどれ?
医療保険の特約にはさまざまな種類があり、どの保障も必要に思えてくるかもしれません。まず、どのような特約があるのかみていきましょう。
(1)がんと三大疾病・七大疾病特約
がんの保障は主に、がんと診断されたときに受け取れる診断一時金、入院給付金日額の上乗せ、入院給付金の支払日数が無制限になること、などがあります。一時金の保障があると、通院での治療や保険適用外の治療にも対応しやすくなります。「上皮内がん(上皮内新生物)」が保障の対象になるかなどは特約ごとに異なることもあるため確認が必要です。
がんと急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病、それに高血圧性疾患、糖尿病、腎疾患、肝疾患を加えた七大疾病まで保障する特約もあります。がん特約と同じように保障を手厚くするものですが、細かい保障内容、給付要件は特約ごとに異なることがありますので、一番心配なものを中心に確認してください。
(2)女性疾病特約
乳がんや子宮筋腫、異常分娩などの女性特有の疾病やがんで入院した場合に女性疾病入院給付金が受け取れるなど、基本の保障に上乗せされる特約です。
がんについては保障の対象をすべてのがんとする商品と、女性特有のがんに限定する商品があります。また、この特約も上皮内がん(上皮内新生物)が保障の対象になるかは商品によって異なるので確認が必要です。
(3)先進医療特約
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養などで、保険給付の対象とすべきか評価を行っている段階の療養のことです。平成30年9月1日現在で93種類あります。先進医療にかかる費用については全額自己負担になります。先進医療のなかには技術料(費用)が300万円前後と高額になるものもあり、先進医療特約は自己負担した技術料と同額を受け取れる(多くの場合、通算限度額あり)仕組みになっています。
(4)通院特約
通院に関しては、入院を伴う通院が給付要件になっています。入院を基準にした前後の保障なのか、退院後のみの保障なのか確認しましょう。
保険料の払込免除について
所定の高度障害状態や身体障害状態になったときは以後の保険料の払い込みが免除されます。さらに三大疾病や七大疾病で所定の状態になったときにも保険料が免除される特約もあります。この特約は、疾病ごと、商品ごとに免除となる要件が異なるので注意しましょう。
上記に紹介した他にもさまざまな特約があります。
その他の特約
特約の名称 | 保障内容 |
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就業不能特約 | 所定の疾病により働けない状態になったとき一時金や年金が受け取れる |
介護特約 | 所定の介護状態になると年金や一時金が受け取れる |
死亡保障特約 | 死亡や高度障害状態時に保険金が受け取れる |
精神的な疾患の入院延長特約 | 所定の精神的な疾患で入院したとき入院給付金支払限度日数が延長される |
在宅医療特約 | 通院が困難な場合の在宅医療に関する保障 |
資料:執筆者作成
ここでご紹介した特約がすべての保険商品に付加できるわけではありません。また、特約の名称・保障内容・給付条件は商品によって異なります。
おすすめの医療保険とは
医療保険の保障内容は多種多様になっています。
しかし、病気やケガで必要になる費用のすべてを保険で用意しなければならないわけではありません。家族構成や職業、近親者の病歴などから心配に思うことや、預貯金からはいくら医療費を使えるかを考え、万一の場合に経済的な負担が大きく預貯金ではカバーできない費用に絞って加入することが重要です。
なお、加入したい商品があっても健康状態によっては加入できないことや、条件が付いてしまうこともありますので、健康なときに医療保険を考えることも大切です。
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コラム執筆者プロフィール
佐藤 友美 (サトウ トモミ) - 北海道在住。外資系保険会社に勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在、悩んでいるママや女性の身近なアドバイザーとして介護セミナー・ものとおかねの片付け教室・起業と確定申告などの各種講座や個別相談を中心に活動しながら、幼稚園・小中学校の家庭教育学級のインストラクターも行う2児のママ。
佐藤FPオフィス代表
ファイナンシャルプランナー 佐藤 友美
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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