告知義務と告知義務違反
掲載日:2015年11月10日
はじめに
ほとんどの生命保険では、契約する際に、医師の診断や過去の傷病歴、現在の健康状態、職業等について、事実をありのままに告げる「告知」が必要になります。
以下、告知義務と告知義務違反の内容についてみていきます。
告知義務について
告知義務とは、保険の対象になる人が保険会社に対して、過去の傷病歴や現在の健康状態、職業等について、事実をありのままに告げなければならない義務のことです。
保険会社では、大数の法則を用いて各年代における死亡率や、罹患率(病気になる率)を計算し、それをベースに保険料を算出しています。
告知義務には、死亡するリスクの高い人、病気などで入院するリスクの高い人、職業上ケガをするリスクの高い人等が、そうでない人と同じ条件で保険に加入することを防ぐ目的があります。
上記のようなリスクの高い人が無条件に加入してしまいますと、保険料負担の公平性が保たれなくなります。また、保険金の支払いが増え、それにより保険会社が集めた保険料と支払う保険金のバランスが崩れてしまい、その保険契約を継続できなくなる危険性も発生します。
そのようなことを防ぐために告知義務があります。
保険商品には、別途、持病や既往症のある人向けに告知する項目を絞り、保険加入へのハードルを下げた「引受基準緩和型」や、告知義務のない「無選択型」等の商品があります。ただし、このような商品では、保険料は告知義務が必要な生命保険に比べ、一般的に高くなります。
また、死亡保険の引受基準緩和型では、契約から一定期間(1年程度)は、死亡保険金の支払金額を通常の50%に削減したり、告知義務のない無選択型の商品では、契約から一定期間(2年程度)については、死亡保険金の金額を既払込保険料相当額に設定したりしています。
引受基準緩和型や無選択型保険は、保険金の支払条件等について、商品選択時に特にしっかり確認しておきましょう。
一方、健康状態、喫煙歴等の状況、その他所定の基準を満たす場合、保険料を割り引く保険商品や特約を用意している保険会社もあります。
告知義務違反について
告知義務違反とは、契約者または被保険者が故意または重大な過失により事実の告知を怠ることや、事実と異なる告知を行うことをいいます。
この場合、保険会社は約款で定めた期間内で保険契約を解除することができます。
また、保険金や給付金の支払事由に該当して死亡した場合や、病気・ケガをした場合でも、告知義務違反があったことが分かれば、保険会社は保険契約を解除することができ、保険金・給付金が受け取れないことがあります。
また、既に保険金や給付金を受け取った場合でも、告知義務違反があったことが判明した場合、保険金の返還請求をされることもあります。
まとめ
以上、告知義務と告知義務違反についてみてきました。
告知義務に対してストレスを感じる方もおられると思いますが、生命保険契約で確実に保険金を受け取るための第一歩と考え、正確な告知を行いましょう。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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