親が亡くなった後の医療保険請求について
病院で親が亡くなった後に、医療保険に加入していたことが発覚。今回は、その場合の医療保険の取り扱いについてみていきます。
給付金の請求
親が亡くなった後に書類を整理していたら、医療保険の証書が出てきた、なんてことがあった時、その保険の給付金は請求できるのでしょうか?
病院で亡くなった場合は、それまで病院に入院していたわけですから、亡くなるまでの入院日数分の入院給付金を請求できます。
手術を行っていた場合も同様に、手術給付金を請求できます。
医療保険の入院給付金や手術給付金の請求は、本来本人がするものですが、本人が死亡した場合は、法定相続人が請求できます。
また、自宅で亡くなった場合も同様で、それまで病院に入院していたことがある場合等で未請求の医療保険でしたら、給付金を請求しましょう。
ただ、保険請求には期限があります。
保険法では「3年」と定められていますが、保険契約の約款に記載されているので確認するとよいでしょう。
保険料支払いの記録があるのに保険証書は見当たらないという場合は、保険会社に相談してみましょう。
給付金はだれのもの?
親亡き後、本来親に支払われるはずの医療保険の入院給付金や、手術給付金はだれのものになるのでしょう。
死亡後に法定相続人が請求して受け取った入院給付金等は、相続財産になります。
遺言がない場合は、法定相続人全員で他の不動産や金融資産も合わせた相続財産の分割協議をして、遺産の分配をします。
税金の扱い
また、受け取った入院給付金等は相続財産に含まれることから、相続税の対象となります。
生きているうちに給付される場合は非課税扱いとなりますが、本来親が自分のいざというときのために加入していた医療保険でも、自分のため使うことができず、残された人に課税財産として残るということは想定されます。
親子で保険の加入状況を共有しましょう
高齢になってくると、何かと医療機関にかかりますが、せっかく加入している医療保険も活用できなければ、保険料が無駄となります。
年老いた親が入院した時に、実際に動けるのは子どもです。
親が元気なうちに加入している保険の証書を一緒に整理しておくことや、加入保険の保障内容を親子で情報共有することをおすすめします。
ただ、親子関係が悪い状況では、お金や保険に関することはナーバスになりがちです。
子どもが複数いる場合は、関係が良好な人が中心となり、エンディングノートを活用してもよいでしょう。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2019年9月27日
入院給付金に相続税がかかる場合・かからない場合
入院給付金に相続税がかかる場合とかからないケースをまとめました。
自身が受け取る入院給付金に相続税がかかるのかどうかを確認してみてください。
表1 相続税の課税対象
相続税がかからない | 相続税などの税金がかかる |
---|---|
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上表のように、傷病を原因として、入院給付金を被保険者本人、またはその配偶者・直系血族などが受け取った場合は課税の対象になりません。
一方で、相続税やその他の税金がかかるケースは、入院給付金を死亡保険金と合わせて受け取った場合です。
なぜなら、満期保険金等や死亡保険金を受け取った場合には、契約者と被保険者および受取人の関係によって所得税・相続税・贈与税のいずれかの対象となるからです。
どの税金がかかるかは下表のように契約者・被保険者・受取人の関係性で決まります。
表2 死亡保険金と合わせて受け取った場合の税金の種類
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 夫 | 妻 or 子 | 相続税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
資料:国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」をもとに作成
死亡保険金と合わせて、入院給付金を受け取る場合は所得税・相続税・贈与税のいずれかの課税対象となります。
自身の現状と照らし合わせ、入院給付金に相続税などがかかるのか否かを判断しましょう。
入院給付金はいつ受け取れるの?
入院や手術等で支払事由が発生した場合は、給付金を受け取るために、まずは契約している保険会社へできるだけ早く連絡するようにしましょう。
その際には、可能な限り正確に病名や入院日、手術名等を伝えることが大切です。
なお、契約内容によっては支払事由対象外となる場合もあり、請求に必要な書類(以下、請求書類等)があるかどうかや、その後の給付金の支払期限に関しては、それぞれの保険会社によって異なるため、分からないことはその都度、保険会社へ問い合わせを行いましょう。
その後、連絡を受けた保険会社から請求書類等の案内などが届いたら、請求書類等を準備し、項目に不備や不足などがないかを確認した上で保険会社へ提出しましょう。
そして、提出した請求書類等が不備や不足などもなく保険会社へ送付できていれば、保険会社の指定している支払期限内に、給付金を受け取ることが可能です。
ただし、提出した請求書類等に不備や不足などがあった際には支払期限が延長されてしまう場合もあります。
一般的に給付金等の支払いは、保険会社に完全な状態の請求書類等が届いた翌日から5営業日以内となりますので、入院等にかかる負担を早い段階で軽減するためにも、請求書類等の記入間違いや不足などがないようにしましょう。