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再婚で遺族年金はなくなる?内縁・事実婚の場合は?

2021.06.11

再婚で遺族年金はなくなる?内縁・事実婚の場合は?

配偶者を亡くした後、再婚を考えることがあるかもしれません。再婚した場合、遺族年金の支給は引き続き受けられるのでしょうか?

気になっていても「再婚のことは、年金事務所では相談しにくい……」と迷っている方もいると思います。ここで基本を確認してみましょう。

まずは遺族年金の種類を確認

遺族年金には基礎年金と厚生年金の2種類があり、規定要件を満たす方は、どちらか・または両方の支給を受けます。「支給がいつまで受けられるのか」に違いがありますので、まずは自分の遺族年金の種類を確認してみると良いかもしれません。

「どちらだったっけ?」と思った方は、郵便で届く年金振込通知書や、その電子版(ねんきんネット利用)を見てみましょう。遺族年金の種類が書かれています。

表 遺族年金の種類
※スクロールで表がスライドします。

遺族基礎年金 遺族厚生年金
支給要件 亡くなった配偶者が国民年金の被保険者であった 亡くなった配偶者が厚生年金保険の被保険者であった
支給が受けられる期間 原則18歳までの子どもがいる間だけ 一生涯(夫死亡時に30歳未満の子のない妻など、一部を除く)
年金額 780,900円+(子の加算額) 老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3

※年金額は、2021年度の金額です。

※支給要件・支給が受けられる期間について、ここでは原則のみを記載しています。

ただし、支給を受けられる期間内であっても、人生の進路によっては受けられなくなることがあります。そのひとつが「再婚(結婚)」です。

法律婚でも事実婚でも、再婚すると遺族年金はなくなる

遺族年金には失権事由(年金を受ける権利がなくなる出来事)が定められており、その事由に該当すると、それ以降の受給は受けられなくなります。

図1 遺族年金の失権事由

図1 遺族年金の失権事由

※ここでは遺族基礎年金・遺族厚生年金に共通する事由のみを記載しています。

資料:日本年金機構ホームページをもとに作成

ここでいう結婚とは、法律婚だけではなく、事実婚(内縁関係)も含みます。

事実婚とは「戸籍上の届出はしていないが、事実上夫婦となること」で、厚生労働省では次のように定義しています。

図2 「事実婚」の定義

  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

資料:厚生労働省「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」をもとに作成

「同居は事実婚の要件?」と迷う方もいるかもしれませんが、同居していても事実婚と認められない場合(同棲と判断される場合)もあれば、離れて暮らしていても認められる場合もあります。定義に合致するかどうか、個々の状況で判断されることを知っておくと良いでしょう。

なお、自治体によって違いはありますが、住民異動届を出すときに希望をすれば、「妻(未届)」「夫(未届)」の住民票記載ができます。事実婚関係を明確にしたい方は記載を検討してみましょう。

自分が支給を受けられなくなっても、子どもが受けられる可能性がある

子どもがいる方の再婚では、自分(親)が遺族年金の支給を受けられなくなっても、子どもが受けられるようになる場合があります。

遺族年金には優先順位があり、「配偶者」が支給を受けている間は、順位が下である子どもは受けられないことになっています。しかし、親が受けられなくなると、子どもにその順位が回るためです。

図3 遺族年金の支給を受けられる遺族の変化

図3 遺族年金の支給を受けられる遺族の変化

※子どもに「生計を同じくする父または母」がいる場合、子どもは遺族基礎年金の支給を受けられません。いない場合(例えば祖父母に預けられているなどの場合)は受けられます。

復氏・復籍や姻族関係終了の場合は引き続き支給が受けられる

再婚とは異なりますが、配偶者の戸籍に入っていた方のなかには、配偶者を亡くした後に「復氏」・「復籍」、「姻族関係終了」を考える方もいるはずです。

これらを行っても、再婚とは異なり、遺族年金の受給権は消えません。遺族年金の失権事由にないからです。

図4 復氏・復籍・姻族関係終了とは

  • 復氏とは:婚姻によって氏を改めた方が、配偶者が亡くなった後、婚姻前の氏に戻ること。
  • 復氏の際は、復籍または新しい戸籍の編製を行う。
  • 復氏をしても亡くなった配偶者の親族との姻族関係は続く。
  • 復籍とは:婚姻前の戸籍に戻ること。
  • 姻族関係終了とは:姻族関係終了届を提出し、亡くなった配偶者の親族との姻族関係を終了させること。

再婚したときの遺族年金の手続き

失権事由に該当した日(つまり再婚した日)から、遺族基礎年金は14日以内・遺族厚生年金は10日以内に「遺族年金失権届」の提出が必要です。

届出先は年金事務所や街角の年金相談センターです。

もしも失権事由に該当するのに届出をせず、遺族年金の支給を受け続けていると、後から返還請求されることになります。期限内に届出を行いましょう。

年金を含めたライフプランの見直しの時期

これからの人生、新たなパートナーと歩き始めるのは喜ばしいことです。

「遺族年金がなくなるから」という理由だけで再婚を思いとどまらず、前向きに考えてもらいたいと思います。

とはいえ、遺族厚生年金であれば一生涯受け取れるものなので、それがなくなるとなれば、ライフプランの大きな変更は避けられないでしょう。

再婚という人生の節目は、ライフプラン見直しのときです。まずはありのままの悩みや希望を専門家に聞いてもらうことがおすすめです。

保険市場には、ファイナンシャルプランナーの資格を持ったコンサルタントが在籍しています。最適なライフプランの設計に役立ててみてください。

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