個人年金保険の基本年金年額
老後に備えて民間の個人年金保険への加入を検討している方も多いと思います。
他の人は、将来どれくらい個人年金をもらえるような契約にしているのだろうか?と、気になることもありますよね。
個人年金年額の平均
生命保険文化センターの調べ(平成24年度「生命保険に関する全国実態調査」)によると、世帯(夫婦)の「個人年金保険の基本年金年額」(年金受取開始時の1年間に受け取れる年金の年額)は117.2万円が全体平均となっています。
ちなみに、世帯主(約9割が男性)の平均額が109.7万円であるのに対して、その配偶者の平均額は、68.4万円という結果になっています。
年齢別にみてみると…
まず、世帯(夫婦)の個人年金保険の基本年金年額をライフステージ別にみてみると、40歳未満(夫婦のみ)が最も低くなっています。
子どもがいる世帯では、子どもの教育費のかかる時期は低くなっていますが、子どもが高校生以降、つまり教育費の準備が終了した後は、自分たちの老後について考える余裕が生まれるからでしょうか、年金年額が増える傾向にあります。
そして、60歳以上の高齢夫婦(無職)の世帯が最も高くなります。
次に、世帯主の年齢別でみるとどのような傾向があるのでしょうか?
35~39歳の年齢層が最も低く65.0万円、その後は徐々に増加する傾向にあり、45~49歳の年齢層で大幅に増え142.9万円になります。
男性の初婚年齢は約30歳(厚生労働省「平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)であることから、結婚してすぐに子どもが生まれたと仮定した場合、子どもの高校入学時には46歳、高校卒業時には49歳となりますから、先ほどの世帯をライフステージ別にみたときの考察と一致するように思います。
一方、配偶者の場合はどうでしょうか?
最も低いのは、29歳以下の年齢層で、その後徐々に増加し、40~44歳の年齢層を第1のピークとした後、やや減少後、また増加するなど動きはありますが、年金年額が年齢層によってあまり大幅な変化はないというのが特徴のようです。
年収による違いは?
世帯(夫婦)の個人年金保険の基本年金年額を世帯収入別にみてみると、500~600万円の年収層が最も高く175.6万円、次に1,000万円以上の年収層が142.0万円と続きます。
そして、その次に200~300万円の年収層、次いで200万円未満の年収層と続いています。
年齢別にみたときには、家計に余裕のある世帯が高い傾向にあると考えられましたが、世帯年収との関係をみてみると、一概にはそうともいえず、世帯年収が低くても将来に備えておきたいと考える人もいることがわかります。
自分の場合はどうか?
他に優先順位の高い支出があるのにも関わらず老後準備に重きをおいたことで、現在の家計が苦しいということになっては本末転倒です。
個人年金保険の基本年金年額の平均値は、あくまでも目安としてとらえることをすすめます。
自分自身が考える老後生活にはどのようなことを望んで、それにはどれくらいお金がかかるのかを踏まえ、公的年金や預貯金を考慮した上で、どれくらいの不足が生じそうかを考えてみましょう。
将来において、個人年金をたくさん受け取ることができるのに越したことはありません。
しかし、現在における負担が重くなりすぎてはいけませんから、必要な年金額および準備し始める時期を無理のない範囲で見極めたいものですね。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2019年9月24日
自分の基本年金額を知る方法とは
個人年金保険については分かったけど、まだ個人年金保険に加入すべきか分からない方や、どのような個人年金保険が自分に合っているのかが分からないという方もいらっしゃると思います。
そのような悩みをお持ちの方は、今の状態のまま年齢を重ねた場合に将来受給できる年金額を把握し、そこから逆算してみると良いかもしれません。
公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)を将来いくら受給する見込みがあるかは、日本年金機構の「ねんきんネット」や毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」、「ねんきんダイヤル」などで確認できます。
「ねんきんネット」とは、24時間いつでもどこでも、パソコンやスマートフォンから年金の情報を手軽に確認できるサービスで、年金見込額の簡易試算ができます。
なお、ねんきん定期便では、50歳未満の方はこれまでの加入実績に応じた年金額、50歳以上は年金見込額が記載されています。
公的年金の受給見込を確認したのち、十分だと思えば個人年金保険は必要ないかもしれません。
将来の受給見込とライフプランを重ねて考え、足りないと考えた方は受給見込から自分に適切な個人年金保険を選択するようにしてみてはいかがでしょうか。