民間の介護保険の種類
はじめに
今回は、保険会社が提供している民間の介護保険についてみていきます。
公的介護保険は、要介護状態により介護サービスを受けられる「現物給付」になります。また、介護サービスを受けた場合には、一定の費用負担が発生します。
民間の介護保険は、要介護状態になった場合に「一時金」や「年金」等現金で支払われる「現金給付」となります。この点が公的な介護保険と民間の介護保険の違いになります。
以下、どのような種類の民間介護保険があるのか、みていきましょう。
契約年齢による違い
公的な介護保険の保険料を負担する年齢は、40歳からになります。それに合わせるように、民間の介護保険も契約年齢を「40~70歳」「40~80歳」「50~80歳」等と設定しているものがあります。なかには、終身保険の死亡保障、高度障害保障に介護保障も付いたタイプとして、契約年齢が「15~55歳」という保険もあります。
※保険金額の設定によっては、上記の契約年齢と異なる場合があります。
既に終身保険に加入していて、新たに介護保険への加入を考えるのであれば、40歳を超えた段階で、加入するかどうかを検討することも1つの選択肢ですし、これから終身保険等への加入を検討されるのであれば、要介護時の保障も併せてカバーする保険から選ぶのも一案です。
要介護度による違い
公的介護保険が定めている要介護状態(表1参照)のどのレベルから、民間の介護保険の「介護年金」や「介護一時金」等が支払われるかは、保険商品によってそれぞれ異なります。
表1 要介護度別の身体状態の目安
資料:公益財団法人生命保険文化センター「介護保障ガイド」(2014年8月)をもとに執筆者作成
「要介護2以上」を対象にした保険から、「要介護3以上」、「要介護4以上」、「要介護5」に対応したもの等、保険会社により保障する範囲が異なっています。
一時払いの商品では、介護一時金が支払われる要件が、「要介護3以上」「要介護4以上」「要介護5に限定」の3つのタイプが用意されている商品もありました。同額の一時払保険料の場合で比較しますと、発生率が最も少ない要介護5に限定したタイプが、受け取る保険金額が最も大きくなります。
また、公的な要介護度には連動せず、「痴ほう(認知症)」や「寝たきり」によって、保険会社が決めた所定の要介護状態になった場合に、介護年金や介護一時金が支払われるタイプの保険もあります。
しかし、契約者にとって保険金を請求できるかどうかの判断がしやすいのはどちらかと考えますと、公的介護保険の要介護度に連動したタイプになるでしょう。
保険期間による違い
保険期間については、多くの介護保険が終身保障になっていますが、一時払いで10年定期の保険もあります。この保険では、保険期間の10年間、死亡給付金または介護一時金の支払いがなかった場合、「無事故給付金」が支給されます。給付金額は、一時払保険料と同額になります。
他の介護保険と併用して、一定の期間の保障を手厚くする場合に活用することもできます。
保険金の受取方法による違い
保険金の受け取り方は、「一時金受取」、「年金受取」に大別されます。また、「一時金+年金受取」というタイプもあります。
年金受取の場合、期間のある「有期タイプ(10年間等)」と一生涯支払われる「終身タイプ」があります。
受取方法を選択する場合、「在宅介護を希望する」、「施設介護を希望する」等、どこで介護を受けたいかを考えて選ぶのも一案です。
それは、在宅介護を選択した場合は、階段への昇降機の設置や風呂場に手すりを付ける等、バリアフリーにするために多額の費用が必要になる場合が考えられます。その費用を保険金でカバーしようと考えるのであれば、一時金で受け取る保険がよいと考えられるからです。
一方、施設介護を選択した場合は、「食費」や「居住費」、「日常生活費」等の原則自己負担になる費用を賄うために、年金受取の方が適しているでしょう。
まとめ
以上、「契約年齢」、「要介護度」、「保険期間」、「保険金の受取方法」の4つのポイントから、民間の介護保険の種類についてみてきました。
民間の介護保険への加入の検討や商品選択をするにあたっては、自分や家族にとって、公的介護保険の要介護度のどのレベルから保険金を受け取るのがいいのかを、預貯金の状況等を加味しながら考えてみてはいかがでしょうか。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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